「インスタに投稿しているけどフォロワーが増えない」「インスタの広告効果が感じられない」といった悩みは、SNSマーケティングを行う事業者につきものです。インスタでリーチできるユーザーの範囲はアルゴリズムによって決まるため、新規顧客獲得や顧客維持を効果的に行うためには、インスタグラム特有のアルゴリズムを理解することが近道となります。
今回の記事では、インスタの運営会社であるMetaが公開している情報をもとに、最新のアルゴリズムについてわかりやすく解説します。自分の投稿をターゲットに届け、集客や認知拡大、売上アップを叶えるインスタアカウント運用のコツも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
インスタのアルゴリズムとは?
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インスタのアルゴリズムとは、ユーザーに表示するコンテンツの内容や順番を決めるルールのことです。ユーザーの興味関心や行動履歴をもとに表示される投稿の優先順位をつけ、ユーザーごとにパーソナライズして表示するようにコントロールしています。インスタには日々大量の投稿がアップされるため、そのアルゴリズムを理解してコンテンツを発信することが、フォロワーの増加や商品・ブランドの認知拡大に有効となります。
実際には、インスタのアルゴリズムは1つだけではなく、「シグナル」と呼ばれる数千以上の指標をもとに、数百以上のアルゴリズムや分類システム、プロセスによって決定されます。アルゴリズムは、頻繁にアップデートされるため、最新の情報を取り入れた上で、適切な戦略を練ることが重要です。
インスタアルゴリズムの「シグナル」と重要度
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シグナルとは、インスタのアルゴリズムを決定する際に参照される指標のことで、シグナルをもとにユーザーに表示されるコンテンツが決まります。シグナルは数千種類にもおよび、投稿がシェアされたタイミング、使用デバイス(スマホかパソコンか)、動画にいいねをする頻度などもシグナルに該当します。シグナルを知ることで、より最適なアプローチや戦略を立てる際に役立つでしょう。
2025年1月にインスタグラム責任者アダム・モッセーリ氏が発表した最新アルゴリズムで重視しているシグナルは、以下の3つです。
- 視聴時間
- いいね
- シェア
最新のアルゴリズムにおいて、視聴時間は最も重視される指標となっており、ユーザーを長時間惹きつけられるコンテンツほど価値が高いと判断されます。視聴時間を伸ばすには、リール投稿などショート動画をうまく活用しましょう。プロアカウントの新機能である「トライアルリール」を使えば、フォロワー以外のユーザーにのみリール動画をシェアすることで新しいアイデアを気軽に試すことができます。
また、投稿に対するリアクションは、フォロワーの「いいね」、フォロワー以外のユーザーではシェアが重視されます。インサイトを分析する際には、平均再生時間、リーチあたりのいいね、リーチあたりの(シェアなど)送信数の3つを確認しましょう。
インスタのアルゴリズムは投稿方法によって異なる
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インスタには、フィード・ストーリーズ・リールの3種類の投稿方法と、発見タブと呼ばれるリコメンド機能があります。ここでは、各パートのアルゴリズムを解説します。
フィードのアルゴリズム
インスタのフィードは、アプリを開いたときに最初に表示されるメインの画面で、フォロー中のアカウントの最近の投稿やおすすめの投稿、広告の3種類が表示されます。フィードの表示順を決めるアルゴリズムでは、ユーザーの「いいね!」やシェアといったアクティビティ、投稿の人気度(「いいね!」をした人数や、どれだけ早くコメント等が実行されたか)が重視されています。
フィードで重視されるシグナル
- 投稿内容
- 投稿者の情報
- 「いいね!」やシェアなどの行動
- 他のユーザーとのやり取り
- 新規投稿への反応の初速
- 投稿者のプロフィールの閲覧
- ロケーションタグ
フィードの表示順位を上げる方法
- ターゲット層のユーザーが閲覧しそうな最適な時間にインスタを投稿する
- リーチしたい層に近いユーザーと頻繁にやり取りする
- アカウントをフォローしてもらう
- 投稿から短時間で「いいね!」、コメント、シェアをしてもらう
- 投稿後にストーリーズでアピールし、通知設定を推奨する
- ロケーションタグを追加する
インスタのフィードで、「いいね!」や保存などのリアクションが多い投稿は、ユーザーの興味関心が高いと判断され、上位に表示される可能性が高くなります。アカウントの人気度も表示順位に影響し、「いいね!」やコメントなど、投稿直後のアクションの初速が早いほど、人気が高いと判断されます。
ストーリーズのアルゴリズム
インスタのストーリーズでは、24時間限定で公開される写真や動画を投稿できます。ストーリーズのアルゴリズムでは、「いいね!」や投稿者とのDMのやり取りが発生するような、プライベートで親密な関係性がより重視されます。フォロー中の人が投稿したストーリーズと広告のみが表示されますが、ランク付けに広告は含まれません。
ストーリーズで重視されるシグナル
- 投稿内容
- 投稿者の情報
- 「いいね!」やシェアなどの行動
- 過去のストーリーズの閲覧履歴
- 視聴時間
- DMなどでの交流
- 相互フォロー
- 親密度(同じフォロワーがいるか)
- アンケート・質問BOX・クイズ・絵文字スライダーへのアクション
ストーリーズの表示順位を上げる方法
- 動画を最後まで視聴してもらう
- アンケート・質問BOX・クイズ・絵文字スライダー機能を使う
- 「いいね!」やDMなどで交流する
ストーリーズでは、過去に視聴した動画の履歴や「いいね!」、絵文字でのリアクション、DMのやり取りなどの情報を使用して、アカウント同士の関係の近さを判断します。自分からフォロワーに「いいね!」をしたり、DMを送ったりするのも良いでしょう。また、アンケートや質問BOX、クイズ機能を活用すると、ユーザーのエンゲージメントを高めるのに効果的です。
発見タブのアルゴリズム
発見タブは、ユーザーが新しい情報を見つけられるよう、おすすめの投稿を表示する機能です。フォローしていないアカウントの投稿で、かつユーザーが興味がありそうな写真や動画が表示されます。
フィードやストーリーズと同じシグナルも利用されますが、発見タブでは、過去の閲覧履歴から親和性が高いアカウントを特定した上で、その中から厳選された投稿が表示されるのが特徴です。
発見タブで重視されるシグナル
- 投稿内容
- 投稿者との交流履歴
- 「いいね!」や保存、コメントなどの行動
- 投稿者の情報
- 閲覧履歴
発見タブの表示順位を上げる方法
- 投稿から短時間で「いいね!」やコメント、シェアを多くしてもらう
- リーチしたいユーザー層がインスタを閲覧しそうな時間に投稿する
- ターゲット層に近いユーザーと頻繁にやり取りする
- フォロワーではないユーザーとのやり取りを増やす
発見タブは、まだフォローされていないユーザーにリーチできることから、自分のアカウントの認知度アップやインスタのフォロワーを増やす方法として最適です。
リールのアルゴリズム
インスタのリールは最大180秒の短尺動画で、リールのアルゴリズムは、ユーザーがフォローしていないアカウントのコンテンツを発見しやすくなるよう設計されています。
視聴者の利用時間の50%はリール動画だと言われています。発見タブと同じシグナルが利用されますが、発見タブより「ユーザーが楽しめるコンテンツか」が重視されるため、ユーザーが最後まで視聴する動画であることが大切です。
リールで重視されるシグナル
- 「いいね!」やコメント、保存などの行動
- 投稿者との交流履歴
- 音源やシェア数などの人気度を含むリールの情報
- 投稿者の情報
- 視聴時間
- 音源ページに移動
- 最後まで動画を視聴する
リールの表示順位を上げる方法
- 高品質の動画をアップする
- 冒頭の3秒間で惹きつける動画を作成する
- コメントに返信するか「いいね」をつける
- ハッシュタグやロケーションタグを含める
- 「いいね!」や再シェア、コメントしてもらう
- 最後まで視聴されるリール動画を作る
- トレンドのBGMを使う
表示順位が下げられるコンテンツ
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コミュニティガイドラインに違反する投稿
インスタには、フィードとストーリーズで表示順位が下げられるコンテンツがあります。Metaはコミュニティガイドラインに違反する投稿を削除しており、違反している可能性が高い投稿に関して、フィードとストーリーズでの表示順位を下げる措置を講じています。具体的には以下のようなコンテンツが該当します。
- ヘイトスピーチ
- いじめや嫌がらせ
- 成人のヌードと性的行為
- 暴力と扇動
- 規制対象製品の売買または取引
おすすめに表示されない投稿・アカウント
インスタグラムでは、おすすめに関するガイドラインと呼ばれるルールが設けられています。投稿自体は問題なくても、以下のようなガイドラインに触れるコンテンツやアカウントは発見タブやリール、検索、フィードでおすすめしない決まりがあります。
おすすめに表示されないコンテンツ
- 安全なコミュニティの育成を阻害するコンテンツ:自殺、暴力、性的に露骨な表現、タバコや成人向け商品・サービス、医薬品など特定の規制対象商品の使用を奨励するなどしている
- 医療または金融に関する不適切または質の低いコンテンツ:美容整形の宣伝や描写、健康関連の誇張された主張、誤解を招く可能性や欺瞞的なビジネスモデルの宣伝をしている
- ユーザーが嫌がるコンテンツ:クリックベイトやエンゲージメントベイトを含んでいる
- 質の低いコンテンツ:他ソースからの転載が多くオリジナリティがない、透明性の低いニュースコンテンツなど
- 虚偽または誤解を招くコンテンツ:虚偽の主張や偽造文書の使用を奨励するなどしている
おすすめに表示されないアカウント
以下のような行動は、すべての投稿が一定期間おすすめ対象外となるので、インスタの収益化を目指すのであれば注意しましょう。
- 最近コミュニティガイドラインに違反した
- おすすめしないコンテンツを繰り返しシェアする、または最近シェアした
- ワクチンに関する偽情報(英語)を繰り返し投稿
- 暴力に結びつく活動や組織に関わりがある
- フォロワー獲得を目的として「いいね!」購入をした
おすすめの要件を満たしているかどうかは、アカウントステータスから確認することができます。
インスタのアルゴリズムを活用したアカウント運用のコツ6つ(2025年版)
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1. 投稿に一貫性を持たせる
インスタのアルゴリズムでは、アカウントのジャンルを分析しています。アカウントの投稿内容に一貫性を持たせ、何について投稿しているアカウントなのかがひと目でわかるように工夫しておくと、関心が高いユーザーにおすすめとして表示されやすくなります。インスタプロフィールにも投稿するジャンルやテーマを明記すると良いでしょう。
2. ユーザーと積極的に交流をして関係を構築する
フォロワーなどのロイヤリティを高め関係を維持するのもアカウント運用で大切なポイントです。例えば、フォローしてもらったタイミングで、お礼と簡単な自己紹介をDMで送ったり、ユーザーの投稿にコメントや「いいね!」をしたりするなど積極的にリアクションするのも有効です。
ユーザーからコメントなどをもらい、投稿のエンゲージメントを高めるためには、インスタのキャプションに「皆さんはどう思いますか?」「いいねやコメントをもらえると嬉しいです」などユーザーが気軽にコメントを残せるような工夫をすると良いでしょう。インスタのハッシュタグに「#体験談募集」や「#おすすめ教えて」などを含める方法も効果的です。
3. インスタ広告やインフルエンサーマーケティングの活用
有料のInstagram広告を活用したりインフルエンサーを使ったPRをしたりすると、商品・サービスの販売やブランドの認知拡大に役立ちます。広告費はかかりますが、アカウントが伸び悩んでいる場合には、試す価値のある投資です。
費用対効果をあげるには、マイクロインフルエンサーとのコラボがおすすめです。マイクロインフルエンサーとは、1万人から10万人程度の小規模なフォロワー数でありながら特定の分野に影響力のあるインフルエンサーを指します。フォロワーとの距離の近さや高い信頼により、ターゲットとなる顧客層にピンポイントでリーチできます。
4. 関連するユーザーやブランドの投稿にコメントする
ターゲット層に近いユーザーや、関連インフルエンサー、同業他社のコンテンツにコメントを残すと、興味関心が近いユーザーにあなたの投稿が表示されやすくなります。特に、フォロワーの多いアカウントに最初にコメントを入れると、認知度アップにもつながるでしょう。このとき、自分のアカウントへの誘導や売込みにならないように注意してください。投稿者に対して誠実で有意義なコメントを残すようにしましょう。
最初にコメントを入れるには、対象のアカウントをフォローし、そのアカウントのプロフィールページ右上の設定から投稿の通知をオンにします。投稿されると通知が届くので、すぐに閲覧しコメントを残すことができます。
5. ロケーションタグを使う
ロケーションタグとは、写真や動画がどこで撮影されたのかを示す位置情報です。ロケーションタグを追加すると、ユーザーが関心のある情報を見つけるのに役立つため、新規ユーザーへのリーチやエンゲージメントの増加につながります。例えば、旅行や飲食店の画像に使うと、有益な情報と見なされ、上位表示に役立ちます。
6. おすすめされやすいコンテンツの要素を取り入れる
リーチを最大化するためには、コンテンツを新規ユーザーに届ける必要があります。具体的には、発見タブとリールの2カ所でおすすめに表示されるよう、ユーザーに動画を長く視聴してもらう、シェア、「いいね!」などのアクションを起こしてもらう必要があります。
インスタでおすすめされやすい動画の特徴は、以下の5つです。
- 透かし(ウォーターマーク)が入っていない
- 最初の数秒で視聴者を惹きつける動画
- 180秒(3分以内)
- 魅力的な音楽を使用している
- アカウントステータスが良好なアカウント
透かし(ウォーターマーク)が入った動画は、他SNSからの転載と見なされ、おすすめに表示されにくくなるため要注意です。
まとめ
インスタグラムでは、ユーザーに最良のコンテンツを届けるために、定期的なアルゴリズムのアップデートが行われています。古いアルゴリズムに沿って運用を続けてしまうと、思うように「いいね!」を集められず、売り上げが伸びなやむ恐れもあります。インスタで稼ぐ方法を探している人、インスタで副業を行っている人、インスタの収益化を目指すアントレプレナーは、常に新しいインスタのアルゴリズムをしっかりと理解し、対策を講じることが大切です。
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インスタのアルゴリズムに関してよくある質問
インスタのハッシュタグはアルゴリズムに影響する?
インスタのハッシュタグの内容や数は、アルゴリズムに影響しません。ハッシュタグは、あくまでユーザーの検索を補助するためのキーワードなので、関連性の高いハッシュタグのみを入れましょう。関連性の低いハッシュタグを大量に入れて、興味のないオーディエンスに届いてしまうと、後のエンゲージメントに悪影響を与える恐れがあります。
インスタで毎日投稿するのはアルゴリズムに影響する?
インスタで毎日投稿することは、表示順位のアップに有効ですが、最近のアルゴリズムでは、投稿頻度より、投稿の質が重視される傾向にあります。投稿頻度を気にするあまりコンテンツの品質が下がるようであれば、2~3日に1回程度の更新頻度でクオリティを維持するよう意識すると良いでしょう。毎日投稿より大切なのは、頻度が低くても高品質の投稿を長期間に渡ってコンスタントに継続することです。
インスタの公式マークはアルゴリズムに影響する?
インスタの公式マーク(認証バッジ)はアルゴリズムに影響しません。しかし、公式マーク付きのアカウントはユーザーの信頼を得やすいという性質があります。信頼性や権威性が得られることで、フォロワーやリアクションが増加し、結果的に検索上位に表示されやすくなる可能性はあります。
文:Shigemi Saki