ECサイトを作るには、プログラミングの知識や複雑な手順が必要だと思って尻込みしていませんか?ECサイトの種類には、個人や初心者向けのものから大規模なビジネス向けのものまでニーズに応じた幅広いサービスがあります。なかには、プログラミングの知識なくても簡単に作成でき、費用を抑えて運用できるサービスも存在します。
この記事では、ECサイトの作り方や、費用、作成ツールなどを紹介し、ECサイト作成時のポイントもお伝えします。ネットショップ開業に役立ててください。
ECサイトの作り方は6通りある
ECサイト作成に使用できるECプラットフォームには、主にAmazonや楽天のようなECモールと自社ECサイトの2種類があります。自社ECサイトにはさらに細分化された6つの作成方法が存在します。
1. フルスクラッチ
ゼロから自社ECサイトを構築する方法です。高度なシステム開発スキルを必要としますが、デザインやシステム設計などの自由度が非常に高いため、自社のビジネスニーズに合わせた柔軟なカスタマイズが可能です。多くは外部の開発会社に委託するため、プログラミングの知識や技術は求められません。ただし、コストが高く、ECサイトの作成期間が長いため、大規模なビジネスや独自性の高いサービスを展開したいビジネスに適しています。
フルスクラッチの費用は、中・大規模のECサイトの場合、初期費用だけで数千万円以上、月額費用も数十万円以上かかります。また、システムが数年で古くなりセキュリティが弱くなるため、メンテナンスや更新費用が必要です。
2. パッケージ
ソフトウェア開発会社からECサイトの土台となるパッケージを購入し、サイトを構築する方法です。サイト構築に必要な受注・売り上げ管理、顧客管理などの機能があらかじめ備わっているため、短期間での立ち上げが可能です。パッケージに含まれていないものは、機能を追加してカスタマイズしますが、プログラミングは必要ないことがほとんどです。中規模なECサイトや高いカスタマイズ性を求めないビジネスに向いています。
パッケージの初期費用は約500万円以上、月額費用は約10万円以上かかります。また、フルスクラッチと同様に、システムが数年で古くなりセキュリティが弱まるため、メンテナンスや更新費用が発生します。
3. オープンソース
企業や個人が開発した無料公開のCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)を使ってECサイトを構築する方法です。EC-CUBE(イーシーキューブ)やWordPress(ワードプレス)がECサイトのオープンソースとして有名です。基本的に自由にカスタマイズできますが、機能追加やデザイン調整などにプログラミングの知識や技術が求められます。また、自社でセキュリティ管理やシステムのアップデートも行う必要があります。カスタマイズの自由度を保ちながら、低予算で始めたい方におすすめです。
オープンソースの初期費用は無料である場合が多く、月額費用は数千円から数十万円程度です。
4. ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)
ECサイト運営会社からサーバーを借りてネットショップを構築する方法です。ASPにはECサイト作成が無料でできるものと有料のものの2種類があり、代表的なものとしてBASE(ベイス)やmakeshop(メイクショップ)などがあります。多くの機能があらかじめ提供されているため、プログラミングの知識や技術がなくても簡単にECサイトの構築が可能で、カスタマイズもしやすくなっています。運営会社がセキュリティ面もフォローしてくれるため、コストを抑えつつ、安全性の高いサービスを求めている方に向いています。
ASPの初期費用は無料から10万円程、月額費用は無料から10万円以下で利用できる場合が多くなっています。
5. クラウドEC・SaaS型EC
ASPとパッケージの両方の要素を持つ構築方法です。代表的なサービスには、メルカートやShopify(ショッピファイ)などがあります。必要な機能やサービスのみを利用できるほか、システムの自動更新や新機能も随時追加される点が特徴です。また、カスタマイズや改修はシステム提供会社が行うため、プログラミングの知識は必要ありません。個人事業主から中・大規模のECサイトまで、幅広いビジネスに適しているサービスです。
クラウドECやSaaS型ECサイトの初期費用は無料から300万円以上、月額費用は数千円から10万円以上とサービスによって大きく異なります。
6. SNS
FacebookやInstagramショッピングなど、SNSのEC機能を利用した構築方法です。EC機能が搭載されているSNSを利用すれば、自作ECサイトがなくてもSNS上で直接商品を販売できます。ただし、在庫や顧客情報などECカートシステムを一元管理したい場合は、ShopifyのようなSaaS型ECサイトと同期したほうが楽です。SNSは初期費用やランニングコストを抑えながら、手軽にEC事業を始めたい方に適しています。
SNSのEC機能は、初期費用・月額費用ともに無料で利用可能です。
ECサイトの作り方の手順:6つのステップ
自社ECサイトを作成する方法はいくつかありますが、ここではECサイトの作り方がわからない初心者におすすめなASPやSaaSを利用した方法を紹介します。
ステップ1. 登録する
利用するサービスを決めて登録します。
ここで必要となる情報は、メールアドレス、パスワード、ストア名とURLなどです。ECサイトオリジナルの独自ドメインを作るかどうかも事前に検討しておきましょう。
ステップ2. ショップページを作成・カスタマイズする
ASPやSaaSではテンプレートやテーマが用意されているので、好みのものを選ぶだけで簡単にイメージを形にできます。カスタマイズの自由度が高いサービスなら、色やフォント、レイアウトなどを変更することも可能です。
ステップ3. 販売する商品を追加する
販売する商品を追加します。商品写真や動画は高画質で商品の特徴がよく伝わる魅力的なものを用意しましょう。商品のタイトルや説明文は、商品の特徴や用途、機能などを詳しく記載し、商品の魅力が正確に伝わるようにします。購買意欲をかきたてるために、顧客が使用シーンをイメージしやすい写真や文章にしましょう。
ステップ4. 支払い方法や配送などについて設定する
ASPやSaaSでは支払い方法や配送についても簡単に設定できるようになっています。ターゲット顧客が利用しやすい決済方法を含めて、クレジットカード決済や代金引換など複数の選択肢を用意しましょう。
ステップ5. ショップの公開準備をする
全体の設定が完了したら、細部のチェックや動作確認など公開の準備を行います。サイトの見やすさ、わかりやすさ、リンクエラーがないかなどをしっかりと確認することが大切です。チェックリストを用意して、一つひとつチェックしていくと安心です。
準備中ページを用意し、魅力的なサイト画像やキャンペーンなどをSNSに投稿し公開のお知らせをするのも良いでしょう。
ステップ6. ショップを公開する
準備が整ったらショップを公開しましょう。最初は訪問数や売り上げの動きがなく不安になるかもしれませんが、軌道修正や改善をしながら、自社ECサイトを育てていきましょう。
ECサイトを低コストで開設するには
ECサイトを低コストで開設するには、オープンソースやASP、SaaSを利用します。なかには無料で開設できるものもあり、個人やスタートしたばかりの小規模ビジネスのECサイト作成におすすめです。
オープンソースは基本的に無料で利用でき、プログラミングなどの知識や技術があれば自由にカスタマイズして独自のECサイトを作成できます。プラグインなど追加機能を導入して、必要な機能を実装することも可能です。
決済方法は必要に応じて追加できるものが多い一方、セキュリティの脆弱性などが指摘される側面もあり、しっかりとした知識や情報のアップデートが求められます。
ASPやSaaSは、初期費用、月額費用ともに無料または数千円から利用できるものが多くあり、個人や販売数が少ない事業で多く利用されています。複数あるデザインテンプレートから選ぶだけでサイト構築できるのでプログラミングの知識は必要なく、スマートフォンからでも操作できます。ただし、ECサイト構築が無料の場合でも、売り上げ手数料や決済手数料などが発生する可能性があります。
ECサイト作成の際のポイント
ECサイト作成の際には、費用以外にもいくつか押さえるべきポイントがあります。
カスタマイズ性
フルスクラッチなど費用が高額なものはその分カスタマイズ性が高いですが、クラウドECやASPはどの程度までカスタマイズできるのか、そのために追加費用や技術が必要となるのかを確認する必要があるでしょう。
特に無料ASPは費用がかからない分、選べるテンプレートに制限があることがあり、利用を開始する前に自分がイメージするECサイトが本当に作れるのかをよく確かめることが重要です。
導入できる決済方法の種類
決済方法は売り上げに直結する重要な要素です。クレジットカード決済やコンビニエンスストアでの支払い、代金引換や銀行振込などに加え、Amazon PayやApple Payなど外部IDを利用した決済方法にも対応しているか確認しましょう。
顧客が希望する決済方法を選択できることで、購買体験がより満足度の高いものになります。逆に、使いたい決済方法がないと購入せずに離脱してしまう可能性があるため、導入できる決済方法を事前に確認することが非常に重要です。
安全性
ECサイト開設時には、安全性の確保が必要不可欠です。オンラインショッピングで安全性に不安を感じると顧客は一気に離れてしまいます。
フルスクラッチやパッケージは定期的なメンテナンスや更新をすることで安全性を確保できます。オープンソースは自身で脆弱性に対処したり情報収集したりする必要があり、安全性を維持する手間がかかります。クラウドECやSaaS型ECサイト、ASPは運営サービスが常に最新のセキュリティ状態を維持してくれるため、高額な維持費用や知識がなくても安心して利用を続けることが可能です。
海外販売向けの機能があるか
ECサイトを使った海外販売も視野に入れているのであれば、海外発送のサポートや、各国に適した決済手段が利用できるかが重要です。また、ターゲット顧客の国に応じた言語でサイトを表示できるかも確認しましょう。Google翻訳など手軽に使える翻訳サービスもありますが、正確性やサイト全体の翻訳となると使い勝手は良くありません。Shopifyなら、越境ECに対応しているため、発送のサポートやサイト全体の翻訳が可能です。
まとめ
ECサイトの作成にはフルスクラッチ、パッケージ、オープンソース、ASP、クラウドEC・SaaS型ECサイト、SNSの6種類があります。それぞれに特徴があり、ビジネスの規模やニーズに応じて選ぶことが大切です。特に、小規模ビジネスやプログラミングの知識がない人には、ASPやSaaSを利用したサイト開設がおすすめです。将来的に越境ECを始めたいと考えている場合は、さまざまな言語や通貨に対応しているSaaS型ECサイトのShopifyが最適です。各社の特徴や提供するサービスを比較検討して自社のビジネスに最適なECサイトの作り方を選びましょう。
ECサイトの作り方についてよくある質問
ECサイト作成にかかる費用は?
ECサイト作成にかかる費用は、無料から数千万以上まで大きな幅があります。サイト構築にどのような方法があるか知り、自社にあった方法を選ぶことで費用を抑えることができます。
ECサイトは無料でも作れる?
ECサイトは無料でも作ることができます。オープンソースとASPの2種類の方法が無料ですが、プログラミングスキルの有無で使える方法がかわってきます。また、無料の場合は制限や追加費用がかかることもあるため、全体の見通しをたてて構築方法を選ぶことが大切です。
ECサイト作成にかかる期間は?
ECサイトそのものの準備だけであれば、ASPやSaaSなら最短数時間ほどで作成可能です。しかし、商品ページを作るためには写真の準備や説明文を考える時間も必要となります。ほかにも決済方法や配送設定など準備が多岐に渡るため、短くても数日から1か月見ておくと良いでしょう。
オープンソースやフルスクラッチなどシステム開発や大規模なプログラミングを行う場合は、3か月から1年くらいの期間がかかることが予想されます。
ECサイトを作るには?
ECサイトを作るには、まずフルスクラッチ、パッケージ、オープンソース、ASP、クラウドEC、SaaS型ECサイト、SNSのなかで、どの構築方法を使うか決め、サービスを選びます。次に、ECサイトのデザインをブランディングに合わせて作成し、商品写真や説明文を追加します。さらに、顧客が使いやすいように、クレジットカード決済や代金引換など、決済方法もできる限り豊富に用意しましょう。最後に、エラーページの表示や各種機能の正常動作を確認し、問題がなければECサイトを公開できます。
文:Momo Hidaka