しかし、国内市場が縮小する今だからこそ、海外販売にチャレンジする価値は大いにあります。せっかくネットショップを始めるならば、国内市場だけでなく海外市場も視野に入れてみると、思いがけないチャンスが巡ってくるかもしれません。
今回の記事では、海外向けネットショップにチャレンジしたい人向けに、越境ECの始め方と海外販売にShopifyをおすすめする理由を紹介します。
越境ECを始める2パターンの方法
越境ECを始めるには、自社ECサイトを構築する方法と、ECモールに出店する方法の大きく分けて2パターンがあります。
1. 自社ECサイトを構築する
国内発送と海外発送の両方に対応するECサイトを構築する
日本国内在住の顧客にも、海外在住の顧客にも販売を行いたいという場合は、国内発送と海外発送の両方に対応する自社ECサイトを構築するのが良いでしょう。こうしたECサイトは、住所入力フォームや送料自動計算機能が国内と海外の両方に対応している必要がありますが、これらの機能を簡単に実装できるECプラットフォームを使うことで、スムーズに構築できます。たとえば、ShopifyやSTORES(ストアーズ)は、日本国内向けの機能はもちろんのこと、海外発送向けの機能にも対応しています。
海外発送に特化したECサイトを構築する
海外の顧客のみをターゲットとする場合は、対象とする国に合わせた言語で自社のECサイトを構築し、その国の通貨や、現地で主流になっている決済方法に対応するのが一つの方法です。前述のShopifyやSTORESでは海外発送のみ、外国語のみに対応するECサイトを構築することも可能です。あるいは、海外で人気のECプラットフォームである、SquarespaceやAdobe Commerceなどを使うのもよいでしょう。
2. ECモールに出店する
海外のECモールに出店する
海外のECモールに出店することでも、越境ECを始められます。各国でよく利用されており、かつ国外からの販売に対応しているECモールの例は、以下の通りです。
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Amazon(アマゾン、世界16か国):世界最大級のECモール。国ごとにストアのサイトが異なるため(英国版は「Amazon.co.uk」、インド版は「Amazon.in」など)、販売対象とする国を選んで出店する必要がある。Amazonの越境EC向けのサービスである「グローバルセリング」のアカウントを開設することで出店可能。
日本国外向けの各ストアは日本の銀行口座に対応していないため、出店するには対象国で有効な銀行口座を持っているか、Hyperwallet(ハイパーウォレット、Amazonが提供する海外銀行口座レンタルサービス)などを利用する必要あり。 - eBbay(イーベイ、世界190か国以上):Amazonと同様、世界最大級のECモールで、最大世界190か国に一括出品が可能。出店するには、海外送金サービスのPayoneer(ペイオニア)のアカウントを開設する必要あり。
- Lazada(ラザダ、東南アジア):シンガポール、マレーシア、ベトナム、インドネシア、フィリピン、タイの6か国に展開しており、東南アジアで最も知名度のあるECプラットフォーム。出店するには、法人または個人事業主であり、日本または香港からの発送が可能である必要あり。また、Payoneerのアカウントを開設する必要あり。
- 天猫国際(Tmall Global、中国):中国最大の越境ECモールで、化粧品や食品、ベビー用品が多く扱われているのが特徴。高い集客力を持ち、信頼度も高い。出店するには、中国国外の企業である、商標を取得している、経営状態が良好であるなどさまざまな条件をクリアする必要があり、審査が厳しい。出店の際、中国現地の銀行口座は不要。
- 京東国際(JD Worldwide、中国):デジタル製品や家電製品に強みを持つ中国大手の越境ECモール。日本製品を扱う「日本館」があるので日本から出店しやすい。中国国外の企業であるなどの条件をクリアする必要あり。出店にはドル決済の機能を持つ銀行口座が必要。
なお、自社ECサイトを構築する場合も、ECモールに出店する場合も、その国の税制度、特に関税や輸入税の制度に対応することが必須となります。たとえば欧州で販売する際にはVAT(付加価値税)の登録や申告、納税が必要となります。
Shopifyを越境ECに活用するメリット
Shopifyは多種多様な言語や通貨、決済方法に対応しており、海外発送向けの機能も充実しているため、越境EC向けの自社サイトを構築する際に活用すれば、大きなアドバンテージとなります。越境ECに役立つShopifyのさまざまなメリットについて、詳しく見ていきましょう。
多言語・多通貨に対応している
Shopifyでは、50以上の言語と130を超える通貨に対応しているため越境ECを始めやすいのが特徴です。たとえば、以下のような特徴があります。
- 構築したECサイトをShopifyのアプリを使って主要言語に自動翻訳できる
- ストアの基本的な部分については、言語設定を変更するだけで自動的に表示言語を変えられる
- 日本円で設定した価格を、米ドルや欧州ユーロなどに自動変換できる
多言語・多通貨に対応していることによって言葉や通貨の壁がなくなるため、海外市場に進出する際のハードルを大幅に下げられます。
世界各国で利用されているさまざまな決済方法に対応している
Shopifyでは、世界的に普及しているPayPalをはじめとする、100種類以上の多様な決済方法に対応しています。
たとえば、国内では、PayPay決済やクレジットカード決済が一般的ですが、海外では現地特有の決済方法が使われているケースも少なくありません。しかし、世界170か国以上で使用されているShopifyなら、複雑な設定や専門知識がなくても世界中のユーザーに適した決済方法を提供できます。
多様な決済方法に対応していることによって、スムーズな購買体験を実現できるので、国際的な販売機会を最大化できます。
海外発送時に必要な作業を簡単にする仕組みがある
Shopifyでは、海外に商品を発送する際の送料の設定や、関税などの税金の計算、送り状やインボイスの作成などの煩雑な作業を簡単にできます。
たとえば、アメリカの場合、州ごとに異なる税率を自動的に顧客の住所から計算し、管理することが可能です。また、出荷する商品のサイズや重量を入力すれば、国内外の運送会社の料金を比較し、送り状やインボイスを簡単に発行できます。
また、Shopifyには50か国語以上で注文確認や配送確認などに使えるメール通知のテンプレートが用意されているので、海外ユーザーとのコミュニケーションも心配ありません。
Shopifyの魅力
デザイン性が高い
Shopifyは「思い通りのウェブサイトを、自らの手でデザインしたい」という方の味方です。デザインの公式テンプレート数は70種類以上あり、ウェブ制作に慣れていなくても独創的なホームページが作れます。
ECサイトの見た目がブランドイメージを左右するネットショップにおいて、ストアのデザインにこだわることは重要です。さらに、販売する対象が海外の場合には、海外受けの良いデザインのストアづくりが欠かせません。しかし、デザインを外注すると多額のコストがかかることが多く、さらには期待通りの仕上がりにならないということもあります。
充実したマーケティング機能
Shopifyには、集客のためのノウハウが詰まっています。SEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)対策は基本事項が最初から備わっているため、複雑な設定は必要ありません。また、広告に関しては、Facebook広告やGoogle広告と連携しながら広告を自動作成することができます。
国内の小さな毛糸屋さんをグローバル展開させるにあたり、紆余曲折を経て最終的にShopifyを選んだと話すamirisuの田中さん。しかし、モールと自社ECサイトの一番の違いはその集客力。自社ECサイトを立ち上げて販売するには、集客を独自に行わなければなりません。
さらに、Shopifyのストア分析では、広告を打った後の効果を確認したりチャネルごとの売り上げを分析したりできます。ネットショップのパフォーマンスを詳細に分析したい場合は、上位のプランにアップグレードして「販売」「利益」「顧客」などの個別レポートを見ることも可能です。
マルチチャネル
海外販売で成功するには、世界中の買い物客とつながるために販売チャネルを増やすことが重要です。販売チャネルを複数持つことをマルチチャネル化と呼び、Shopifyにはそれに必要な機能が多数用意されています。
越境ECと特に相性が良い販売チャネルはSNSです。Instagramで商品をタグ付けして直接購入できるようにしたり、Facebookを宣伝や販売の場として活用したり、さまざまな方法で顧客にアプローチすることができます。
また、自社ECサイトを海外の大手ECモールと連携させるという方法も、越境ECには効果的です。Shopifyでネットショップを運営すると、自社ECサイトで販売する商品をAmazonやeBayなどで同時に販売することができます。
販売チャネルが増えると商品情報や顧客情報の管理が難しくなりそうですが、Shopifyなら心配ありません。どの販売チャネルで売れても、ひとつの画面で一括管理ができるのがShopifyの魅力です。
使いやすさ
Shopifyは管理画面の使い勝手が良く、iPhoneやMacのように直感的に操作することができます。機能は必要に応じてアプリで追加したり削除したりできる形式なので、管理画面は常に見やすくなっています。
また、管理画面は日本語にも対応しているため、操作に迷うことはありません。疑問がある場合には、日本語でのサポートを受けることができます。
グローバルな変化に対応
越境ECでは、ストアが必要とする機能をその都度拡張しながら進化することが求められます。なぜなら、世界の市場環境やトレンドは常に変化しているからです。
ところが、日本の会社が提供するECプラットフォームのほとんどは、他のアプリと連携するという前提で開発されていません。ビジネスを進めるなかで「こうしたい!」と思うことが出てきたとしても、新たな開発が必要になったり、やりたいことを諦めたりするというケースが起こり得るのです。
一方、Shopifyは他のアプリと連携しながらストアを自由にカスタマイズできるECプラットフォームです。何千という単位で存在するアプリが日々進化するなかで、Shopifyはグローバルな変化にもスピード感を持って対応できる柔軟性を持っています。
まとめ
国内市場が縮小傾向にある現在、越境ECは新たな成長が期待できる魅力的な選択肢の一つです。海外発送可の国内向けECサイトを構築する、海外のECモールに出店するなど、越境ECはさまざまな方法で開始することが可能です。自社の状況や目標に合わせて最適な方法を選びましょう。
Shopifyは、多言語・多通貨に対応し、豊富な決済方法を備えているため、Shopifyを使ってECサイトを構築すれば、越境ECを簡単に始められます。海外発送を簡単にする仕組みも用意されています。また、使いやすさやデザイン性の高さ、マルチチャネル対応など、幅広い魅力を持っているのも特徴です。
越境ECを検討している人は、ぜひこの記事を参考に、自社に合った最適な始め方を選んでみてください。
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よくある質問
越境ECとは?
越境ECとは、国内から海外のユーザーに向けて商品をオンラインで販売する商取引のことです。
越境ECの将来性は?
越境ECの市場規模は、2019年に世界で100兆円を超え、2026年には600兆円を上回ると予測されています。
越境ECを始めるのにおすすめのプラットフォームやECモールは?
- Shopify:50以上の言語と130を超える通貨に対応しているECプラットフォームであるため越境ECを始めやすい
- eBay:世界190か国以上で展開しているECモールであるため、複数国で同時展開もしやすい
- Amazon:世界的に知名度が高いECモールなので、ユーザーからの信頼が厚い
文:Kana Fukuzumi