感染症拡大の影響を受け、リモートワークを推進する企業が増えました。それに伴い、働き方に対する意識も多様化し、自宅でネットショップ開設を行ったりなどして起業する方も増えています。そのようなネットショップ経営者や個人事業主の方に注目を集め始めているのが「バーチャルオフィス」です。
本記事では、バーチャルオフィスの概要や、バーチャルオフィスを利用するメリットとデメリット、費用相場などについて解説します。さらに、自由にネットショップを構築できるツールについてもご紹介します。
目次
- バーチャルオフィスとは?
- バーチャルオフィスを利用するメリット・デメリット
- バーチャルオフィスについての疑問
- バーチャルオフィスの利用が向いている人
- バーチャルオフィスの費用ってどのくらい?
- まとめ
- よくある質問
バーチャルオフィスとは?
「バーチャルオフィス」とは、新しいオフィス形態を指します。これから新規事業を立ち上げる方や、オンラインショップ経営者の方におすすめなオフィスサービスです。
ここからは、バーチャルオフィスの概要やポテンシャルについて解説します。
簡単に言うと仮想の事務所
「バーチャルオフィス」とは、バーチャル空間にオフィスを構えることであり、「仮想空間上の事務所」を指します。バーチャルではありますが、実在する住所や電話番号を利用でき、バーチャルオフィスの住所に届いた荷物や書類の転送といったサービスも提供されています。ただし、あくまでも「仮想空間上の事務所」であるため、バーチャルオフィスの住所には、仕事に利用できるワーキングスペースはありません。
起業・副業ができる
バーチャルオフィスを利用すると、起業や副業が始めやすくなります。とくに、起業を目指す方に共通する悩みとして、初期費用や事務所設立費用といったコスト面が挙げられます。事務所設立にはオフィス家賃や初期設備を含め、かなりの費用負担を強いられます。その点、バーチャルオフィスであれば、初期設備にかかる費用やオフィス家賃を大きく抑えることが可能です。
バーチャルオフィスとレンタルオフィスの違い
バーチャルオフィスとレンタルオフィスは混同されがちですが、両者はまったく別のオフィス形態です。バーチャルオフィスとレンタルオフィスの大きく異なる点は、実際に使用できるワーキングスペースの有無です。バーチャルオフィスでは、ワーキングスペース自体が貸し出されることはありません。
一方、レンタルオフィスでは通信環境や備品といったオフィス環境がすでに整備されています。そのため、契約後はすぐに事務所として利用できます。
バーチャルオフィスのサービス内容
一般的にバーチャルオフィスでは以下のようなサービスを提供しています。
- 住所・電話番号・FAX番号の貸し出し
- 郵便物の受け取り・転送
- 会議スペースの貸し出し
バーチャルオフィスを利用して起業した場合、借りた住所宛に郵便物が届きます。この郵便物を受け取る、または届いた郵便物を指定住所に転送するサービスが「郵便物の受け取りと転送」のサービスです。また、対面でのミーティングが必要な場合には、会議スペースも利用できます。
バーチャルオフィスを利用するメリット・デメリット
仮想空間上の事務所を借りるバーチャルオフィス。利用すれば、さまざまなサービス提供を受けることができます。ここからは、バーチャルオフィスを活用した際の主なメリット7つとデメリット4つについて解説します。
バーチャルオフィスを活用するメリット
バーチャルオフィスを活用した際の主なメリットは、下記の7つです。
- 法人登記ができる
- 都心一等地の住所が得られる
- 費用を抑えられる
- 取引先や金融機関からの信用を得られる
- 郵便物の受け取りや転送ができる
- 電話番号やFAX番号を利用できる
- 会議室を利用できる
それぞれのメリットについて、詳しく解説します。
法人登記ができる
バーチャルオフィスを活用すると、住所を借りるだけではなく、借りた住所で法人登記するオプションサービスも利用可能です。たとえば、ネットショップを開設する際には、バーチャルオフィスで住所を借りれば、自宅住所を登記簿に記入せずに法人登記ができます。
都心一等地の住所が得られる
バーチャルオフィスの多くは、都心の一等地や有名な高層オフィスビルです。起業してすぐに事務所を設立する場合、一般的には資金面を考慮すると入居しづらい物件です。しかし、バーチャルオフィスであれば、気軽に都心一等地にオフィスを構えることができます。さらに、バーチャルオフィスの住所をホームページや名刺に記載できるメリットがあります。
費用を抑えられる
バーチャルオフィスを活用すると、事務所の設立費用・初期設備・備品代・人件費といった費用を削減できます。当然のことながら、バーチャルオフィスの利用には月額費が発生します。しかし、都心の一等地や有名な高層オフィスビルと比較した場合、毎月の賃貸料だけでも大きな差額が生まれます。バーチャルオフィスは、毎月数千円から利用できます。新規事業に際して、初期投資費用を最小限に抑えたいなら、バーチャルオフィスの活用がおすすめです。
取引先や金融機関からの信用・信頼性
バーチャルオフィスは、都心一等地の住所を使うことができるため、立地による信用度が高まる傾向があります。起業当初から都心一等地にバーチャルオフィスを構えれば、自社のブランドを確立させる方法として有利に働くでしょう。また、バーチャルオフィスであっても、取引先や金融機関からの信用度や信頼性、評価に影響を及ぼすことはありません。
郵便物の受取り・転送ができる
バーチャルオフィスが提供するオプションサービスのひとつに、「郵便物の受け取りと転送」があります。このサービスの流れは以下のとおりです。
- 顧客や仕入れ先からの荷物が、バーチャルオフィスの住所宛に届く
- バーチャルオフィスのスタッフが郵便物の受け取り・仕分け・転送処理を代行する
- 登録住所に荷物が転送される
郵便物の受け取りと転送サービスを利用すれば、郵便物の仕分けや転送に使う労力を削減できるだけではなく、自宅住所を公表せずに起業できます。
電話番号やFAX番号が利用できる
ネットショップを開設する場合には、問い合わせや受注に対応するための電話番号やFAX番号が必要です。そのため、住所と同様に電話番号やFAX番号も「転送サービス」を利用できます。このサービスでも個人の電話番号などを公表せずに、プライバシーを保護できます。
会議室を利用できる
業種によっては、オンラインではなく対面でのミーティングが必要とされる場面もあります。そのような場合に、会議室を利用できる点もバーチャルオフィスを活用するメリットです。一般的に会議室をレンタルする場合、会議室の下見・予約・支払いといったさまざまな手順を踏まなければなりません。しかし、「会議室レンタルサービス」を利用すれば、これらの手順を踏む手間と労力を削減できます。
バーチャルオフィスを活用した時のデメリット
バーチャルオフィスを活用した際の主なデメリットは、下記の4つです。
- 事務所要件が含まれる許認可が取れない
- 他社と住所が重複することがある
- 働く場所の確保が必要
- 格安サービスを利用していると思われる
それぞれのデメリットについて、詳しく解説します。
事務所要件が含まれる許認可が取れない
実態のあるオフィスや独立した事務所が必須とされている一部の業種では、会社住所として登録できません。バーチャルオフィスの活用ができない主な業種は、以下のとおりです。
- 職業紹介業
- 人材派遣業
- 弁護士
- 税理士
- 司法書士・税理士といった士業
- 建設業
- 探偵業
- 古物商
- 不動産業 など
他社との住所の重複が起こる
バーチャルオフィスで利用できる住所は、複数の会社で共有されています。そのため、人気のあるバーチャルオフィスを利用していると、他社と住所が重複します。インターネットで住所を検索した際に、他社のホームページが上位に表示される場合もあり、会社の信頼を低下させてしまう可能性もあります。
働く場所を別に確保する必要がある
バーチャルオフィスでは、住所や電話番号、会議室をレンタルできても、事務所自体はレンタルできません。そのため、個人でワーキングスペースを確保する必要があります。例えば、自宅やカフェなどをワーキングスペースにするとよいでしょう。なお、コワーキングスペースを提供しているバーチャルオフィスもあるため、事前にサービス内容をチェックしておきましょう。
格安サービスを利用されていると思われる
「バーチャルオフィスは格安料金のサービス」という固定概念を抱く企業も多く、バーチャルオフィスの利用はマイナスに捉えられやすい傾向もあります。住所の重複などによりバーチャルオフィスの利用が知られると、顧客や仕入れ先によっては、信頼性を失うリスクがあることを留意しておきましょう。
バーチャルオフィスについての疑問
バーチャルオフィスは注目され始めたばかりのサービスであり、実態は広く知られていません。そこでここからは、バーチャルオフィスについて、とくに多く挙げられる疑問に解答します。
銀行の法人口座は開設できる?
銀行で法人口座を開設する場合は、各銀行で口座開設に関する条件が異なるため事前確認が必要です。バーチャルオフィスの住所を利用できるかどうか、複数の銀行に事前に問い合わせておきましょう。
社会保険や雇用保険の加入申請はできる?
日本では、起業する場合には社会保険への加入が義務付けられています。バーチャルオフィスだからといって強制加入の義務から外れることはありません。バーチャルオフィスの住所で起業しても、社会保険や雇用保険加入への申請は可能です。
開業できない業種がある?
前述したとおり、職業紹介業・人材派遣業・士業・建設業・探偵業・古物商・不動産業といった業種は、バーチャルオフィスを利用できません。これらの業種では起業にあたり、実態のあるオフィスや独立した事務所が必須とされているためです。
法人税・所得税・住民税の納税地はどこ?
ネットショップ開設のためにバーチャルオフィスを利用している場合、法人税と所得税はバーチャルオフィスの住所を管轄する税務署、住民税は居住地の役所で、それぞれ納税しなければなりません。
バーチャルオフィスの利用料は確定申告で経費にできる?
バーチャルオフィスの利用料は経費に計上できます。「賃借料」もしくは「支払手数料」という勘定科目で計上してください。
住所でウェブ検索をされたら困らない?
前述のとおり、バーチャルオフィスの住所は複数の会社で共有できます。そのため、住所をウェブ検索された場合、他社のホームページが上位表示される可能性があります。これがきっかけとなり、バーチャルオフィスの利用が知られ、顧客の信頼を損なう可能性があります。
バーチャルオフィスの利用が向いている人
バーチャルオフィスの利用に向いている人は、下記の4タイプが挙げられます。
- フリーランスや個人事業主の方
- 自宅やクライアント先など事務所以外で作業をすることが多い方
- 自宅の住所を登記したくない方
- 都心中心部の住所を得たい方
以上の4タイプについて詳しく解説します。
フリーランスや個人事業主
フリーランスや個人事業主の方は、初期費用やランニングコストを低く抑えることができるため、利用に向いている人だと言えます。
自宅やクライアント先で作業することが多い方
自宅やクライアント先で作業することが多い方は、物理的な作業スペースは必要なく、プライバシー保護の観点からもバーチャルオフィスが最適であると言えます。
自宅で登記することが不可能な方
自宅がマンションである場合、マンション規約で法人登記ができないことがあります。自宅の住所を登記できない場合には、バーチャルオフィスを利用して住所を取得することをおすすめします。
都市中心部での住所が欲しい方
起業したばかりの頃は、自社ブランディングが重要です。ブランディングの一環として、都心中心部の住所を利用するのであれば、バーチャルオフィスを活用しましょう。
バーチャルオフィスの費用ってどのくらい?
バーチャルオフィスは、実在する事務所を設立するよりも費用を抑えられます。具体的なバーチャルオフィスの費用相場について、東京23区・関東・地方のエリアに分けてご紹介します。
23区の相場
東京23区内では、月額4,000円代前後がバーチャルオフィスの費用相場です。ローカルなエリアでは、月額1,000〜2,000円代と安く設定されていることもあります。
関東の相場
関東全体におけるバーチャルオフィスの費用相場は2,000〜4,000円です。都心一等地に比べると、ブランド力は劣りますが、都心に近いエリアであるため東京23区に近い価格が設定されています。
地方の相場
地方都市におけるバーチャルオフィスの費用相場は1,000~2,000円台です。
まとめ
リモートワークの広がりにより、注目され始めたバーチャルオフィス。バーチャルオフィスは、リモートワークだけではなくネットショップ開設など、自宅で起業したい方にも適しています。バーチャルオフィスを利用すれば、自宅の住所を登記する必要はなく、電話番号やFAX番号も借りることができ、プライバシー保護の観点からも安心して利用できます。
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