YouTube広告は、YouTubeを収益化させる方法の一つとして知られており、多くの企業がマーケティングに活用しています。しかし、YouTubeの有料広告は種類が多く、費用相場やどのように活用すれば効果的にマーケティングできるのかわからない方もいるでしょう。この記事では、広告を出稿したい企業やビジネスオーナー向けに、YouTube広告の仕組みや費用、種類について解説します。
7種類のYouTube広告と費用相場
YouTube広告には、以下の7つの種類があり、広告の目的や内容、ターゲット層によって適切なアプローチや費用相場が異なります。
1. スキップ可能なインストリーム広告

スキップ可能なインストリーム広告は、YouTube動画の前後や途中に表示される広告で、広告が再生されてから5秒後にスキップできるのが特徴です。ユーザーが30秒以上視聴、または広告をクリックした場合にのみ広告費が発生します。
メリットは、最初の5秒は必ず視聴されることと、最初の5秒間のみの視聴では費用が発生しない点です。そのため、最初の5秒で強く印象に残すことができれば、低コストで効果的な宣伝ができます。
主な用途:販売促進、見込み客獲得、ブランドの認知拡大、商品の比較検討(商品をリサーチ中の方にアピール・ブランドに関心を持った方に働きかける・今後商品を検討してもらえるよう働きかける)
費用相場:5〜10円(1回)/ 400〜600円(1000回視聴ごと)
2. スキップ不可のインストリーム広告

スキップ不可のインストリーム広告は、YouTube動画の前後や途中に表示される15秒以下の広告で、1000回単位の表示数に応じて広告費が発生します。
スキップ不可で確実に視聴してもらえるため、ブランド認知度の向上やリーチ拡大を目的とした広告配信におすすめです。
ただし、強制的に広告を視聴させられることで、視聴者が広告に対して不快感を抱く可能性が高くなります。ネガティブな印象を抱かれないよう、エンターテインメント性を持たせたり、製品やサービスの魅力を簡潔に伝えたりするなどの工夫が必要です。
主な用途:ブランドの認知拡大、商品の比較検討
費用相場:600〜1000円(1000回表示ごと)
3. インフィード動画広告

インフィード動画広告は、YouTubeの動画検索結果や関連動画の横、モバイルページに表示される広告です。ユーザーが広告をクリックして視聴した場合、または広告が10秒以上再生された場合に広告費が発生します。
検索や情報収集の段階で、ユーザーの興味関心が高いコンテンツを、自然な形でアピールできるのがインフィード動画広告の特徴です。視聴者にストレスを与えることなく類似商品やサービスの広告を表示できます。
主な用途:ブランドの認知拡大、商品の比較検討、商品の購入やサービスの登録
費用相場:2〜25円(1クリック)
4. バンパー広告

バンパー広告は、動画の前後や途中に、最長6秒間はスキップ不可の状態で表示される広告です。1000回単位の表示数に応じて費用が発生します。
最初の6秒間は必ず視聴されるため、大量の視聴が見込めるのがメリットです。
6秒という短い時間を活かし、インパクトやメッセージ性のある動画や、簡潔で覚えやすい内容にすれば、ブランディングや認知度の拡大につなげることができます。
主な用途:ブランドや商品の認知拡大
費用相場:400〜600円(1000回表示ごと)
5. アウトストリーム広告

アウトストリーム広告は、YouTube以外のアプリに表示されるスマホ、タブレット専用の動画広告で、2秒以上再生されると費用が発生します。
YouTube以外のSNSユーザーにもリーチでき、低予算でも利用できるメリットがありますが、利用の際にはGoogleに直接問い合わせをする必要があります。
主な用途:スマホやタブレットユーザーへのリーチ
費用相場:400〜600円(1000回表示ごと)
6. マストヘッド広告

マストヘッド広告は、YouTubeのホーム画面上部で、最大30秒間音声なしで自動再生される広告です。短期間で多くのユーザーにリーチできるため、新製品やイベントの告知など、大規模で拡散スピードの求められる広告に向いています。
ユーザーにもっともアピールできる広告ですが、Googleの営業担当者を通じて予約を申し込まなければならず、他の広告よりも制限が厳しいです。また、ほかの動画広告と比べて費用が高額になる傾向にあります。
主な用途:大規模キャンペーン
費用相場:数百万円(1日あたり)
7. YouTubeショート動画広告

YouTubeショート動画の間に表示できる広告用の動画コンテンツで、スマホに最適化された表示形式です。60秒以内(推奨)の広告で、ショート動画の合間に、ランダムに再生されます。
広告が10秒以上再生されるか、広告がクリックされたタイミングで広告費が発生します。
主な用途:販売促進、見込み客獲得、ブランドの認知拡大
費用相場:5〜10円(1回)/ 400〜600円(1000回視聴ごと)
YouTubeの広告費用の相場
YouTube広告の費用相場
YouTube広告費用は、最低入札金額が決められていないため、数百円〜1,000円程度の低価格からでも出稿できます。しかし、少額投資では広告の成果や十分なデータを得にくくなってしまうため、成果をあげるためには、10万円程度の予算を見積もっておくのがおすすめです。例えば6秒程度の短い動画が表示されるバンパー広告の費用は、1,000回程度の表示で500円程度のため、10万円の予算で視聴者に20万回の広告を表示できます。ただし、YouTube広告の作成を外注する場合には、別途費用が必要になります。
YouTube広告の課金方法
YouTube広告には、3種類の課金方式があります。
- 視聴単価(CPV):ユーザーが動画を30秒以上視聴すると費用が発生する方式
- 表示単価(CPM):ユーザーに1000回表示されるごとに費用が発生する方式
- クリック単価(CPC):ユーザーが1クリックするごとに費用が発生する方式
上記のいずれかの条件を満たさない限り、広告料は発生しません。
YouTube広告はオークション方式で広告枠が決まる
YouTube広告の広告枠は、オークション方式で決定されますが、入札金額と広告の質の2点が加味されるため、仮に入札金額が低くても、広告の質が高ければ表示される可能性もあります。ただし、有名インフルエンサーなど人気の広告枠の場合、オークション形式になることもあります。
YouTube広告の入稿方法
1. Google広告アカウントを作成する
YouTube広告を配信するには、Google広告のアカウント作成が必要です。アカウント作成に必要な情報は下記の通りです。
- キャンペーン目標
- お店やサービスの名前、ホームページ
- 広告(見出し、説明文、電話番号)
- キーワードテーマ
- 地域設定
- 予算
- 支払い情報
2. Google広告で新しいキャンペーンを作成する
Google広告にて、新しいキャンペーンを作成します。基本的には下記の手順で設定しますが、Google広告アカウントには「スマートアシストキャンペーン」と呼ばれる初心者向けの自動入札機能があります。最低限の情報を入力すれば、AIが自動で最適なターゲットやタイミングを選んで広告運用を行ってくれるアシスト付きのため、初心者でも簡単に利用できます。
1) 目標を選択する
広告配信によって達成したい目標を以下の項目から選択します。
- 販売促進
- 見込み顧客の獲得
- ウェブサイトへのトラフィック
- 認知度と比較検討
目標が決まっていない場合には、「目標を指定せずにキャンペーンを作成」することも可能です。次に、キャンペーンタイプの選択で「動画」を選択します。
2) キャンペーンのサブタイプを選ぶ
選択した目標によって、表示されるサブタイプが異なります。例えば以下のようなサブタイプの中から、適切なサブタイプを選択します。
- コンバージョンの促進:商品の成約や見込み客の獲得
- 動画リーチキャンペーン:予算内で最大限のリーチができる
- 視聴回数を増やす:商品の認知度を高める
- 広告シーケンス:複数の広告を順番に表示することで、ストーリーを伝える
- ショッピング:商品を宣伝し、購入を促進
3. 入札戦略と予算を設定する
1)入札戦略
入札戦略は、上記で入力した目標によって表示される項目が異なりますが、適切な戦略を選択します。
2)予算とキャンペーンの期間の設定
予算の設定は、以下の2種類の設定方法があります。いずれかを選択して予算を入力しましょう。入力した予算以上の金額が請求されることはありません。
- キャンペーン期間全体の予算額を指定
- 1日で消費可能な予算の上限を指定
次に、キャンペーンの開始日と終了日を設定します。予算をキャンペーン期間全体の予算額で指定した場合には、必須の設定です。
4. ターゲットを設定する
YouTube広告では、特定の興味や関心、属性を持つユーザーグループに広告を表示させる動画キャンペーンのターゲティングが利用できます。下記はその基準の例です。
- ユーザー属性グループ:ユーザーの年齢や性別、子供の有無、世帯収入など
- 詳しいユーザー属性:大学生、住宅所有者、最近子供が生まれたなどの特徴
- 興味関心:特定のトピック
- データセグメント:過去の広告や自社のYouTubeチャンネルとの接触履歴
そのほかにも、広告を配信する言語や地域、配信場所なども設定できます。
5. 動画広告の配信設定をする
広告動画は複数作成でき、最大30個作成できます。Googleのアセットライブラリを用いるとテンプレートの選択から簡単に無料の広告動画を作成できるほか、YouTubeにアップロードした広告用動画を利用することも可能です。
最後に「キャンペーンの作成」をクリックしたら審査が開始されます。広告の審査自体は1日以内に完了する場合がほとんどですが、広告の配信には数日かかることがあります。
YouTube広告を成功させるための8つのポイント

1. CTAを設定する
YouTube広告にCTA(コール・トゥ・アクション)と呼ばれる視聴者に具体的な行動を促す文言を設定することで、視聴者をサイトに誘導し商品購入やサービス利用につなげられます。
効果的なCTAを設定するには、メリットやとってほしい行動を具体的に伝えなければなりません。たとえば、「今すぐダウンロードして製品カタログをゲット」「期間限定のセール会場はこちらからアクセス」など、視聴者が行動したくなるような文言を加えましょう。
2. ターゲットを明確にする
ターゲットを絞ることで、効率良く広告運用ができます。顧客の属性や興味関心、行動パターンなどを基に、ペルソナを設定するのがおすすめです。ペルソナを設定することで、最低限のコストでも効率的に広告配信できます。
3. 字幕を追加する
YouTube広告に字幕を追加することで、ミュート状態でも視聴者にリーチすることが可能になります。字幕があれば音声が聞けない環境でも内容を理解できるため最後まで見てもらえる確率も高くなります。字幕を追加する場合は、文字の読みやすさや表示タイミングも考慮しましょう。
4. 見栄えを良くする
YouTube広告では、視聴者を惹きつけるようなクオリティの高い動画を作ることが重要です。配信する広告を決めるオークションで評価対象となる広告品質では、クリック率が基準として利用されています。動画編集ソフト等を利用して、視聴者がクリックしたくなるような高クオリティな動画広告を作成することで、品質評価が上がり広告が表示されやすくなります。
5. スキップされない工夫をする
YouTube広告では、広告がスキップされてしまわないよう、最初の数秒で視聴者の関心を惹きつける必要があります。役立つ内容やエンターテインメント性の高い動画、視聴者が共感できるような演出などを取り入れて、最後まで視聴してもらえるよう工夫しましょう。
6. 広告の効果を分析する
YouTube広告を成功させるには、視聴回数やクリック率、コンバージョン率などを分析し、効果的な広告を作り上げていくことが重要です。YouTube広告ではGoogle広告レポートやブランド効果測定などの無料ツールを提供しているため、分析結果を基にターゲティングの見直しなどの対策を考えましょう。分析と改善を繰り返すことで、より効果的なYouTube広告を設定できます。
7. 複数の広告を組み合わせる
効果的に視聴者へのリーチを拡大するには、複数の広告を組み合わせましょう。各広告のメリットを生かしデメリットを緩和できるため、広告の効果を最大限発揮できます。
たとえば、インストリーム広告は多くの視聴者へのリーチが期待でき、時間も長いことからブランドや製品について丁寧に伝えることができる一方で、スキップされてしまうリスクがあります。そこで、バンパー広告を組み合わせて短く印象に残るメッセージや映像をスキップなしで表示させます。この組み合わせによって、印象的な短い広告で認知度を高めつつ、長尺の広告でより詳しく視聴者にアピールすることができます。
8. ランディングページに誘導する
ネットショップの集客力アップや製品やサービスの売上向上を目標とするのであれば、CTAボタンの設置や、広告上にURLを表示するなどして、販売専用のランディングページに潜在顧客を誘導すると良いでしょう。
まとめ
ウェブ広告の一種であるYouTube広告は、企業などの広告主が予算や単価を設定し、表示された回数やクリック数などに応じて費用が発生する仕組みになっています。インストリーム広告やバンパー広告、インフィード動画広告など多様な広告を目的に合わせて使い分けでき、ターゲットの年齢や地域、関心事などを細かく設定できる、分析ツールを使って広告の効果を検証できるなどさまざまな利点があります。YouTube広告を利用する際は、複数の広告を組み合わせる、CTAや字幕を追加するなどの工夫をすることで、より効果を上げることができるでしょう。
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よくある質問
YouTube広告は人によって違うものが表示される?
YouTube広告では、パーソナライズド広告の機能により、人によって異なる広告が表示されます。表示される広告は、以下の情報を元に決められます。
- 年代や性別などGoogleアカウントの情報
- YouTubeやGoogle検索のアクティビティ
- ウェブサイトやモバイルアプリの訪問履歴
- 提携先から入手したユーザー情報
YouTube広告は誰でも出稿できる?
YouTube広告は誰でも出稿できます。出稿の際には、Google広告アカウントとYouTubeアカウントが必要です。
YouTube広告を出稿するメリットは?
- 視聴者が多く、多くのユーザーにリーチできる
- 音声や動画を使った広告は認知拡大に効果的
- ターゲットを絞ったマーケティングができる
- 費用対効果が高い
- 企業はもちろん、個人でも簡単に出稿できる
文:Shigemi Saki