ネットショッピングの利用者増加に伴い、個人間で商品売買のやり取りができるフリマアプリが多数登場しています。しかし、売上から差し引かれる手数料が思った以上に高く、利益が削られてしまうことも少なくありません。利益率を上げるには、ランニングコストである手数料をなるべく下げることが大切です。本記事では、主要なフリマアプリの手数料を徹底比較し、どのアプリを使用すればお得に商品売買ができるかを解説します。
フリマアプリとは?
フリマアプリとはフリーマーケットアプリの略で、オンライン上でフリーマーケットのように個人間(CtoC)売買ができるアプリのことです。会員登録すれば、販売事業者ではなくても誰でも気軽に売買ができます。
フリマアプリは、購入者側が購入したい金額を入札するネットオークションとは異なり、出品者が自由に金額を設定できます。ただし、フリマアプリで販売されている商品のほとんどは中古商品です。不要になった物のため利益を度外視して販売価格が安く設定されている場合が多く、そこが購入者側にとっての大きな魅力となっています。コメント機能などで価格交渉もできますが、基本的には出品者側が定めた金額に納得できる人が購入しています。
フリマアプリは年々需要が増加しており、ラクマ・メルカリ・Yahoo!(ヤフー)フリマなど複数のサービスが登場しています。
フリマアプリの手数料比較
フリマアプリの手数料は、商品が購入された際や売上金を振込する際などに発生します。ここでは、代表的なフリマアプリである「ラクマ・メルカリ・Yahoo!フリマ」の各種手数料を比較しながらご紹介します。
販売手数料
販売手数料は一般的に、商品の販売価格から一定の割合で計算され、売り上げから自動的に差し引かれる仕組みとなっています。なお出品するだけであれば、今回ご紹介しているアプリはいずれも手数料がかかりません。各プラットフォームの販売手数料は以下の通りです。
- ラクマ:4.5%、6%、7%、8%、9%、10%(各月の販売実績に応じて変動)
- メルカリ:10%
- Yahoo!フリマ:5%(税抜料率4.54%の販売手数料と税金は別に計算)
3つのプラットフォームのなかではラクマの4.5%が最も安い手数料となりますが、各月の販売実績に応じて手数料が変動する仕組みであることに注意が必要です。具体的には、1ヶ月間の販売回数10回以上、販売金額10万円以上という条件をクリア(毎月25日締めで、翌月の適用)しなければ、4.5%にはなりません。
毎月の販売数や販売金額が少ない場合は、Yahoo!フリマがおすすめです。メルカリは一律10%と3つの中では最も販売手数料が高いですが、2023年の時点で月間利用者数が2200万人を突破しており、ユーザー規模の面では突出していることから、なるべく多くの潜在顧客にリーチしたい場合に効果的です。
売上金の振り込みスケジュールと振込手数料
フリマアプリの売上金は多くの場合、申請をしない限り売り上げが銀行口座に振り込まれることがありません。プラットフォームによって申請後に振り込まれるタイミングが指定されており、振込手数料がかかるという点も共通しています。
そのため、振り込み申請を行なう頻度によって毎月の手数料が変わってきます。すぐに現金が必要というわけでなければ、振り込み回数を自分で調整することで手数料を節約することもできるでしょう。
それぞれの売上金の振込スケジュールと振込手数料は以下の通りです。なお、営業日に土日祝は含まれません。また、一部の金融機関は振込スケジュールが異なります。
ラクマ
- 振込スケジュール
楽天銀行の場合:翌営業日の14時半前後
楽天銀行以外の場合:翌々営業日の14時半前後
※金曜日 9時~日曜日 8時59分の振込申請はどちらも月曜日(翌営業日)に入金
※楽天銀行以外の場合、金曜日9時以降は月曜日に入金
- 振込手数料
楽天銀行で申請金額が10000円以上の場合:無料 9999円以下またはそれ以外の銀行の場合:210円
メルカリ
- 振込スケジュール
ゆうちょ銀行以外の場合:0時〜8時59分までの申請は翌営業日、9時〜23時59分までの申請は翌々営業日、申請が土日の場合は火曜日
ゆうちょ銀行の場合:0時〜8時59分までの申請は翌々営業日、9時〜23時59分までの申請は3営業日後、申請が土日の場合は水曜日
- 振込手数料
一律200円
※ゆうちょ銀行の貯蓄口座への振込申請は不可。
※営業日は土日祝、年末年始(12/31~1/3)を除く平日。
※振込申請完了日から振込日までの間に祝日・年末年始を挟んでいる場合、振込日がその日数分後倒し。
Yahoo!フリマ
- 振込スケジュール
平日午前10時までの申請は翌営業日、午前10時以降と休日の申請は翌々営業日
- 振込手数料
100円
※Yahoo!ウォレットの受取口座の登録が必要。
※ゆうちょ銀行の場合、上記からさらに2営業日後。
※PayPay銀行の場合、土日や夜間でも振り込み可で、手数料が無料。
ラクマ・メルカリ・Yahoo!フリマにおいて、ほとんどの場合、金融機関の翌営業日または翌々営業日に売上金が振り込まれます。また、振込手数料が最も安いフリマアプリはYahoo!フリマ、最も高いフリマアプリはラクマです。ただし、ラクマとYahoo!フリマの振込手数料は、指定の銀行への入金であれば無料になる場合があります。
ラクマ・メルカリ・Yahoo!フリマの違い
ここからは、日本でよく使われているラクマ、メルカリ、Yahoo!フリマの特徴をご紹介します。
それぞれの特徴
ラクマ
ラクマは、楽天が運営するフリマアプリです。希望者が購入を申請して販売者が承認することで取引が成立する機能があり、購入者のプロフィールや評価を確認したりコメントを通じてやり取りしてから販売するかどうかを決定できます。そのため、イタズラ購入などのトラブルを避けて安心して商品を提供することができます。また、楽天サービスとの互換性が高いので、楽天銀行を使えば手数料が一定額以上で無料になったり、楽天ペイに手数料無料でチャージしたりすることができます。
メルカリ
メルカリは、国内ユーザー数が2023年の時点で2200万人を超えている大人気のフリマアプリです。男女問わず多くのユーザーが利用しており、ファッションやハンドメイド作品、ペット用品、ゲーム、本など、幅広いジャンルの商品が出品されています。匿名で商品を発送することができるため、個人情報の漏洩を気にすることなく気軽に商品のやり取りを行うことができます。また、郵便局が提供している「ゆうゆうメルカリ便」を使用すれば通常の配送よりお得に商品を配送することが可能です。
Yahoo!フリマ
Yahoo!フリマは、PayPayフリマから2023年11月に改名したYahoo! JAPAN(ヤフージャパン)が運営するフリマアプリです。PayPay(ペイペイ)やYahoo!のユーザー数の多さから、ダウンロード数が順調に伸びています。PayPayとの互換性が高いので、売り上げ金をPayPayにチャージしたり、PayPay銀行を利用すれば振込手数料が無料になったりなど販売側にとってお得なサービスがそろっています。
アプリダウンロード数・ユーザー数の違い
ラクマ
ラクマはメルカリに次ぐダウンロード数を誇るフリマアプリで、これまで累計4000万回ダウンロードされています。アクティブユーザー数はメルカリには及ばないと推測されるものの、前身となった「フリル」はサービス開始が2012年と今回ご紹介する3つのアプリのなかでは最も先行しており、安定した人気を維持しています。
メルカリ
メルカリは、ダウンロード数とユーザー数の両方で最大級のフリマアプリです。2017年の時点ですでに世界中で1億ダウンロードを突破しており、現在も多くの人に利用されています。月間ユーザー数は2200万人を超えており、他のフリマアプリを大きく引き離していると考えられます。
Yahoo!フリマ
Yahoo!フリマ(旧PayPayフリマ)は、ダウンロード数では3番目ですが、2019年のサービス開始から3周年時点で1500万回のダウンロードを達成しており、これからの成長が期待できるフリマアプリです。これはPayPayの普及が影響していると考えられます。
オリジナル梱包材と発送サービスの違い
フリマアプリで商品が売れたら、自分で梱包して発送しなければなりません。各フリマアプリではオリジナルの梱包材を提供していたり、送料が割引になる発送サービスを実施していたりする場合もあります。
それぞれのフリマアプリのオリジナル梱包材と発送サービスの有無は以下の通りです。金額の比較として、ゆうパケットとゆうパケットポストを指定した場合の料金(2024年8月時点)を掲載します。梱包材の各サイズの料金の違いはそれぞれのウェブサイトをご覧ください。
ラクマ
- オリジナル梱包材:なし
- 発送サービス:かんたんラクマパック
- 配送料金:175円(ゆうパケットポスト)、180円(ゆうパケット) ※全国一律料金
- 特徴:匿名配送に対応、宛名書き不要、取引ページから配送状況を確認可能
メルカリ
- オリジナル梱包材:コンビニエンスストア、イトーヨーカドー、メルカリストア、ヤマト運輸営業所、郵便局で購入可能
- 発送サービス:らくらくメルカリ便やゆうゆうメルカリ便
- 配送料金:215円(ゆうパケットポスト)、230円(ゆうパケット、発送用シールや箱は別料金) ※全国一律料金
- 特徴:宅配便ロッカーPUDOでの発送、匿名配送に対応
Yahoo!フリマ
- オリジナル梱包材:なし
- 発送サービス:おてがる配送、おまかせ配送
- 配送料金:200円(ゆうパケットポスト、発送用シールや箱は別料金)、205円(ゆうパケット) ※全国一律料金
- 特徴:匿名配送に対応、出品者の送料負担、「お任せ配送」では集荷の時間を指定すると梱包から配送手続きまで代行
メルカリのように独自の梱包資材を準備している場合がありますが、基本的には配送会社の梱包資材や自分で準備したものを使用して発送します。どのプラットフォームも個人情報の観点から匿名配送を行っていることが一般的なため、配送に関する手軽さや配送料の調整などで各社差別化を行っています。
配送料金が一番安いのはラクマで、高いのはメルカリです。ただし、メルカリの場合は梱包資材を近くのコンビニで調達することができるので、気軽に発送作業を行うことができます。また、Yahoo!フリマは時間を指定すれば梱包作業を代わりに行ってくれるおまかせ配送を提供しています。
Shopifyとフリマアプリの違い
オンラインでの販売プラットフォームとして、販売サイトを自分で構築するShopify(ショッピファイ)と第三者のプラットフォームを使用するフリマアプリでは、使用目的が異なります。Shopifyは長期的なビジネス運営に適しており、フリマアプリは個人の簡単な取引に最適です。こちらでは、それぞれのプラットフォームの手数料や機能性の違いをご紹介します。
手数料の違い
Shopifyは販売の有無に関わらず毎月の使用料金がかかりますが、フリマアプリで出品するだけならば無料です。また、両者共に決済手数料や振り込み手数料が必要ですが、Shopifyの場合はShopifyペイメントを使用すれば手数料を節約することができます。
- Shopify:月額料金制 3650円(ベーシックプラン)、10100円(スタンダードプラン)、44000円(プレミアムプラン)
※初月は無料、その次の月は月額150円で利用可能
※決済手数料や振込手数料は導入する決済代行サービスによって異なる
- フリマアプリ:販売手数料・振込手数料制
機能面の違い
Shopifyでは、商品の在庫管理やマーケティングツールなどの豊富な機能を利用することができます。また、デザインなども自由にカスタマイズできるため、取り扱うブランドやビジネスに合ったECサイトを構築することができます。
フリマアプリはデザインの変更などに対応しておらず、画像と商品説明を入力するのみとなります。マーケティングの面でも、ウォッチリストに登録された数を確認できる程度で、細かな分析は不可能といっていいでしょう。
ビジネスとして成長させ、ブランド構築を行っていきたい場合は、Shopifyを活用して専用のオンラインストアを構築することがおすすめです。
発送サービスの違い
Shopifyは自分で配送の手配を行う必要がありますが、発送に関する自由度が高く世界中に販路を広げることができます。フリマアプリは基本的に国内のみの利用ですが、配送方法が決まっており全国一律料金が多いので簡単に発送することができます。
- Shopify:配送料金や配送エリアなどを自由に設定でき、海外発送に対応することで越境ECを始めることも可能。Shopify App Storeで用意された、発送ラベルを簡単に作成できるアプリなどを利用すれば、梱包作業を効率化できる。
- フリマアプリ:基本的に国内発送のみで、全国一律料金の配送サービスを利用可能。梱包から発送までの流れが公式サイトで公開されている場合が多い。
フリマアプリの場合は、初心者でも安心して対応できるよう発送方法などがあらかじめ決められています。不用品を自身のペースで販売するだけであれば、手間が少ないフリマサービスを利用するのが適切でしょう。
Shopifyは発送に関する自由度が高いため、より付加価値の高いサービスとして顧客に訴求することもできます。海外発送への対応や、購入額に応じた送料無料サービスの設定などを行うことで、ビジネスの拡大につなげていくことができるでしょう。
まとめ
フリマアプリは手軽に個人間取引ができる便利なツールですが、手数料や使いやすさなどの違いが各プラットフォームにあります。この記事では、メルカリ、ラクマ、Yahoo!フリマの手数料やユーザー数、サービス内容について詳しく比較しました。
各アプリの特性を理解し、自分の取引スタイルや目的に合う最適なプラットフォームを選ぶことが大切です。将来的に販売数を増やしてビジネスを拡大したい場合には、開設から運営までを一つのプラットフォームで完結できるShopifyをご利用ください。
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よくある質問
フリマアプリとは?
フリマアプリは、スマートフォンやパソコンで簡単に個人間で商品を売買できるオンラインマーケットです。中古品や不要品を手軽に出品・購入でき、オークションとは異なり、出品者が自由に価格を設定できます。
フリマアプリのトラブルはどうすればいい?
フリマアプリでトラブルが発生したら、まずは相手と連絡を取り、問題解決を試みます。解決できない場合は、アプリのサポートセンターに問い合わせて対応を依頼します。商品説明欄に商品や取引に関する注意書きを記載しておくことが一般的です。
フリマアプリに違反商品はある?
フリマアプリでは、許可を取っていない医薬品・化粧品や、知的財産権を侵害する商品、偽造ブランド品などが違反商品とされています。お酒の販売も場合によっては違反で摘発される可能性があります。運営によって違反が認められると、アカウント制限や停止措置が科されます。
文:Ryotetsu