EC事業立ち上げに伴いネットショップを開設はしたけれど、中身を大幅に改修したい。ブログを開設したけれど、まだ記事をひとつも投稿していない……。そんな時、中途半端なサイトをそのまま公開するのではなく、「準備中」という表示を出しておくと、プロフェッショナルな印象を与えることができます。
この記事では、近日公開予定のホームページや工事中のホームページで使用する、サイト準備中ページについてまとめています。準備中ページに含めるべき内容や、マーケティングにおける準備中ページの効果的な活用方法、Shopify(ショッピファイ)における準備中ページの作り方などを紹介していますので、参考にしてください。
サイト準備中ページとは?
サイト準備中ページとは、サイトの構築中や、メンテナンス中、リニューアル中など、ウェブサイト全体をまだ非公開としておきたい場合に、訪問者に対して一時的に表示しておくページのことです。
サイト準備中ページを用意するメリット
訪問者の理解が得られ作業時間を確保できる
サイトが一時的に利用できないことを訪問者に理解してもらい、ホームページの構築や改修の時間を稼ぐことができます。
プロモーションに活用できる
準備中ページは、再開時期や新商品などについて記載すれば、潜在顧客の期待を醸成できるためプロモーションに活用できるようになります。また、不完全な状態でサイトを公開しない、ということがブランドの信頼感向上にもつながります。
SEO対策ができる(新設サイトの場合)
新しくホームページを作成しており、公開までに準備中のページを用意している場合は、そのページに適切なキーワードを使用し、メタタグとよばれる記述を含めることで、先駆けてSEO対策を行うことが可能です。通常、新規のホームページが検索エンジンのデータベースに保存され、検索結果画面に表示されるようになるには「インデックス登録」という1日〜数週間のプロセスが必要です。ですが、本番用ページを用意するかたわらで、準備中ページを公開し、そこに適切なキーワードを含めることで、このインデックス登録のプロセスを先に始められるという利点があります。
サイト準備中ページを用意するデメリット
作業負荷がかかる
本番用のホームページに加えて、準備中ページも制作することになるため、作業負荷がかかります。準備中のページの制作に注力しすぎると、実際のサイトの開発や関連のコンテンツ制作に影響が及ぶ可能性があります。
検索順位に影響が及ぶ(既存サイトの場合)
すでにホームページを作成しており、検索順位が高い場合、準備中ページを設置して既存のページを非表示にすると、検索順位が一時的に下がる可能性があります。長期間「準備中」にしておくと、検索エンジンからの評価と、検索順位はさらに下がります。準備中ページを使用してホームページの改修を行う場合は、短期間で行いましょう。
サイト準備中ページに含めるべき内容
挨拶文
サイトの訪問者に対し、日頃のサイト利用に対するお礼や、現在利用できないことに対するお詫びを述べます。
サイト準備中である理由
サイト全体が現在なぜ閲覧できないかについて明記します。新設サイトが近日公開される、リニューアル期間中、一時的にメンテナンス中など、理由を示すことで訪問者に納得感を持ってもらえます。
サイトの内容
サイト名、ブランド名、会社名などとあわせて、サイトのコンセプトを伝えます。
予定公開日
サイトがいつ公開されるのか、具体的な日付を明記します。日付をいれておき、日付通りにサイトを公開することで、信頼感が得られます。また、カウントダウンタイマーなどを設置することで、公開に向けて興味をもってくれた訪問者の期待を高めることができます。
連絡先
ホームページ準備中も訪問者がコンタクトを取れるように、メールアドレスや電話番号などの連絡先を明記しておきます。問い合わせフォームを設置するのもよいでしょう。
ソーシャルメディアアカウントへのリンク
Facebook(フェイスブック)、Instagram(インスタグラム)、X(エックス)、LINE(ライン)、LinkedIn(リンクトイン)など、SNSアカウントが稼働している場合は、リンクボタンを設置します。
ニュースレターへの登録フォーム
ニュースレターやメルマガを準備し、準備中ページに登録セクションを用意しておきましょう。登録した潜在顧客に対しては、ニュースレターで最新情報を流してアプローチを続けましょう。これにより、準備中の期間にどのくらいの人が自分のサイトに興味をもってくれたか、知ることもできます。
サイト準備中ページ訪問者へのメッセージ文例
文例1:リニューアル中の場合
日頃より [サイト名] をご利用いただき、誠にありがとうございます。
ただ今、[取り扱い商品の拡充に伴い(理由)]、本サイトをリニューアル中です。
新サイトは〇〇月〇〇日にオープンする予定ですので、今しばらくお待ちください。
ニュースレターで最新情報を配信していますので、気になる方はぜひ登録してください。リニューアルオープンに合わせた特別なプロモーションも予定していますので、ぜひチェックしてくださいね。
ご質問やお問い合わせがございましたら、[メールアドレス/電話番号] までお気軽にご連絡ください。
文例2:新規ホームページをオープンする場合
[サイト名] は、[地球と服の未来を考えるみなさんのために、素材と製造方法にこだわった衣類をお届けするアパレルショップ(コンセプト)] です。
現在、開店準備中です。〇〇月〇〇日のグランドオープンまで、今しばらくお待ちください。
最新情報は、Instagramアカウントで随時アップしています。インスタライブでは新商品の先行発表も行っていますので、ぜひ遊びにきてください。
文例3:サイトのメンテナンスで一時的に準備中とする場合
メンテナンスのお知らせ
いつも [サイト名] をご利用いただきありがとうございます。当サイトは現在メンテナンス中です。ご不便をおかけして申し訳ございませんが、今しばらくお待ちください。
メンテナンス予定時間:〇〇年〇〇月〇〇日〇〇時~〇〇時
お問い合わせは [メールアドレス/電話番号] までお願いいたします。
サイト準備中ページをマーケティングに役立てるための工夫
サイト準備中ページは、短くメッセージだけを記載し、要点のみを伝えるページにすることもできますが、掲載内容を工夫することで、マーケティングにも活用できます。例えば、次のような工夫をすると良いでしょう。
CTA(コール・トゥ・アクション)を表示する
次にとるべき具体的なアクションに誘導する文章や画像、ボタンであるCTAを表示することで、訪問客に行動を促せます。例えば、ニュースレターやメルマガへの登録、SNSアカウントのフォローなどに誘導する文章やボタンを表示しましょう。
メールアドレスの入力フォームを設置する
メールアドレスの入力フォームを設置することで、潜在顧客のメールアドレスを収集できます。登録した潜在顧客には、サイトの公開や新商品の発表に合わせて通知を送るなど、メールマーケティングを行いましょう。できあがったメーリングリストを使用すれば、サイトの公開前から潜在顧客と継続的にコミュニケーションをとり、関係性の強化をはかることができます。
新発売の製品・サービスの内容を先行公開する
新製品やサービスの詳細情報を準備中ページで先行公開することで、訪問者の関心を引きつけることができます。事前登録フォームを設置して登録してくれた人にサンプルを配布し、フィードバックを募るのも一つの方法です。実際の発売の前に、商品に改善を加えたり、販売戦略を最適化したりすることができます。
先行予約を受け付ける
新製品やサービスの先行予約を準備中ページで受け付けることで、売上の予測が立てやすくなります。
予約特典を配布する
準備中ページ経由で先行予約を行った顧客に対して、限定アイテムや割引クーポンなどの特典を配布するといったキャンペーンを行うことも可能です。予約を促進し、顧客のロイヤリティを高める効果があります。
レビューや口コミを掲載する
インフルエンサーのコメントや、メディアで取り上げられた記事の引用、レビューや口コミなどを提示しておくことで、特にブランドをよく知らない訪問客から信頼を得られる可能性が高まります。これは、商品が人々から評価されているということを知ることで、自分もその商品を支持しやすくなるという心理傾向である「ソーシャルプルーフ」の状態が発生しやすくなるためです。
サイト準備中ページをShopifyストアで設定する方法
サイト準備中ページをShopifyストアで設定する方法は2種類あります。
1. パスワード設定機能を使って準備中ページを設定する
Shopifyストアでサイト準備中ページを設定するための、もっとも簡単な方法が、パスワードで本番用の内容を保護することです。ホームページにパスワードを設定するとき表示されるページには、メールフォームや、SNS共有ボタンなど、準備中ページに必要な機能がほとんどデフォルトでそろっています。ウェブサイトの知識がない人や、ECサイトをつくったばかりの人におすすめです。パスワード設定機能を使う方法は次の通りです。
- 管理画面から [オンラインストア] をクリック
- [各種設定] をクリック
- 一番下の [パスワード保護] セクションまでスクロールする
- [パスワードを使用して訪問者のアクセスを制限する] にチェックマークをいれる
- [パスワード] に任意のパスワードを入力する
- [ストア訪問者へのメッセージ] に、ページに表示させたいメッセージを記入する
- [保存] をクリックする
さらに、パスワードページの [コンテンツ] で、ヘッダーや、ニュースレターへの登録フォーム、SNSアカウントでの共有ボタンなどを追加することができます。
準備期間が終わり、公開準備ができたら、[パスワード保護] のチェックマークを外しましょう。誰でもサイトにアクセスできるようになります。
2. 準備中バージョンのLP(ランディングページ)を設定する
構築・改修作業中の本番ページとは別に、準備中バージョンのLPを作成するという方法があります。
Shopify内のテンプレートを利用する場合
- Shopifyストアの管理画面から [オンラインストア] > [ページ] をクリックする
- [ページを追加] をクリック
- 必要事項の入力と、公開・非公開の選択や設定、テーマテンプレートの選択を行う
- [保存] をクリック
テーマテンプレートは複数のものが用意されており、選択するだけで簡単にページを作成できます。WordPressやHTMLを使用してページをゼロから構築するよりも簡単です。
Liquidでコーディングする場合
テンプレートを使用しなくても、Shopifyが作成したプログラミング言語「Liquid」の知識があれば、自分でコーディングしてLPを作成することができます。テンプレートを使用する場合と比べて、機能やデザインのカスタマイズを自由に行うことが可能です。
ただし、知識がない場合は、自分で知識を習得したり、プログラマーに依頼したりする必要があるため、時間もコストもかかります。
アプリを使用してLPを作る場合
Shopify App Storeでは、LP作成用のアプリが提供されているため、それらを利用してLPを作成することも可能です。LPの作成に適したアプリには次のようなものがあります。
- Page Fly(ページフライ):日本語対応可能。60種類以上の豊富なページテンプレートを使用して、ページの見た目を簡単にカスタマイズできる。
- Shogun(ショーグン):英語対応のみ。Shopifyテーマと連動しており、ドラッグ&ドロップでページを編集できる。
- らくらく画像ランディングページ | リテリア Easy LP:日本製であり日本語対応可能。画像のみのLP作成に特化している。
作成したサイト準備中ページを削除するには、次の手順にしたがってください。
- Shopifyの管理画面から、[オンラインストア] > [ページ] をクリック
- 一覧から削除したいページを選択
- [ページを削除する] をクリック
- [削除する] をクリック
ホームページ準備中テンプレート例3つ
Shopifyには無料のテンプレートが13種類用意されており、日本語にも対応しているため、国内向けのサイトでも安心して使用できます。ここでは、無料テンプレートの中から、サイト準備中ページに適した、シンプルなレイアウトのテンプレートを3つご紹介します。
Dawn
ストア表示の高速化を目指して開発されたミニマルな無料テンプレートです。2024年現在、Shopifyストアのデフォルトに設定されています。柔軟性が高く、これをベースに自分なりのテンプレートを作成していくことも可能です。
Refresh
見出しと画像がはっきりと目立つシンプルなデザインです。カラーパレットの主張も強いため、商品画像とブランドカラーを押し出したいサイトに適しています。
Taste
広々としたデザインで、テキストをしっかり読ませるレイアウトです。商品の写真がよく映えます。
まとめ
ウェブサイトの開設時や改修時、サイト準備中ページを表示させることで得られるメリットが多数あります。準備中ページは適切に制作し、設置することで、訪問者の期待を高め、効果的なマーケティングツールとしても活用できます。本記事を参考に、効果的な準備中ページを作成しましょう。
サイト準備中ページについてのよくある質問
サイト準備中ページに含めるべき内容は?
- 挨拶文
- サイト準備中である理由
- サイトの内容
- 予定公開日
- 連絡先
- ソーシャルメディアアカウントへのリンク
- ニュースレターへの登録フォーム
サイト準備中ページを用意するメリットは?
- 訪問者の理解が得られ作業時間を確保できる
- プロモーションに活用できる
- SEO対策ができる(新設サイトの場合)
サイト準備中ページを用意するデメリットは?
- リソースに負担がかかる
- 検索順位に影響が及ぶ(既存サイトの場合)
サイト準備中ページをShopifyストアで設定する方法とは?
- パスワード設定機能を使って準備中ページを表示する
- 準備中バージョンのLP(ランディングページ)を用意する
Shopifyストアでは、上記2種類の方法でサイト準備中ページを設定できます。
効果的なサイト準備中ページをつくるコツは?
- 1ページで完結させる
- シンプルなデザインを選ぶ
- ブランドカラーを使用する
- 読みやすいフォントを選ぶ
- CTAを記載する
文:Taeko Adachi