フランチャイズを始めるのは難しいと考えている人は多いかもしれませんが、実はそれほど難しくありません。自力で開業するより集客しやすいといったメリットがあるため、むしろ始めやすい事業形態といえます。この記事ではフランチャイズの概要に加えて、仕組みや始め方、メリットとデメリットなどをわかりやすく解説します。
フランチャイズとは?
フランチャイズは、ビジネスモデルの一種です。簡単に説明すると、フランチャイズ本部から特定のビジネスモデルやブランド名を使う権利を加盟店に提供する仕組みです。本部はブランドの使用許諾、商品やサービスの販売権、経営に必要なノウハウを加盟店に提供します。加盟店は経営の指導を受けながら独立した事業主として活動できますが、ロイヤリティや加盟金など、契約に基づいた金額を定期的に支払う必要があります。
日本のフランチャイズ市場は大きく、日本フランチャイズチェーン協会の統計調査では、市場規模は約27兆円というデータが出ています。フランチャイズの加盟店になることで、信頼されるブランド力をうまく活用しながら、新しいビジネスを始めることができます。
フランチャイズの具体例
- コンビニ
- ファストフード
- カフェ
- 居酒屋
- ラーメン店
- 靴屋
- クリーニング店
- エステサロン
- コインランドリー
- 家事代行サービス
主なフランチャイズの具体例は、上記のとおりです。フランチャイズとは組織形態の一種であり、コンビニや飲食店、サービス業など、さまざまな業種が含まれています。
フランチャイズの仕組み
フランチャイズ本部と加盟店の関係
フランチャイズ本部と加盟店は、互いに利益をもたらす対等な関係にあります。本部は商標使用の許可や、商品・サービスの販売権、運営ノウハウの提供を通じて、加盟店の成長を支援します。加盟店は本部からさまざまな支援を受けられるので、事業活動を円滑に進めることが可能です。
本部からの支援の見返りとして、加盟店はロイヤリティを支払います。ロイヤリティとは、フランチャイズを利用する対価のことです。支払い方法には、売上の一定割合を支払う売上高比例方式や、粗利益の一部を支払う粗利益配分方式、固定額を支払う定額方式などがあります。ロイヤリティは本部にとって安定した収入源となり、マーケティングや商品開発に資金を充てることで事業拡大を図ります。
このようにフランチャイズ本部と加盟店は相互に依存しつつも、それぞれの強みを生かして、共に事業を成長させる関係にあります。
フランチャイズのロイヤリティ相場
フランチャイズのロイヤリティは、業種によって相場が異なります。たとえば、飲食業では売上歩合で3〜10%、コンビニでは粗利の30〜60%が相場です。また、不動産業界では固定額方式が一般的であり、月額10~25万円ほどの場合が多いです。
相場はあくまで目安であり、フランチャイズ本部や具体的な契約条件によって変動します。
フランチャイズ店とチェーン店の違い
フランチャイズ店とはチェーン店の一種ですが、運営形態と事業主体に違いがあります。チェーン店は「レギュラーチェーン」と「フランチャイズチェーン」の2つのカテゴリーに分けられます。
レギュラーチェーンは企業が直接管理する店舗で、商品やサービス、店舗のデザインまで企業がすべて管理します。これに対して、フランチャイズチェーンは独立した事業者がフランチャイズ契約を結び、企業からさまざまな支援を受け、ロイヤリティを支払う形で運営されます。
具体例として、スターバックスやTSUTAYAはレギュラーチェーンに属し、ドトールコーヒーやセブンイレブンはフランチャイズチェーンとして運営されています。各店舗が提供する商品やサービスの一貫性を保つため、チェーン店はどちらの場合もマニュアル化された運営が一般的です。
フランチャイズ店と代理店の違い
フランチャイズ店と代理店は企業と契約を結びビジネスを行う点では似ていますが、関係性や責任の範囲に違いがあります。フランチャイズでは、契約者は企業からブランドやノウハウ、商標の使用権を受け、店舗運営を通じて企業の一員として活動します。その際、加盟金やロイヤリティが発生し、企業は加盟店に対してサポートや指導を行います。
対照的に、代理店はメーカーや商社と契約し、商品の販売権限のみを受ける形態です。代理店は独立した事業主として活動し、成果に基づく手数料を収益として得ますが、営業やアフターフォローなどの業務は自ら行い、商品の売り上げに直接関わります。代理店はフランチャイズよりも事業活動の自由度が高い分、責任が大きくなる点で異なります。
フランチャイズ店と直営店の違い
フランチャイズ店と直営店は、運営の責任主体と自由度に違いがあります。直営店は企業が直接運営を行い、店舗の設計から人材の採用、運営方針までのすべてを管理します。企業は直営店を通じてブランドの統一性を保ち、市場でのテストや新しい戦略を直接試すことが可能です。直営店のすべての収益は企業に帰属し、店舗の責任者も企業の雇用下にあります。
一方、フランチャイズ店は独立した事業者が企業と契約し、企業のブランド名やノウハウを利用して運営されます。基本的に日々の運営はフランチャイズ店に委ねられ、企業は直営店ほど細かな管理は行いません。
フランチャイズのメリット
本部のブランド力を利用できる
フランチャイズの利点は、すでに市場で確立されたブランド力を利用できることです。信頼性や認知度が高いサービスを提供できるため、新規顧客の獲得が容易になります。特にテレビCMやSNSなどで話題になっていれば、開業初日から客足が期待できるでしょう。
さらに、フランチャイズ本部が商品開発や広報活動を行ってくれるので、加盟店はマーケティングのコストと労力を削減でき、店舗運営に専念することができます。ただし、ブランドの知名度は地域ごとに異なるため、開業する地域のブランド認知度を事前に調査する必要はあるでしょう。
継続的なサポートを受けられる
フランチャイズに加盟すると、本部から継続的なサポートを受けられるメリットがあります。サポートには、開業前の準備から運営に至るまでのさまざまな支援が含まれます。具体的には、本部が蓄積したノウハウを活かした研修や指導などです。
研修や指導を通じて、店舗運営の必要なスキルや知識を身につけることができます。開業後であっても、経営相談やマーケティング戦略の支援を受けられるので、効率よく事業を成長させることができるでしょう。
フランチャイズ本部からのサポートは、加盟店として成功するうえで力強い後押しになります。
未経験でも始めやすい
業界や経営の経験がない人でも容易に事業を開始できることが、フランチャイズの強みです。フランチャイズ本部の充実した教育制度により、加盟店は研修を受けながら店舗運営の知識を深めて、効率的に業務を行うことができます。さらに、事業運営に必要な商品や原材料の仕入れはフランチャイズチェーン全体で行われるため、加盟店は新規の取引先を探す必要がありません。
経営に必要な知識やスキルを習得しやすく、未経験では難しい仕入れなどは本部が行うため、未経験者でも創業しやすいのがフランチャイズのメリットです。
資金調達がしやすい
フランチャイズは、通常の開業より資金調達が比較的容易という点も挙げられます。フランチャイズ本部から提供される過去の実績データに基づいて作成される事業計画書は、金融機関からの信頼を得やすいためです。また、フランチャイズ本部が開業資金の一部を支援することで、金融機関から融資を受ける必要がない場合もあります。
本部からの体系的なサポートにより、金銭的な負担が軽減される点も、フランチャイズの大きなメリットのひとつと言えるでしょう。
フランチャイズのデメリット
加盟金やロイヤリティを支払う必要がある
フランチャイズに加盟するにあたって、加盟金とロイヤリティの支払いが必要になります。加盟金はフランチャイズ本部への一時的な支払いで、開業支援費用や研修費などが該当します。ロイヤリティは売り上げの一定の割合や固定額で、定期的に本部へ支払う継続的な費用です。
特にロイヤリティの支払いは、本部が提供するブランド力やノウハウの対価として求められるため、店舗の売り上げに影響します。利益が出ない場合でもロイヤリティの支払い義務は消えないため、経済的な負担が大きくなるリスクがあります。
自由な経営ができない
フランチャイズに加盟する場合、本部が設定したルールに従わなければならないため、完全に自由な経営はできません。たとえば、商品の価格設定やサービス内容、店舗デザインの変更は認められていない場合がほとんどです。
いずれも本部のブランドイメージに影響を与える重要な要素であるため、ルールを定め、組織としての一貫性を保つねらいがあります。地域の特性や顧客のニーズに応じた独自の取り組みを行いたい場合でも本部の許可が必要で、自由に行動するのは難しいでしょう。
自分のアイデアを制限なく形にしたい場合は、フランチャイズよりも個人経営が適しているかもしれません。加盟する際には、経営における制約をきちんと理解し、本部の方針に従うことが求められます。自由度の高さを求める場合は、条件をよく検討したうえで適したフランチャイズ本部を選びましょう。
他の加盟店や本部の影響を受けやすい
フランチャイズ加盟におけるデメリットのひとつは、他の加盟店や本部の影響を受けやすいことです。ブランドイメージを一貫して保つためにルールやマニュアルが設けられていますが、他の加盟店や本部が違反すると、自店にまで悪影響を及ぶ可能性があります。たとえば、他店舗での不祥事や本部の不正が発生すると、適切に運営されていた店舗を含めて、全店舗が風評被害を受け、客足が激減してしまいかねません。
このようなリスクを考慮し、加盟前に本部の対策や支援体制について詳しく確認することが重要です。同じチェーンの一員として、他店舗の行動が良くも悪くも影響を与えるため、慎重な選定が求められます。
同業種での出店が認められないことがある
フランチャイズ加盟には、特定の業種で他の事業を行うことを制限する「競業避止義務」が適用される場合があります。競業避止義務は、フランチャイズと同業種での新たな事業を開始することを禁じるものです。事業を開始させないように制限することで、フランチャイズ本部はブランドやノウハウが競合他社に利用されるのを防いでいます。
競業避止義務はフランチャイズ本部との契約期間だけでなく、契約終了後も一定期間は適用される場合が多いです。フランチャイズでの経験を活かして将来的に独立を考えている場合は、契約内容を事前に確認し、競業避止義務が自分の事業計画にどのように影響するかを理解しておく必要があります。
フランチャイズ起業の始め方
フランチャイズ本部の比較と選定
フランチャイズ起業を成功させるには、複数のフランチャイズ本部を比較し、適切な本部を選定することが重要です。加盟を考えているフランチャイズの業界ならではの特性に加えて、必要な投資額や期待される収益性、働き方の自由度など、さまざまな視点からの検討が必要です。
可能であれば、業界の経験者や加盟者に直接話を伺い、経験談をもとに加盟すべきかどうかを判断しましょう。また、興味を持ったフランチャイズ本部があれば、公式サイトなどで具体的な募集情報を確認し、資料請求することをおすすめします。集めた情報を踏まえて、自分にふさわしいかをじっくりと評価することが大切です。
契約の手続き
入念に比較して、加盟するフランチャイズ本部を選定したら、契約の手続きへと進みます。契約書の内容をきちんと確認し、加盟金やロイヤリティ、契約期間、違約金、競業避止義務などの重要項目の理解を深めて、質問があれば都度確認しましょう。契約の締結後は変更が難しいため、トラブルを防ぐためにも、不明点をしっかりと解消しておくことが重要です。
開業の準備
契約を締結したら、開業準備に取り掛かります。開業準備はフランチャイズ本部の指導に従い、サポートを積極的に活用しながら進めることが望ましいです。
まずは資金の計画から始めましょう。フランチャイズの開業費用は業種や地域、本部の要件によって異なるため、具体的な金額を事前に把握しておくことが重要です。たとえば、飲食業やコンビニの開業費用は、数百万円から数千万円が一般的です。開業費用は主に加盟金や店舗設計支援費、内装費、設備投資といった直接的な開設費用と、仕入れ代金や人材採用、広告宣伝に関わる運転資金に分かれます。店舗の準備と並行して、本部が実施する研修などを通して、店舗経営に必要な知識やスキルを習得することも欠かせません。
資金だけでなく、学習に関する計画もしっかりと立てて、本部のサポートを利用しながら開業に必要な準備を進めましょう。
フランチャイズ加盟先の選び方
業界の将来性を見極める
フランチャイズ加盟先を選ぶ際に重要なのは、業界の将来性を見極めることです。成長が見込める業界や需要の安定した商品・サービスを提供している本部を選ぶことが、長期的な成功へのカギとなります。具体的には、業界の成長率や競合との比較、市場におけるニーズなどをしっかりと調査しましょう。また、フランチャイズ本部が提供する情報のみならず、既存の加盟店の成果や閉鎖率も参考にすることも効果的です。
さまざまな要素から業界の将来性を見極めて、起業後も安定した利益が見込めるかどうかを判断しましょう。
本部の信頼性を確認する
フランチャイズ本部を選ぶにあたって、信頼性を確認することが極めて重要です。フランチャイズに加盟する以上、本部が不祥事などを起こすと、自分の事業にも悪影響が及ぶためです。本部が過去に起こしたトラブルや他の加盟店との問題などは、契約前に詳しく調査しておきましょう。
また、契約時はフランチャイズ本部が法定開示書面で、契約内容や事業の情報を明確にしているかどうかを確認することも大切です。信頼できる本部は、自社の直営店の営業実績や既存の加盟店との関係性を加盟希望者に隠さずに提示します。情報提供に積極的でないなど、信頼性が低いと感じた場合や、契約内容に不明瞭な点が多い本部は避けた方が無難です。
フランチャイズ本部選びは、ビジネスパートナーとして信頼関係を築く出発点となるため、慎重に行いましょう。
サポートの手厚さをチェックする
フランチャイズ本部を選ぶ際には、本部が提供するサポートの手厚さを調べることも欠かせません。特に加盟店を直接支援してくれるスーパーバイザーの役割や活動範囲は、本部ごとに異なるため注意が必要です。スーパーバイザーが単なる連絡役にとどまらず、経営や店舗運営に関して、積極的にアドバイスしてくれるかどうかを確認しましょう。
さらに、売上目標設定の根拠や達成方法、直営店や他の加盟店の改善実績など、本部が具体的にどのようなサポートを行っているかも確認すべきポイントです。訪問頻度やトラブル対応のマニュアルの有無、広告宣伝のサポート内容も含めて、あらかじめ詳細を把握しておくが加盟後の成功につながります。
本部が加盟店の成長と成功をどれだけ真剣に考えているかを見極めるために、上記の点を前もって確認し、安心できるサポート体制がある本部を選びましょう。
まとめ
フランチャイズとは、既存のブランド名やビジネスモデルを活用して事業を展開する仕組みのことです。本部は加盟店に対してブランドの使用許諾や経営ノウハウを提供し、その対価として加盟店は定期的にロイヤリティを支払います。
フランチャイズはさまざまな業種に適用されており、コンビニや飲食店、サービス業など多岐にわたります。運営にあたっては本部との綿密な連携が必要となるため、成功させるためには、契約内容や本部の信頼性、サポートの充実度などを確認しておくことが不可欠です。
フランチャイズは本部からサポートを受けられるため、仕入れや集客などにかかるコストが比較的少なく、経験が少ない人や未経験でも始めやすいというメリットがあります。その反面、独立性の制限やロイヤリティの支払いといったデメリットがあることも理解しておく必要があります。
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よくある質問
フランチャイズとはどういう意味ですか?
フランチャイズの意味はフランス語で「francher」(自由・率直)で、日本語で「特権を与える」を意味する言葉です。具体的には、独立した事業者がフランチャイズ本部と契約を結び、ブランドやビジネスモデルを利用して事業を運営する仕組みを指します。本部の力を借りながらも、自分で店舗を経営できる「自由」があります。
フランチャイズ店とはどういう店ですか?
フランチャイズ店とは、フランチャイズ本部と契約を結び、本部のブランド名や商標などを利用して運営される店舗のことです。本部が商品の供給や販売権、経営のノウハウを提供し、その対価として加盟店はロイヤリティを支払います。このようにして、フランチャイズチェーンは多店舗展開を行い、各店舗は本部からのサポートを受けながら事業を行っています。
フランチャイズの有名企業は?
- 大阪王将
- オートバックス
- ケンタッキー・フライド・チキン
- セブンイレブン
- ダスキン
- HARD OFF(ハードオフ)
- びっくりドンキ―
- ファミリーマート
- マクドナルド
- モスバーガー
- ユニクロ
- 吉野家
- ローソン
文:Yukihiro Kawata