RiLiというブランドをご存知ですか?
D2Cという形態がブームとなっている昨今の世の中で、2017年に誕生したRiLi STOREは「#RiLiっぽ」で多くの女性に愛されています。そんなRiLi STOREのインスタグラムのフォロワー数は驚異の16.5万人(2019年11月現在)。元々はファッションメディアのRiLi.tokyoから派生したオンラインショップですが、どのようにしてメディアからアパレルブランドが誕生したのでしょうか。また、インスタグラムのフォロワー数の成長はどのように生み出されたのでしょうか。この謎を紐解くために、今回は株式会社RiLi代表取締役の渡辺麻翔さんにインタビューをしました。
RiLiのショップを立ち上げたきっかけ
RiLiのメイン事業はユーザー参加型のファッションメディアです。渡辺さんは「キュレーションメディアに近いもの」と説明します。
「わたしたちがメインでやっている事業はメディアです。ただ、わたしたちが一方的に発信するというよりは、ユーザーさんに参加してもらうというコンテンツを作っています。形態としてはキュレーションメディアに近いもので、ユーザーさんにとっても載ったら嬉しいという側面があると思っています。そこを逆手にとって、素敵なコンテンツがあったら掲載させてくださいと連絡をして、掲載されることでユーザーさん自身が喜んでくれる、という流れを作り、徐々に広がってメディアの人気が高まっていきました」
メディアを運営する中でユーザーとコミュニケーションを取る機会が増えたと渡辺さんは説明します。このコミュニケーションの中からユーザーの需要やニーズについての理解が深まり、ネットショップの開設へとつながりました。
「メディアを運営していると、ユーザーさんと自然とコミュニケーションが発生し、インスタグラムで流行っているものや、探しているけど売っていないものという需要が見えてくるようになったんですよね。そこで、発信していたコンテンツを記事から、商品という形で変換してみたらすごく喜ばれたんです。当時、インスタグラムでパジャマパーティーの写真を撮るのが流行っていたので、かわいいパジャマを探してきて売ったら、その日のうちに完売。これを拡大したらユーザーさんに喜んでもらえるコンテンツになりそうという発想からショップがはじまりました。なので、最初からショップをやろうと思っていたわけではないんですよね」
そのようにしてはじまったショップは急成長を遂げます。まさにユーザーとの対話から新たなビジネスが生まれた瞬間でした。
こういう世界になったらという思いで起業
渡辺さんが思い描く「こういう世界になったらいいな」という考えからRiLiは誕生しました。
「自分のキャリアはすごく複雑で、ウェブデザイナーやプロマネからマーケターなど色々やってきたんですけど、すべてファッションとITの真ん中みたいな立ち位置だったのは共通していました。これはアパレルメーカーでのマーケター時代の話なのですが、ファッションをインターネットで見つけようとすると、どうしても最初に絞り込まないといけないんですよね。検索キーワードやカテゴリーで絞り込むと思うんですけど、ファッションのテイストや自分が好きなものというものが言語化できないから絞り込めないという課題感が常にありました」
「スタイルを探すときに、ネット上ではブランド名でしか調べられないけど、オンラインから外れたときに自分がどういう探し方をしているかなと考えたときに、たとえば町や建物の特色から調べるよねと気が付きました。例えば、原宿に行けば原宿っぽいものがあるとか、丸の内に行けば丸の内っぽいとか、ルミネとパルコはちょっと違うよねなど。そのなんとなくの場所が持っている雰囲気をあてにして買い物に行くと思ったので、そういう場所がインターネットにあっても面白いんじゃないかと。ファッションの分野で雰囲気から自分にマッチする商品を探したいというのが起業のきっかけでした」
しかし、渡辺さん自身は自分が起業するとはまったく思っていなかったと言います。
「こういう世界になったらいいなが先にあって、それをやるってなったときに、自分でやり始めないと始まらないなというのが起業の理由です」
一方で、振り返ってみると、現在の事業内容は実は高校時代からつながっています。
「わたし、新潟出身なんです。高校のときからファッション雑誌が好きだったんですけど、載っているものが全部東京のブランドで。東京にあるブランドのショップバッグを持っている子が偉いみたいな空気があったんですね(笑)ただ、なかなか簡単に行ける状態じゃないときにAmazonが盛り上がり始めたり、ZOZOTOWNができて、これからは絶対にファッションでも通販の流れがくるし、そういうのに関わりたいとも思っていたのがきっかけだったりします。自分の起源を遡ると高校まで行きますね」
Shopifyの拡張性を期待して乗り換え
元々は日本のECプラットフォームを使っていたRiLiですが、2018年にShopifyに乗り換えます。乗り換えた理由について渡辺さんは、国内プラットフォームでは手に入れられない「拡張性」を挙げてくれました。
「ショップを始めたときは、ネットショップ自体がうまくいくかわからなかったので、一番リソースをかけなくても良い無料のサービスを使っていたんですけど、売れはじめて、月商がある程度の金額を超えたタイミングで、倉庫の連携や物流などに問題が出てきてしまったんですよね。そのときに、改めて物流を考慮してストアを作り直すことになったんですが、国内のサービスだとまだAPIが公開されていないということもあったので、海外のサービスで行こうと考えていました。Shopifyはすごく伸びているという情報は知っていましたし、Instagramとの連携もできるというところで、Shopifyにしようと決めました」
また、実際に使いはじめてから気づいたことがあると言います。
「拡張性に関しては期待以上だったのですが、ひとつ好きになったポイントがありまして…Shopifyはダッシュボードがきれいですよね!見たい情報がここにあるというのが、他の様々なツールと比較してもトップクラスでわかりやすいなと思います。ダッシュボード上で日々追っているKPIがすぐに確認できるのが魅力的ですね」
RiLiのストアでこだわっていることのひとつが商品ページです。RiLiではトップページよりも商品ページに重きを置いてストアを作成しています。
「普通のネットショップってトップページから商品を探すという体験に集中していると思うんですけど、RiLiの場合はインスタグラムがショップのトップページみたいな役割を果たしているので、トップページよりも商品ページを凝って作っています。例えばストーリーズみたいな動画を商品ページに載せていたりします」
実際に商品ページを見てみると、商品の説明よりも着用イメージ画像がたくさん並んでいます。そこにRiLiの強みを出しています。
「自分が着たときのイメージは、写真がいっぱいあったときのほうが湧きますよね。文字って私も読まないですし(笑)機能性やディテールを求めているというよりは、こういうスタイルになりたいからこの商品が欲しいという発想で買われる方が多いと思うので、商品だけの写真を使うよりは、コーディネートで『こうやって着てるのは実はこの商品だよ』みたいな見せ方にしています」
RiLi流インスタグラムの使い方
RiLiにインスタグラムの存在は不可欠です。毎日更新されるインスタグラムのアカウントのフォロワーは24.8万人(メディアアカウント)と16.5万人(ショップアカウント)。成長の理由のひとつは「お客さんの需要にそのまま答える」ということがあるようです。
「コンテンツでは7割はお客さんの需要にそのまま答えるということをかなり意識しています。期待を変に越えようとするよりは、こういうのが欲しいと言われたものをそのまま提案するというのを心がけています。お客さんにとって、RiLiに来れば外れがないという体験を作るためにそうしています。ただ、それが100%になってしまうと、RiLiらしさや、RiLiである必要性がないただの便利なサイトになってしまうので、残りの3割は、お客さんが自分たちでも自覚していないような需要を先に読んで提案していくというコンテンツ作りに挑戦しています」
「現在は単純にお客さんにリーチするというよりは、一個一個の質を高めていってフォロー転換率を上げるという方針になっています。他社さんのフォロー転換率がどうかという細かい数字は見れないんですけど、フォロワー増数とか見ている感じでは、たとえばRiLiインスパイアのメディアさんていくつかあるんですけど、そこよりはフォロワー伸びてるかなくらいの感じですね」
そんなRiLiが抱える悩みが動画をどのように活用していくかだといいます。
「わたしたちは『ぱっと見で何を伝えたいのか』がわかるという指標、これを情報摂取効率と呼んでいるのですが、このことを念頭に置いてインスタグラムの投稿をしています。これが動画だと、どのような形が情報摂取効率が高くなるのかという答えが見つかっていません。ストーリーズは、多くのユーザーが見ているのでひとつの形だとは思っているんですが、投稿中の動画だと、プロフィールを見たときにはタップしないと再生されないという問題があり、情報摂取効率という点だと効率が悪く、厳しいのではないかなとは思っています。ここが悩みのひとつですね」
今後もRiLiのファンに喜んでいただくを目標に
オンライン販売で大成功を収めているRiLiですが、これまでにポップアップイベントも何度か開催し、どれも大盛況に終わっています。
「ポップアップをやっていて価値として感じたのは、そこで熱量をブーストさせることができるところですね。来た子たちが、『行ったよ』っていうのを思った以上に拡散してくれて、RiLiへの期待値が高いということも体験できたのは良かったです。また、実際にお客さんを目の前にして『こういう子たちが普段RiLiを見てくれている』という、お客さんへの理解度も深まったという意味でも、SNSよりもポップアップのほうが得られる情報量が多かったですね。なので今後もポップアップは続けていきたいとは思います」
では、実店舗のオープンは…?アパレルショップの集大成として実店舗オープンというのはよく聞く夢ですが、RiLiの場合は「お客さんに喜んでもらえる施策として」ならオープンの可能性があるとのことです。
「実店舗オープンに関しては必要であればやるという感じですね。ここは、自分が新潟出身という話に戻るんですけど、東京に店舗があることのメリットを考えるのが難しいんですよね。例えば東京でポップアップを開くと、東京の子たちに喜んでもらうというのが軸になってしまうのですが、そうすると例えば大阪の子から『大阪でポップアップをしないんですか?』というDMが来たときに、せっかく通販で全国にファンがいるのに、全員の期待に応えられていないことに申し訳なさを感じてしまうんですよね。なので、実店舗がいいというよりは、あくまでRiLiのファンの方に喜んでいただく施策をこれからも続けていく。その1つとして実店舗という選択肢もあり得るとは思います」
常にお客様のことを第一に考えて、商品作りからインスタグラムの見せ方、さらには将来の計画までも進めていくRiLi。成長を続ける彼らから目が離せません。
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