日本の商品を海外へ販売する越境ECで大成功を収めているストアがあります。
Solaris Japan(ソラリスジャパン)は、ドイツ人のジェイコブさんが2008年に始めたネットショップ。開設から約10年が経過した現在の売上は当時の数十倍に成長。毎年、進化を続け、ビジネスを拡大しています。
ジェイコブさんが1人で始めたSolaris Japanがここまで成功するにいたった理由は何なのでしょうか。
その秘訣を探るべく、ジェイコブさんと石川さんにインタビューをしました!
子供のころからビジネスマン
Solaris Japanの創業者のジェイコブさんは、小さい頃から日本のゲームが大好きで、15歳の頃には日本まで来て、日本のゲームを買い漁り、母国ドイツで販売していたそうです。まさに、子供の頃から才覚あふれるビジネスマンでした。そして、その商売がSolaris Japanへとつながります。
「当時から日本に来るくらいの航空券代くらいは稼げていました。そこからゆっくり始まって、それがとても楽しかったので、仕事にしたくて、Solaris Japanを作りました」
2008年にSolaris Japanを創業。今年で10年目を迎えています。
実は、ネットショップを開業したときにはShopifyは使っていなかったと言います。数々のネットショップを試した後に、Shopifyに移行。すると、驚くべきことにお客様の行動に変化が現れたと教えてくれました。
「ページの読み込み速度が非常に早くなって、わかりやすくなりました。すると、お客さんのストアへの滞在時間も増えて、売上も上がりました」とジェイコブさんは語ります。
石川さんも、「Shopifyに切り替えてから売上がさらにアップしました。お客さんからすると、ページが綺麗でわかりやすくなって、さらに色々なページを見たくなったのだと思います。Shopifyはお客さん目線でも使いやすいですよね。使いやすければ、お客さんの買いたい気持ちは強くなる。ホームページの滞在時間が伸びるのは売上を上げるのにとても大事な要素です」とShopifyの魅力を教えてくれました。
常にお客さんの立場で
Solaris Japanのターゲットは海外にいるお客様です。越境ECを始めて10年あまり。今では世界中から注文が来るといいます。売上はリーマンショック後と比べると、60倍にまで成長。ここまで成長できた理由は何なのでしょうか?
お話を伺っていると、その理由は「常にお客さんの立場で考える」というお店の考え方にありそうです。
「他の会社がやっていないことをやるのは大事ですね。なぜそこで頼んだ方がいいのかってところ。自分がお客さんだったらやってほしいことを常に考えています。また、自分が他のお店でお買い物をするときにも、なんでそれができないの、なんでそれをやってくれないの、なんでこれがないの、という質問を考えて、その答えを自分で作って提供しています」
「常にお客さんの立場で考える」。この言葉を実行することは簡単そうに見えて、意外と難しいことです。お店の規模や注文数が多くなったらなおさら。では、実際にどういう取り組み方をしているのでしょうか?その答えは「梱包」から見つけることができました。
「梱包は、お客さんが大事だっていうことがわかっているからこそ、すごく丁寧にやっています。それが、うちの売りでもあります。私たちにとってお客様はお客様である前に、自分みたいなファンなのです。自分だったらって気持ちがあるから、丁寧にできます」
自分と同じファン。そう常に感じるからこそ、Solaris Japanはカスタマーサポートもとても親身です。「ある意味会社っぽくなくやっている」と石川さんは教えてくれました。
「他の会社さんとメールのやり取りをしていてよく思うのは『人間として扱ってくれないんだ。お金の元として扱われている』ということです。言ってることに全然反応してくれないこともよくあります。そうならないために、人間らしく接することはうちの強みでもあります。向こうもこっちも人間なので、なんとか解決してあげようとか、わかるまで説明してあげようとか、常に考えて対応しています」
分かりやすさが大切
ネットショップの作りもお客さん目線で考えられています。例えば、すべての商品ページに発送方法や送料が書いてあります。「分かりやすさが大事」。ジェイコブさんはお客様目線でのアドバイスを教えてくれました。
「お客さんが最初に見る場所をとことん分かりやすくしています。商品ページすべてに発送方法と送料を書いています。なぜかと言うと、それが書いていないとお客さんが不安になってしまうからなんですね。お客さんにとっては海外から発送されるわけですから。でも、日本国内に売るときも分かりやすくした方が良いと思います。お客さん目線で分かりやすく、不安にさせないことがとても大事です」
また、海外のお客様を不安にさせないこととしてペイパル エクスプレスチェックアウトの使用を挙げています。ジェイコブさんによると、世界からの注文のおよそ半分がペイパル経由の支払いとのことです。「ペイパルはすごく信用されているので、ペイパルがあるだけで安心です。お客さんへの保証も手厚いですしね。ペイパルがなかったらうちの事業は成立しないと思います。うちのショップの信用度の前に決済の信用度が必要なのです」
ネットショップはお金のやりとりが発生します。最も基本的なことですが、最も重要と言っても過言ではありません。いかにストアが素晴らしいデザインをしていても、決済方法が怪しかったらお客様は商品を買うのをためらうかもしれません。「ショップ自体に不安なことがあってもせめてペイパルがあれば、ペイパルならなんとかやってくれるでしょうという安心感があります。海外に向けて売る方なら絶対に必要ですね」
一方で国内販売については、「シンプルが大事」と語ってくれたジェイコブさん。具体的には何をシンプルにすべきなのでしょうか。「例えば、送料を商品価格に含めたりして、できる限り送料無料にする。国内でいくら以上のご注文で送料無料などと設定してみるのも良いかもしれません。商品価格が少し高くなってもお客さんは送料無料には惹かれます。彼らからすると計算をしたくない。シンプルにしてすぐにわかるようにする」と大事な点を語ってくれました。
他のストアを助ける
実はSolaris Japanが大事にしているのは「お客さん」だけではありません。自分の同業者のことも頭に入れて、デベロッパーとともに独自開発したアプリを「困っているストアの助けになれば嬉しい」と販売も行なっています。
Solaris Japanは、Team Lunarisとしてこれまでに2個のアプリをShopify アプリストアに展開。3つ目のアプリも現在開発中です。「自分たちと同じ様に困っている人の助けになりたいと思って始めました。10年間のネットショップの経験でわかったことをシェアしたいです」とジェイコブさんは語ります。
「ストアを始めた頃に、アプリやシステムがないと自分の時間がなくなって、ビジネスに集中できません。もっと売りたいのに、売るための仕事をする時間がない。すでにいっぱいいっぱいで、新しいことに集中できない。そうすると、ストアは伸びないし、お金も増えない。悪循環になってしまうのです」と自分たちの経験に重ね合わせます。
しかし、「どっちかを直せば・・・」とジェイコブさんは語ります。「例えば配送ラベルを作る時間を5時間から30分にしたら残りの4時間半は違うことに集中できます。自分の事業を始めたばかりの人に私たちのアプリを使っていただいて、そこで無駄な時間を消費せずに、事業に集中してもらって、ビジネスの成長につなげてほしいです」
また、現在、Team Lunarisが開発している新たなアプリは怪しい注文を検出してお客様と販売者を守るものです。「詐欺や怪しい人を簡単にチェックできるアプリを作っています。購入者についてちょっとおかしく思ったら承認メールを送って、FacebookやTwitterのアカウントや身分証をアップロードしてもらいます。それを確認して販売を承認、拒否できるアプリ」とジェイコブさんは説明します。「このアプリは、悪いことをしている人を拒否するために作った訳ではなくて、一見悪い人に見えるけど、本当は良い人を守るために作りました。良いお客さんを勘違いして注文をキャンセルすることは許されません。悪いことをしていないのに、なんで注文を拒否されたんだとならないようにするためです」
夢
10年間で大きく成長したSolaris Japan。今後に向けて大きな目標があります。「ヨーロッパ向けのショップをヨーロッパに開きたいですね。特に私の生まれたドイツではお客様が税関まで行かなきゃいけないということがよくあります。税関が都会にあれば良いんですが、超田舎にあるんです。1時間半かけてそこに行ったのに書類がなくてやり直しみたいなことがある。そういうことをさせたくないのでヨーロッパにショップを作りたいですね。また、いずれは日本にも店舗をオープンしたいです」
完璧でなくてもいい
ネットショップを運営する上で、運営から開発、さらには翻訳などすべてができる人はなかなかいません。しかし、それでも良いとジェイコブさんは語ります。自分にできないことがあっても成功できるのです。「自分ができないことはいくらあってもいいと思います。できないことは、これは私に向いていないんだと諦めます。すべてを完璧にできる人は滅多にいません。自分の弱いところと自分の強いところを見つけて、それをうまく補える人を見つけましょう」
「チームのみんながいてくれてやっとソラリスは100%に近づけるかな」と石川さんも分析します。「やっぱり助けを求めることが大事ですね。全部一人でやろうとは思わない。一人でと思っていると、いつの間にかにいっぱいいっぱいになり、息ができなくなってしまいます」
「売るモノではなくて『人間』が大事というのはやっと出た答えです。ネットショップでも結局は人間関係が重要なので、お願いする相手も人を見極める力も大切です」
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