Shopifyのショップ管理システムは、アプリを利用することでeBayとも連携させることができます。eBayは、北米を中心に高い知名度を誇り、取引高が732億ドル(2023年)にものぼる世界最大級のECサイトです。世界190カ国へ展開するマーケットプレイスでもあるため、eBayと連携すればこれまで海外に展開していなかったショップでもスムーズに越境ECを始めることができるでしょう。すでに大量のユーザーを抱えているため、多額のマーケティング費用をかけることなく、多くの顧客にアプローチできるオムニチャネルの販売戦略を実現できるようになります。この記事では、ShopifyとeBayとの連携について解説するとともに、自分のショップにあった方法を選べるように代表的なアプリの機能や利用料金なども紹介します。
ShopifyとeBayを連携させる3つのメリット
1. ShopifyとeBayの商品を一元管理できる
ShopifyとeBayを連携させることで、注文状況や在庫数などもShopifyの管理画面で確認できるようになります。また、双方のプラットフォームを接続するための連携アプリでは、多くの場合、商品情報を自動で同期することもできます。個別に商品データのアップロードや管理を行なう必要がないため、2つのショップを運営しながらも手間が大幅に増えることはありません。
在庫状況もリアルタイムで双方のプラットフォームを同期できるため、「注文したのに品切れだった」など複数の販売経路を活用する際にありがちな販売機会の損失も防げます。さらにアプリによっては、配送手続きや売上集計などの注文管理に関わるプロセスも、Shopifyの管理画面に統合することができます。
2. より多くのユーザーにアプローチできる
すでに世界規模でユーザーを獲得しているeBayを活用することによって、より多くのユーザーにアプローチできます。eBayをはじめとするマーケットプレイスからのユーザーがShopifyで構築した自社ショップにも流入したり、プラットフォームごとに異なる時期にキャンペーンを展開することで売れ行きのピークを補完しあったりと、複数の販路と集客経路がシナジーを生み出します。
こうしたオムニチャネルアプローチによって多くの顧客を獲得できるため、売上の向上が期待できます。Shopify Marketplace Connect(ショッピファイ・マーケットプレイス・コネクト)のように、eBay以外のマーケットプレイスとも連携できるアプリを利用すれば、幅広いユーザーに効率よくアプローチできるでしょう。
3. 越境ECを始めやすい
ShopifyとeBayを連携させれば、簡単に越境ECをスタートさせることができます。今までアプローチできなかった海外エリアからの集客や販促活動は、eBayが担ってくれます。一方でShopifyは50もの言語に対応しており、ユーザーの設定言語に合わせて商品の説明文やカート画面を自動的に適用させる機能や、日本では聞いたことのない決済手段への対応、各通貨への自動換算機能などを備えています。
Shopifyで構築したこれらのECサイトデータと、eBayの出品データを連携させれば、世界中のさまざまな地域をターゲットにしながらも大きな手間をかけずに越境ECを実現できるのです。
ShopifyとeBayを連携する方法
Shopifyには、Shopify Marketplace Connectという連携アプリが用意されています。その特徴と設定方法を解説します。
Shopify Marketplace Connectとは
Shopify Market Connectは、Shopifyの管理画面から設定でき、eBayをはじめAmazonやEtsy、Walmartなどの世界で人気の高いマーケットプレイスと連携できるようにするアプリです。出品や注文、在庫管理などを同期できるため、Shopifyストアを簡単にオムニチャネルプラットフォームに変換でき、販売機会を拡大させることができます。また、自動通貨換算機能も備えているため、海外ユーザーの多いマーケットプレイスも利用しやすくなるでしょう。
毎月50件までの注文は無料で利用でき、50件を超えた分の追加注文1件ごとに1%の手数料が発生します。ただし、上限は月額99ドルです。
基本的な設定手順
- Shopifyの管理画面から「設定」→「アプリと販売チャネル」をクリック
- 「アプリと販売チャネル」ページで、[Marketplace Connect]をクリック
- 「アプリを開く」をクリック
- Marketplace Connectアプリの「設定」をクリック
- ドロップダウンメニューから「eBay」を選択
- 「eBayデフォルトを更新する」で必要な操作を実行
- 「保存」をクリック
「eBayデフォルトを更新する」の設定メニューでは、以下の操作を行なえます。
- デフォルトのeBay価格ルール:Shopifyの商品データをもとに、eBayへ出品する際の増減率や端数処理といった価格ルールを設定できます。
- デフォルトのeBay数量ルール:eBay上で表示される商品在庫をどのくらいにするか、Shopifyに登録されている在庫数をもとに自動計算できるルールを設定できます。
- デフォルトの配送サービス:eBayに注文が入った場合の配送方法をあらかじめ選択しておくことができます。
- 返品ポリシー:返品可能期間や返金方法、返品時の配送料の負担などをの設定できます。
- 自動分類:商品のeBayカテゴリーを手動で設定するか、自動的に分類するかを選択できます。
- 商品の自動リスティング:アプリ内からで設定したデフォルト値で、商品を自動的にeBayへ掲載するかを選択できます。
その他のShoipfyとeBay連携アプリ
1. CedCommerce eBay Integration
Ced Commerce eBay Integration(セドコマース・イーベイ・インテグレーション)は、Shopifyで構築したストアとeBayへの一括出品を行うことができるアプリです。注文や在庫の管理もほぼリアルタイムに自動で同期させることができ、出品時の商品データをテンプレート化する機能や自動の通貨換算機能も備えているため、eBayの運用を簡単にしてくれます。
無料プランでも毎月最大50件までeBay出品が可能ですが、以下のようなプランが用意されています。
- プラン名:無料プラン
- 月額料金:0円
- 出品可能数:50件
- 同期できる注文数:10件
- プラン名:ブロンズ
- 月額料金:29ドル
- 出品可能数:500件
- 同期できる注文数:毎月100件
- プラン名:シルバー
- 月額料金:49ドル
- 出品可能数:2,000件
- 同期できる注文数:毎月500件
- プラン名:ゴールド
- 月額料金:79ドル
- 出品可能数:5,000件
- 同期できる注文数:毎月1,000件
有料プランであれば、有料プランでは複数のeBayアカウントを1つのShopifyストアに紐づけて統合管理できるほか、専任のアカウントマネージャーのサポート(英語)も受けられます。もちろん無料プランでも一部のサポートは受けられるので、まずは無料プランから利用してみましょう。
2. eBay Importer by InfoShore
eBay Importer by InfoShore(イーベイ・インポーター・バイ・インフォショア)は、eBayの出品情報をShopifyにスムーズに取り込むことができるアプリです。すでにeBayに出品しているというショップであれば、特に有用なツールと言えるでしょう。商品画像やバリエーション、出品データを自動でインポートできるほか、価格設定やカテゴリ、説明テンプレートなどをカスタマイズすることも可能です。無料プランも用意されているため、機能を確かめたうえで導入を検討できるでしょう。それぞれのプランの違いは以下のとおりです。
- プラン名:無料プラン
- 月額料金:0円
- インポート数:最大5アイテム
- 同期できるアイテム数:最大5アイテム
- リアルタイム同期:なし
- プラン名:ブロンズ
- 月額料金:19.99ドル
- 毎月のインポート数:500アイテム
- 年間のインポート数:6,000アイテム
- 同期できるアイテム数:最大1,500個
- リアルタイム同期:なし
- プラン名:シルバー
- 月額料金:29.99ドル
- 毎月のインポート数:2,000アイテム
- 年間のインポート数:24,000アイテム
- 同期できるアイテム数:最大6,000個
- リアルタイム同期:あり
- プラン名:ゴールド
- 月額料金:59.99ドル
- 毎月のインポート数:5,000アイテム
- 年間のインポート数:60,000アイテム
- 同期できるアイテム数:15,000個
- リアルタイム同期:あり
まとめ
ShopifyストアとeBayを連携させることで、在庫や注文情報を両プラットフォームで一元管理できるようになります。手間を抑えながらも複数のマーケットプレイスで商品を展開できることから、オムニチャネルのアプローチによる売上の向上が期待できます。また、北米を中心に世界各国にユーザーを抱えるeBayを通して、越境ECの展開も実現しやすくなるでしょう。
eBayと連携できるアプリは、Shopifyが開発したShopify Marketplace Connectをはじめ、サードパーティ製のアプリも複数あります。それぞれの特徴や月額料金を比較したうえで、自分のショップにあったものを選びましょう。eBayですでに出品している方はもちろん、Shopifyのショップでさらに販売機会を拡大させたい方は、ぜひこの記事を参考にアプリを使って連携を進めてみてください。
よくある質問
eBayとはどのようなマーケットプレイス?
eBayはアメリカを中心とする世界190カ国で展開されている世界トップクラスの規模のECサイトです。
ShopifyストアをeBayに連携させるとどんな機能が使える?
ShopifyストアとeBayを連携させることで、在庫や注文を一元管理できます。アプリによって利用できる機能に差はありますが、リアルタイムで注文情報や在庫を簡単に同期できることが主なメリットです。
オムニチャネルとは?
オムニチャネルとは、実店舗やECサイト、複数のマーケットプレイス、SNSなど様々なチャネルを連携させることで、集客や販売のチャンスを拡大させていく戦略のことです。単純に顧客との接点を増やすだけにはとどまらず、各チャネルの運営管理までが統一されていることが重要となります。
文:Kana Fukuzumi