トップレベルドメインという言葉を知らなくても、インターネットを利用していれば「.jp」や「.com」などの文字を一度は目にしたことがあるでしょう。これらはURLの一部であるドメインの中でもトップレベルドメイン(TLD)と呼ばれるもので、重要な役割を持ちます。
ウェブサイトやECサイトのドメインを登録する前に、トップレベルドメインについてもしっかりと理解しておきましょう。
TLD(トップレベルドメイン)とは

TLDは「Top Level Domain(トップレベルドメイン)」の略で、URL最後のドットの後に続くものです。よく知られたものだと「.com」や「.jp」などがあります。トップレベルドメインはDNSでのドメインとIPアドレスの紐付けの際、まずDNSルートサーバーと呼ばれる最上位のDNSサーバーで参照され、どのサーバーがそのTLDを管理しているかが特定されます。
トップレベルドメインにはドメインを分類する役割があり、ドットの後の文字列によって営利目的、政府機関、国など、そのサイトの種類を判別できるようになっています。近年では、内容にかかわらず利用できるトップレベルドメインも増え、その種類も多様化しています。
トップレベルドメインの選択肢は多くなっているものの、ユーザーに覚えてもらいやすく、信頼してもらえるドメインでなければ、サイトへのアクセスは期待できません。ユーザー視点で取得するドメインを考えるようにしましょう。
トップレベルドメインの種類

1. gTLD(ジェネリックトップレベルドメイン)
gTLD(ジェネリックトップレベルドメイン)は、generic Top Level Domainの略で、汎用トップレベルドメインとも呼ばれます。gTLDには、世界中の誰でも登録できる「.com」「.net」などがあります。
本来、「.com」はcommercialの意味を持ち営利目的の企業用、「.net」はnetworkの意味を持ちインターネット関連用、「.org」はorganisationの意味で非営利組織用などと住み分けがされていました。しかし現在は商用ではなくても「.com」を使ったり、ほかのドメインの代替案として「.net」を使ったりするなど、自由に選べるようになっています。しかし、人気のあるトップレベルドメインも多く、希望のドメイン名で登録できないこともあります。
2. ccTLD(国別コードトップレベルドメイン)
ccTLD(国別コードトップレベルドメイン)は、country code Top Level Domainの略で、それぞれの国や地域に割り当てられています。該当する国や地域に住所があることが条件となっていて、日本は「.jp」が利用できます。「.cc」など一部のものは、制限が緩いため簡単に取得できます。
3. 新gTLD
新gTLDは、gTLDのなかで2012年以降に作成されたものです。認知度が高く人気のあるgTLDでは希望のドメイン名で登録できないこともあります。「.blog」や「.site」などユーザーが見たときにサイトの内容がわかりやすい新gTLDは使い勝手も良くおすすめです。
しかし、サイトの内容がわからない文字列で認知度も低いものなどには、ユーザーの信頼が得られず、サイトを訪問してもらえない可能性があります。
4. sTLD(スポンサー付きトップレベルドメイン)
sTLDは、sponsored Top Level Domainの略で、政府や企業など特定の組織が提供するTLDです。提供元が許可を出したときのみ使用することができます。「.edu」「.gov」など公的機関が提供するものや、「.travel」など企業が提供するもの、「.asia」や「.cat」など非営利団体が提供するものなどがあります。
5. テスト用TLD
テスト用TLDはその名の通り、アクセスが制限されたウェブサイトやアプリのテストを実行するためのドメインです。代表的なものに「.test」「.example」「.invalid」などがあり、これらはインターネット上で実際に使われることがないため、本番環境に大きな影響を与えずに安全にテストしたい場合などに使用されます。初心者がウェブ開発を学ぶ際や、動作確認を行う際にも便利です。
トップレベルドメインの選び方

認知度の高さで選ぶ
どんなトップレベルドメインを選べばいいか迷ったときは、認知度の高さで選ぶとよいでしょう。世界中で使えて、認知度や人気が高いトップレベルドメインは、gTLDから選びます。「.com」や「.net」などは広く認識されているため、その知名度からウェブサイトを訪れたユーザーに安心感を与えることができるでしょう。認識されやすい、覚えやすいトップレベルドメインの利用は、サイトへの訪問者を増やすことにもつながります。
しかし、人気のあるトップレベルドメインを使いたい場合は、希望のドメイン名で登録できない可能性もあるので、いくつか候補を準備しておきましょう。
サイトのターゲットから選ぶ
サイトのターゲットオーディエンスやターゲット市場に合わせたトップレベルドメインを選ぶのも良いでしょう。例えば、ターゲットが日本在住のユーザーであれば「.jp」のような地域が限定されるトップレベルドメインを利用するのがおすすめです。
また、サイトの特徴にあわせたトップレベルドメインを利用することで、ターゲットに認識してもらいやすくなり、他サイトとの差別化も可能になります。例えば、旅をテーマにしたサイトで「土地名+.travel」のドメイン名にすることで、サイトの目的が明確に伝わるだけでなく、ユーザーにも簡単に覚えてもらうことができるでしょう。その結果、検索しやすくなり、ユーザーのサイト訪問へつながります。
トップレベルドメインとSEOの関係

ドメインとSEOは直接的な影響はありません。GoogleのSEO担当者が「.com」でも独自のドメインでも検索順位に違いはないと発表しています。
ただし、国別コードトップレベルドメイン(ccTLD)は例外です。ccTLDを使用すると、その国に関連するサイトと判断され、検索結果で優遇される可能性があります。地域に特化したサイトなら、該当するccTLDを選ぶと有利になります。
まとめ
トップレベルドメイン(TLD)は、サイトの信頼性やブランディングに影響を与えますが、基本的にSEOには関係ありません。ただし、国別コードTLD(ccTLD)は特定の国向けサイトとして認識され、地域に特化したビジネスには有利に働きます。
多くのユーザーに訪れてもらえるウェブサイトにするためには、トップレベルドメインのわかりやすさも重要になります。ドメイン選びは慎重に行い、ブランド戦略の一環として効果的なトップレベルドメインを利用するようにしましょう。
トップレベルドメインについてよくある質問
トップレベルドメインの取得費用は?
登録したいトップレベルドメインや登録先によって、ドメイン全体の取得費用は異なります。更新費用の金額や人気のトップレベルドメインであるかどうかでも費用は変化します。無料で取得できるものもありますが、マイナーなものはユーザーに信頼してもらいにくいので、避けた方が良いでしょう。
sTLDとccTLDの違いは?
sTLD(スポンサー付きTLD)とccTLD(国別コードTLD)は、それぞれ用途と管理主体が異なります。sTLDは特定の業界や団体向けに設けられたドメインで、「.edu」(教育機関)や「.gov」(政府機関)などが代表例です。一方、ccTLDは国や地域ごとに割り当てられたドメインで、「.jp」(日本)や「.uk」(イギリス)などが該当します。sTLDは公共性や信頼性が必要なウェブサイト、ccTLDは地域特化型のウェブサイトに適しています。
文:Ryotetsu