ドロップシッピングとは、ネットショップに注文が入ったとき、メーカーや卸業者から顧客に直接商品を送るシステムです。出品者は、在庫を持たずに商品を販売できるため、低リスクで初期費用を抑えた事業を始めることができます。
ドロップシッピングの始め方にはいくつか種類がありますが、利用者の多いAmazonでドロップシッピングを行うとターゲットにもリーチしやすくおすすめです。
この記事では、Amazonドロップシッピングの概要や、手数料、始め方を解説しています。
Amazonドロップシッピングとは
Amazonドロップシッピングとは、在庫を持たずにAmazonで商品が販売できるビジネスモデルで、無在庫販売の一種です。
販売事業者は、Amazonに出品用アカウントをつくって商品を出品すれば、仕入れを行わずに販売を開始することができます。顧客から商品の注文が入ったら、販売事業者は注文をドロップシッパー(ドロップシッピング業者やメーカー、卸売業者などのサプライヤー)へ転送し、サプライヤーから直接顧客に商品を配送してもらいます。
通常、販売事業者にとって在庫管理や発送手続きなどは費用や手間のかかる業務ですが、Amazonドロップシッピングを利用することで、梱包や出荷、倉庫での保管などの作業はドロップシッパーが代行してくれるため、全国どこからでも簡単に商品を販売できます。
一方、デメリットとしては競争率が高く、Amazonや業者への手数料もかかるため大きな収益を確保するのが難しい点があげられます。
Amazonドロップシッピングの手数料
Amazonドロップシッピングの手数料には、次の5種類があります。月額登録料は、プランによって異なり、大口出品プランと小口出品プランのいずれを選択するかによって、月ごとの販売可能個数、手数料、利用可能ツールが異なります。
- 月間登録料:大口出品プラン 月額4,900円、小口出品プラン 1商品100円
- 販売手数料:15%
- 基本成約料:大口出品プラン 基本成約料なし、小口出品プラン 商品1点ごとに100円
- カテゴリー成約料:80~140円
- 配送料:大口出品プラン 独自の配送料を設定可能、小口出品プラン Amazonの規約に基づく上記以外の手数料として、大量出品手数料や、返金手数料が必要なケースもあります。
Amazonドロップシッピングは儲かるか
Amazonドロップシッピングは、直接販売と比較すると利益率が低いですが、商品の選択によっては儲かります。
Amazonドロップシッピングで探すべきは、需要が高く競合の少ない製品です。Amazonドロップシッピングはその参入障壁の低さから、同じ商品を売る販売事業者との激しい競争に発展することがほとんどです。低い利益率で儲けるには、数を売る必要があるので、まず需要が高い商品を探しましょう。
さらによいのは、価格競争に発展しないような、競合の少ない製品です。ドロップシッピングでは仕入れや配送も委託するため、それらの価格を下げるには限界があります。価格を競合に左右されずにすむ商品なら、ドロップシッピングに最適です。
ストア全体で商品のセレクトにこだわったり、特典などのサービスを強化したりと、ストアに価格以外の付加価値をつける工夫も有効です。
Amazonドロップシッピングを始める方法6ステップ
1. 出品プランを選択する
まず、出品プランを検討します。出品プランには、小口出品と大口出品の2種類があり、それぞれ月に販売できる個数や手数料、利用できるツール、出品可能な商品の種類等が異なります。

それぞれのプランに適しているのは以下のような場合です。
大口出品プラン
- 毎月49点以上出品したい
- 商品の広告を出したい
- 検索上位に表示したい
- 出品用ツールを使いたい
- 制限のあるカテゴリーの販売予定がある
小口出品プラン
- 毎月49点までしか出品予定がない
- 広告やツールの利用予定がない
- 販売する商品が決まっていない
広告、プロモーション、分析ツールを利用したい方は、大口出品がおすすめです。商品カテゴリーによっては、大口プランでしか出品できないものもあるため、事前に公式サイトを確認した上でAmazon出品を始めましょう。
2. ドロップシッパーを探す
メーカーや卸売業者と直接契約を結ぶか、ドロップシッピング業者(DSP)を探して契約を結びます。ドロップシップビジネスにおいてサプライヤー選びは成否を分ける重要なポイントです。質の低いサービスを提供すると、顧客満足度がさがってしまう可能性があります。
このとき、梱包用段ボールや納品書などに出品者以外の名前が残らないようにできるか確認することが大切です。高品質な商品やECフルフィルメントサービスを提供しているだけでなく、Amazonのドロップシッピングポリシーに準拠しているドロップシッパーと契約するようにしましょう。
3. Amazonアカウントを作成する

Amazonに出品するためのアカウントを作成します。普段から買い物で利用している既存アカウントを使うことも、ビジネス用メールで出品用アカウントを新規作成することもできます。必要な情報は以下の通りです。
- 身分証明書(運転免許証など)
- 銀行かクレジットカード会社発行の取引証明書(過去180日以内)
- 電話番号
- クレジットカード
- 銀行口座番号(売り上げの入金用)
Amazonアカウント作成時には、割賦販売法の審査を受ける必要があります。これは、クレジット決済サービスに加盟するための審査です。審査には10日程度かかり、審査が終わるまでは出品できません。
4. 商品を登録する
Amazonに下記のような商品の情報を登録します。
次に「商品の詳細ページ」にタイトルや画像、バリエーション、おすすめの品なども掲載しましょう。
ただし、出品可能な商品の基準は、商品の種類やブランド、プランによって異なります。例えば、衣服や靴は新品しか出品できません。酒類、動物、医薬品、食料品など制限があるカテゴリーもあるため、出品前によく確認しておきましょう。
また、ジュエリー、ミュージック、ビデオ・DVD・ブルーレイなど一部のカテゴリーの商品に関しては、商品登録の際に出品許可が必要です。出品許可が必要かどうかは、商品登録の際に検索して調べることができます。
5. 集客する
出品した後は、宣伝やマーケティングを行いましょう。Amazonでは以下のような集客方法を推奨しています。
- 広告の利用:Amazon広告を利用すれば、スポンサーとして商品を宣伝できます。
- 写真や文章の工夫:製品タイトルや画像、商品説明を魅力的にしましょう。
- 適切なカテゴリー分け:各カテゴリーの範囲や階層を確認し、カテゴリー別に商品検索する購入者に確実にリーチできるようにしましょう。
また、InstagaramやFacebookなどでSNSマーケティングを行うのも有効です。
6. Shopifyと連携させる(オプション)

既にShopifyストアがある場合は、Amazonアカウントと連携し、商品や在庫管理の一元化をすることもできます。連携にはアプリが必須のため、ShopifyアプリストアからAmazon連携アプリをダウンロードしましょう。以下は、ShopifyストアとAmazonアカウントと統合できるアプリの一例です。
- Shopify Marketplace Connect(英語):無料で利用可能、サポート体制も万全
- CedCommerce Amazon Channe(英語):複数のAmazonチャンネルを管理可能
- Amazon Importer Spreadr App(英語):直感的に操作できる管理画面
Amazonドロップシッピングポリシー
Amazonでドロップシッピングを利用するには、Amazonドロップシッピングポリシーの要件を満たす必要があります。他社のフルフィルメント(FBA)、第三者の物流会社、ドロッピングサービス事業者を利用する場合には、以下の点に注意しましょう。
- 仕入れ先と、商品の記録上の販売者である契約を締結していること。
- 納品書や請求書などに記載された自身以外の販売者の情報を削除してから、注文商品を出荷すること。
- 購入者からの商品の返品受付・実施の責任を負うこと。
- ビジネスソリューション契約(BSA)およびAmazonポリシーを遵守すること。
また、出荷する荷物や納品書などに出品者と異なる名前を記載することも、購入者の混乱を招くため禁じられています。以下は規約違反の例です。
- 第三者から商品を購入して出品する際、出荷時に出品者が記録上の出品者であることが明記されていない
- 納品書や請求書、外部パッケージ、その他の場所に、出品者本人以外の名前や連絡先が記載されている
Amazon FBAとAmazonドロップシッピングの違い
Amazon FBA(フルフィルメント by Amazon)とAmazonドロップシッピングの違いは、出品者が商品の配送管理を委託する委託先の違いです。
Amazon FBAにおいては、Amazonに商品管理と発送を委託する一方、Amazonドロップシッピングでは、サプライヤーやドロップシッパーに商品管理と発送を委託します。FBAに委託するか、Amazonに委託するかによって、在庫状況の把握、配送スピード、カスタマーサービス、そして費用面に差がでます。

Amazon FBAは、対象商品の在庫をリアルタイムで把握できることがメリットのひとつで、返品やカスタマーサービスもAmazonが代行してくれるため安心です。オプションで定期おトク便や海外配送も利用でき、ビジネスの拡大にも有効な手段です。ただし、在庫保管料や配送代行手数料など、販売する商品や数に応じて手数料が加算されるため、Amazon料金シミュレーターで見積もりを出すと良いでしょう。
Amazonドロップシッピングでは、在庫状況や配送までの期間、手数料は、ドロップシッパーとの契約内容によって大きく変わります。返品やカスタマーサービスも出品者自身が対応します。
ドロップシッピングに慣れていない出品者の場合、Amazon FBAは良い代替案になるでしょう。
まとめ
Amazonドロップシッピングは、在庫を持たずに低リスクで始められます。手数料はかかるものの、需要が高く競合の少ない商品を見つけたりオリジナルブランドを販売したりすることにより、稼ぐことも可能です。
Shopifyなどで構築した自社ECサイトと連携させることで、マルチチャネル販売することもでき、より効率的に販売できます。また、Amazon FBAを利用すれば、Amazonがドロップシッパーの代わりに配送や在庫管理、カスタマーサポートまで行ってくれるため、初心者でも安心して利用できます。
この記事を参考にして、AmazonドロップシッピングでAmazonに出店してみましょう。
Amazonドロップシッピングについてのよくある質問
日本でもAmazonドロップシッピングを利用できる?
Amazonドロップシッピングポリシーに準拠していれば日本でも利用できます。
Amazonドロップシッピングとアフィリエイトの違いは?
Amazonドロップシッピングとアフィリエイトの違いは、実際に商品を販売するか、商品の宣伝や紹介をするのみかの違いです。Amazonドロップシッピングでは、商品の販売事業者として顧客対応なども行いますが、アフィリエイトの場合は商品をブログやSNSなどで宣伝、紹介するだけで、顧客対応などは行いません。
Amazonで無在庫販売は禁止されていない?
Amazonでは、商品在庫がないまま販売する無在庫販売は原則禁止していますが、利用要件やポリシーに準拠しているかぎり、ドロップシッピングは利用できます。ドロップシッピングは無在庫販売の一種ですが、許可されている方法です。
文:Shigemi Saki