ネットショップ開業で何を売れば成功しやすいのかを、商品の見つけ方とあわせて解説します。初心者でも利益が出しやすい商品アイデアも参考にしてみてください。
商品リサーチとは?
商品リサーチとは、特定の商品や市場についての情報やデータを収集することで、具体的には、競合、顧客層、そして業界全体の動向を調査します。さらに、市場の需要や実現可能性、最適な販売チャネルなどを見極めるための分析も含まれます。
商品リサーチは、これからネットショップを始める人にとって、売れる商品を見つけるための重要なステップです。また同時に、すでにビジネスを展開しているブランドにとっても、新たな商品カテゴリーへの参入を検討する際に役立つ戦略的な手がかりとなります。
売れる商品の見つけ方16選
1. 顧客の悩みを解決する
成功している商品の多くは、顧客の悩みを解決するものです。売れる商品を見つけるには、消費者が日常で感じている悩みや不満に注目することが大切です。特に、SNSや商品レビューサイトには、消費者のリアルな声が集まっており、新しいアイデアのヒントが隠れています。
ただし、悩みを解決するために、必ずしもゼロから新しい商品を開発する必要はありません。すでに市場にある商品のデザインや機能上の欠陥、業界のサービスの問題点を見直すことで、新たなビジネスチャンスを生み出せることもあります。
例えば、大阪府のバイクや自転車用のヘルメットを製造している株式会社オージーケーカブトは、幼児のヘルメット着用が義務化(2008年)された後も、約半数の保護者が子供にヘルメットをかぶせていないことを調査で突き止め、安全規格の最小サイズよりも小さいサイズの幼児用ヘルメット「picot(ピコット)」を開発しました。ヘルメットのサイズが合わないという問題を解消し、多くの保護者から支持を得ることに成功しました。
2. トレンドを先取りする
トレンドをいち早く捉えることができれば、競合が参入する前に優位な立ち位置を確立できる可能性があります。ただし、トレンドとして認識された時点で、すでにピークに近づいていることが多いため、トレンドが主流になる前に見抜くことが重要です。
次のヒット商品を予測するにあたっては、以下のような情報源を参考にすることで、今後伸びる可能性のあるトレンドを先取りできる可能性があります。
・SNSの動向をチェックする:Instagram(インスタグラム)やTikTok(ティックトック)などのSNSでトレンドのハッシュタグをチェックしたり、特定のジャンルのインフルエンサーをフォローすることで、どんな商品やライフスタイルが注目されているかを把握できます。
・Googleトレンドを活用する:トレンドの人気度がどのように変化しているかを時系列に沿って確認できます。ファッションと同様に、トレンドは繰り返される傾向があります。次の波を予測する手がかりとして、Googleトレンドを活用しましょう。
・業界の専門メディアを参考にする:業界の専門メディアには、調査結果や過去のトレンドに基づいた分析が掲載されている場合があります。ファッション業界であれば「FASHION PRESS(ファッションプレス)」、テクノロジー分野であれば「GIZMODO(ギズモード)」などが参考になります。
・ニュースやポップカルチャーを追う:ニュースや映画・ドラマは、消費者の興味・関心を左右します。例えば、韓国ドラマの人気が高まると、韓国コスメの需要も伸びる傾向にあります。環境問題など、社会的なトピックが新たな商品トレンドを生むケースも少なくありません。
・新技術の登場に注目する:新しい技術の登場によって、その技術を使った商品の需要が生まれることがあります。AIや機械学習の進化によって、スマート家電やスマートデバイスが次々と登場していることがその一例です。
3. ニッチな商品を扱う
特定の趣味や関心を持つ人々は、自分のこだわりを満たしてくれる商品には積極的にお金を使う傾向があります。そのため、ターゲット市場をしっかりと把握することが重要です。特に、自分が属する趣味の世界やコミュニティで商品を販売すると、ニッチ市場を見つけやすくなります。例えば、週末に登山を楽しんでいる場合は、仲間と話しながら、どんな商品が求められているかをリサーチするのも有効な方法です。
ニッチ市場は規模が小さいものの、ニーズに合った商品を提供できれば、熱心なファンを獲得できる可能性があります。さらに、市場にまだ存在しない「満たされていないニーズ」を見つけられると、成功のチャンスはさらに広がります。
例えば、バルミューダは、高級家電というニッチ市場に特化し、成功を収めました。一般的なトースターは5,000円程度で販売されているなかで、洗練されたデザインと独自のスチーム技術を採用して、20,000円以上という高価格帯ながら大ヒットしました。
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4. ニーズが十分に満たされていない市場を狙う
ニッチな趣味や関心を持つ人々だけでなく、特定の層全体のニーズが市場で十分に満たされていない場合もあります。例えば、LGBTQ+の人々が結婚を考えたとき、多くのウェディング関連商品が異性愛者向けに作られているため、自分たちに合うものが見つかりにくいという課題があります。このような市場のギャップを見つけることで、求められている商品を見つけられるチャンスが生まれます。
例えば、足の小さな女性向けの靴ブランド「フォアモスマルコ」は、20.5~22.5cmまでの小さいサイズの靴のみに特化して商品展開しています。
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5. 自分の好きな商品を扱う
自分の好きなことを仕事にすることは、起業の一般的な方法の一つです。ハンドメイド商品の販売など、趣味を発展させて事業化するケースも多く見られます。自分が本当に情熱を持てる分野であれば、モチベーションを維持しやすく、ターゲット市場のニーズも理解しやすい というメリットがあります。
例えば、木之下嘉明氏は、もともとは会計の仕事をしていましたが、ワイン好きが高じて、カリフォルニアワインと世界のピノ・ノワール専門のオンラインショップ「しあわせワイン倶楽部」 を立ち上げました。現在では、自社サイトに加えて、楽天市場やAmazon(アマゾン)など複数のプラットフォームで展開し、姉妹店「しあわせ日本ワイン」 も運営しています。
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6. 専門知識や経験を活かす
これまでの職歴や専門知識は、ビジネス成功の大きな助けになります。例えば、スポーツコーチとしての経験を活かして、アスリート向けの商品を販売することが考えられます。また、教師としての経験がある場合は、オンライン教育コンテンツを制作して販売することもできるでしょう。
これまでの経験を活かす最大のメリットは、業界の仕組みやターゲット層を理解していることに加えて、人脈を活かせるため信頼を得やすく、スムーズにビジネスを展開しやすい点です。
例えば、塚田英次郎氏は、大手飲料メーカーに21年間勤務し、ペットボトル飲料の商品開発やブランディングに携わった経験を生かして、抹茶マシン「CUZEN MATCHA(空前抹茶)」を開発・販売するWorld Matcha Inc.を設立しました。抹茶は自分で美味しく淹れるのが難しかったため、手軽に本格的な抹茶を楽しめるマシンを開発し、アメリカ市場で発売し、ヒットしました。
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7. キーワードリサーチを活用して売れ筋商品を探す
ネットショップを成長させるには、SEO対策を行い、検索エンジンからの訪問者を増やすことが有効ですが、検索結果の上位に表示されるのは容易ではありません。また、Googleのアルゴリズムは頻繁に変わるため、自然検索から自社サイトへの流入を増やすのはハードルが高いのが現状です。
一方で、検索エンジンの仕組みを活用して、売れ筋商品を見つけることは可能です。 Google検索で気になる商品に関連する単語を入力すると、ユーザーがよく検索する関連ワードが表示されるため、需要の高いキーワードを把握できます。
こうしたキーワードリサーチには、「ラッコキーワード」のような無料ツールも活用できます。たとえば、ヨガマットを販売したい場合、「ヨガマット 厚さ 10mm」や「ヨガマット 初心者向け」といった具体的な特徴を含むキーワードを調査することで、よりニーズに合った商品選定が可能になります。
8. SNSを活用する
SNSは、トレンドを把握したり、キーワードリサーチを行ったりするためにも便利なツールです。また、アイデアを試したり、ターゲットとなるユーザー層の行動を把握したり、新たなインスピレーションを得たい場合にも適しています。
例えば、BASEやminneでアクセサリーショップを展開するLiiraa(リーラー)は、InstagramやThreads(スレッズ)で積極的に情報発信を行い、幅広い年齢層に向けた商品を紹介しています。コメント欄で質問に答えて一般ユーザーとの交流を深め、商品ニーズの把握にも役立てています。
9. オンラインマーケットプレイスをチェックする
Amazonや楽天市場、Yahoo!ショッピングなどのオンラインマーケットプレイスは、商品を販売する場としてだけでなく、売れ筋商品を調査するためのツールとしても活用できます。 例えば、以下のようなリストをチェックすると、消費者の関心が高い商品カテゴリーや、競争が激しい分野、狙い目の商品を見つけやすくなります。
- Amazon 人気度ランキング(最近売れ行きが伸びている商品を把握)
- 楽天市場 デイリーランキング(楽天内で売れている商品が毎日更新)
- Yahoo!ショッピング おすすめ人気ランキング(月ごとの人気のランキングを紹介)
また、Amazon向けの「ERESA(イーリサ)」や「SellerSprite(セラースプライト)」などのツールでは、商品の需要予測や競合の状況など幅広い分析が可能です。
10. 既存の商品を改良する
売れる商品のヒントは、すでに販売されている商品のレビューに隠れています。 特定の商品、カテゴリー、または業界を絞り込んだら、Amazonや楽天市場などの売れ筋商品のレビューをチェックし、購入者の不満や改善の余地がある点を探してみましょう。
レビューの閲覧は、すでに事業を展開している場合にも役立ちます。自社の商品レビューを分析し、ユーザーの要望を反映させた新商品を開発することで、リピーターの獲得やブランド強化につなげることができます。
11. 利益率の高い商品をリサーチする
利益率の高い商品は、新規ビジネスのスタートにも適しています。商品価格を決める際には、売上原価を考慮して、適正な利益率を確保することが必要です。売上原価には、商品の製造や仕入れだけでなく、販売促進、保管、配送などにかかるコストも含まれるため、これらを計算した上で十分な利益を確保できる商品を選ぶ必要があります。
低コストで仕入れやすく、ROIが高い商品は狙い目で、子ども向け商品、趣味・嗜好性の高い商品、キャンドルやアロマグッズ、プライベートブランド商品などがお勧めです。
12. サステナビリティに対する需要に応える
近年の消費者トレンドとして、「良い行いをする」ブランドへの需要が高まっています。 具体的には、サステナブルなビジネス慣行の実践や、環境に配慮した商品の提供など、多岐にわたります。 特に若年層の消費者は、自分の価値観と一致するブランドに惹かれる傾向があります。
自社サイトでの販売に適したサステナブルな商品を見つけるには、他のサステナブルブランドをリサーチしたり、既存の商品をサステナブルな仕様にアップデートすることができます。
例えば、京都発のチャリティー専門ファッションブランド「JAMMIN(ジャミン)」は、毎週異なるNPOとコラボレーションし、1週間限定でデザインTシャツを販売しています。Tシャツが1枚売れるごとに、700円がNPOに寄付される仕組みで、これまでに70以上の団体に総額300万円以上を寄付しています。
13. 展示会や見本市に足を運ぶ
すでに興味のある業界や商品カテゴリーがある場合は、見本市や展示会に足を運んでみましょう。
会場では、どのブースが特に注目を集めているか、来場者がどのような商品に関心を示しているかを観察することがポイントです。
国内では「JAPAN SHOP」や「FOOD STYLE JAPAN」など、さまざまな分野の見本市が定期的に開催されています。 これらのイベントに参加し、市場の動向を自分の目でリサーチすることで、ネットショップで扱う商品を見つけるヒントが得られるでしょう。
14. パーソナライズを取り入れる
競争の激しい市場で差別化を図る方法の一つが、ユーザーがカスタマイズできる商品の提供です。オリジナルデザインのTシャツやマグカップを作れるオンデマンド印刷のようなサービスを利用すれば、在庫を持たずにパーソナライズ商品を販売できます。
例えば、「じぶんまくら」はユーザーの体型や睡眠中の悩みに基づいて調整したオーダーメイドの枕を販売しており、全国に多数の店舗を展開しています。
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15. 海外市場のトレンドを分析する
海外で流行している商品やトレンドをいち早くキャッチし、自国市場で展開することで、大きなビジネスチャンスをつかめる可能性があります。 例えば、2010年代初頭に北米で韓国コスメがブームになったように、トレンドが国境を越えて広がることは珍しくありません。
日本の消費者に影響を与えやすい欧米や韓国、中国などの市場をチェックし、新たなトレンドの兆しを見つけましょう。
このアプローチには、海外の人気商品をヒントにオリジナル商品を開発する手法と、既存の海外ブランドの正規販売代理店となったり、輸入販売を行う手法の2通りがあります。
例えば、アメリカのビーズソファブランドの「Yogibo(ヨギボー)」は、ウェブシャーク社の木村誠司社長が個人的に輸入し、その魅力を実感したことから、いち早く日本総代理店契約を結んで国内販売を開始しました。その後、独特のマーケティング手法も功を奏して、日本の代理店がアメリカ本社を買収するほどにヒットしました。
16. 社会の変化をビジネスのヒントにする
サステナブル需要に応える以外にも、社会的課題に取り組むブランドは、同じ価値観を持つ顧客のロイヤルティを高めやすい傾向があります。
商品自体は一般的なものであっても、社会貢献を行っているブランドであることを打ち出すことで、他社との差別化を図ることができます。
例えば、フードロス削減に取り組む社会貢献型ショッピングサイト「KURADASHI(クラダシ)」は、メーカーから提供された商品を最大97%オフで販売し、売上の一部を環境保護や動物保護などの社会貢献団体に寄付しています。
商品のアイデアの検証
商品のアイデアが本当に有望かどうかは、実際に販売し、ユーザーの反応を確かめることで、はじめて明らかになります。しかし、その前に市場調査を通じて競合を分析し、ターゲット層へのアンケートやSNSで意見を収集することで、ニーズを見極めることができます。また、コストを計算し、適切な価格設定を行うことも利益確保のために不可欠です。クラウドファンディングを利用して、正式な販売前にユーザーの関心を確かめたり、プレセール(事前販売)を行って実際の需要を見極めることも大切です。
まとめ
ネットショップで成功するためには、売れる商品の選定が重要なポイントです。トレンドを先取りしたり、ニッチな需要に着目することで、競争の激しいオンライン販売でも独自のポジションを確立できます。また、これまでの経験や自分の好きなことを活かすことで、専門的な知識を活かして事業を展開しやすくなります。
キーワードリサーチやSNSの活用、オンラインマーケットプレイスでのデータ分析を通じて、消費者のニーズを理解することも必要です。既存の商品を改良したり、サステナブルな要素を取り入れたりすることで、売上を伸ばすことができます。
商品のアイデアが決まったら、実際に売れるかどうかを検証しましょう。市場調査を行ったり、クラウドファンディングやプレセールを活用することで、ターゲットとなるユーザーの需要を把握でき、市場に受け入れられる商品を見つけられる可能性が高まります。
次のステップとしては、ターゲット顧客に向けた販売戦略を考え、効果的な宣伝を行いましょう。スムーズにショップを開設し運営するためには、ShopifyのようなECプラットフォームを活用するのもおすすめです。直感的な操作でオンラインストアを立ち上げることができ、カスタマイズ機能も充実しているため、初めての方でも安心して販売をスタートできます。
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よくある質問
ネットショップで売るものがない場合は?
ネットショップで販売する商品が見つからない場合、以下のような販売方法も検討してみてください。
- 無在庫販売(ドロップシッピング)を行う:在庫を持たず、注文が入ってから仕入れ先に発注し、購入者に商品を直接発送する方法です。これにより、在庫リスクを軽減できます。
- 中古品やアンティーク商品を販売する:中古品の販売店やフリマアプリで商品を仕入れて再販することで、独自性のある商品ラインナップを構築できます。
- 無形の商品を販売する:デジタルコンテンツやオンラインサービスなど、形のない商品を提供することで、在庫管理の手間を省けます。
ネットショップで利益率の高い商品とは?
ネットショップで高い利益率を得るためには、以下のような商品が適しています。
- オリジナリティの高い商品:他店にはない独自の商品やサービスを提供することで、差別化を図ることができ、利益率を高めることができます。
- 需要が増えている商品:健康志向や美容意識の高まりによって需要の増えている美容・健康グッズや、アウトドアブームで需要の高まっているキャンプやハイキング用グッズは、消費者の購買意欲が高まっており、高い利益率が期待できます。
- 限定品や希少価値の高い商品:有名ブランドの限定コラボ商品や季節限定の商品は、ユーザーに特別感を与えることができ、高い利益率が見込めます。
ネットショップでの販売に向いていない商品とは?
ネットショップでの販売に向いていない商品には、以下のようなものがあります。
- 実際に手に取って確認しないと品質が分からない商品:家具や衣類など、実物を見て質感やサイズ感を確認したい商品は、オンライン販売ではユーザーが不安を感じやすく、実店舗で買いたい人が多いため不向きです。
- 安くてどこでも手に入る商品:近所のスーパーなどで気軽に買える日用雑貨などは、値段も安く、送料が商品代金より高い場合はネットで買うメリットが少なく、ネットショップでは利益を上げにくいため不向きです。
- コミュニケーションが必要な商品:ローカルアーティストの作ったアクセサリーなど、対面での説明が求められる商品は、ECサイトでは魅力を十分に伝えにくい場合があります。
文:Yukari Watanabe