筆者の生活しているニューヨークのマンハッタンでは街中を歩いていると多くの犬を見かけます。犬種のトレンドもあるのでしょう。日本ではあまり見ない種類の犬を見かけることも多く、犬や猫を飼い始める人も増えているようです。事実、アメリカにおけるペット産業は右肩上がりで推移しており、statistaによると、2019年にはアメリカの世帯の約67%が一匹以上のペットを所有しており、とりわけ成長著しいのはペットフードという結果が出ています。2021年までに売り上げが約440億ドルに達すると推測されています。
パンデミックにより、新たな家族の一員としてペットを迎える
また、新型コロナウイルスの影響もあり、ペット用品をECサイトで購入する人が急増しています。新型コロナウイルス中の自宅隔離によって新たな家族として犬や猫を迎えた人も多くいました。今までペットフードやペット玩具などいわゆる、“ペット用品”と呼ばれるものはTargetやWallmartなどの大型量販店での購入、それら量販店のECサイトが多く、ペットオーナーの約半数がAmazonで購入しているという結果が出ています。オンラインペットショップではChewyがトップで、ペットを所有している消費者の約30%が過去12ヶ月のうちに同サイトを訪れ、商品を購入しているといいます。(出典:Statista)
最近ではHermesやLouis Vuitton、Tiffany、PRADA、FENDIなどのラグジュアリーブランドもこぞってペットアクセサリーを販売しており、富裕層の消費者の間では人気を博しています。犬のリードや首輪をはじめ、ブランドロゴのあしらわれたキャリーバッグ、エサ用のボウルはスターリングシルバー製のものもあり、人間顔負けです。家族の一員という意味でペットアクセサリーをラグジュアリーブランドで購入することを厭わない飼い主も多いよう。
ペットの快適性を求め、スタートアップも続々登場
一方アメリカではペット用品を販売するスタートアップの新興ブランドも増えています。それらの多くは「今までこういうものがなかった」「ペットにとって心地いいもの」などの視点でブランドをスタートしているケースが多いようです。デザイン性にも優れ、飼い主が楽しみながら選べるもの、そして当のペット(ここでは主に犬や猫)が心地良く使えるものを意識しています。
アパレルデザイナーが犬向けのグッズをデザインするなど、maxboneはデザインの高さと機能性により、顧客生涯価値を高め、対前年比3倍の売り上げを記録するなど、好調に推移しています。飼い主もファッションを楽しむように身につけられるキャリーバッグやリースが一体化したポーチなどに加え、リサイクルナイロンとウォーターボトルをリサイクルしたエコダウンなど、環境に配慮した商品を製造するあたりも意識が高い。
他にもベビー業界の品質基準を採用し、人間工学に基づいて使いやすさ、収納を追求した犬用クレート(運搬用などのケージ)を販売するdiggsや、NASA認定のメモリーフォームを使用し、体圧分散、快適性、サポート性を高めたラグジュアリーベッドを販売するAnimals Matterなど、ペット視点となり、テクノロジーを駆使したモノづくりを行っているブランドが注目されています。
ECサイトで販売をするペットブランドの急成長の背景には下記のような理由が考えられます。
・新型コロナウイルスの影響により、ペットを飼う人が急増。また、自宅隔離などによりECサイトでの買い物が当たり前となってきた
・ペット業界に新しい風を吹き込むべく、デザイン性を重視し、ペット視点でモノづくりをしたいと考えていた人たちがスタートアップをスタート
・D2Cブランドとして価格の透明性や会社としてのステートメントを重要視するため、ECサイトでの販売が現在のブランドの在り方にマッチしている
猫が喜ぶ機能美を追求した「tuft paw」にインタビュー
インテリアに馴染むスタイリッシュなデザインの猫用グッズが取り揃っているtuft paw。自らが2016年に保護猫を受け入れた際に、既存の商品では満足が行かず、猫の行動学者と組み、商品開発を行いブランドをスタートさせている。
猫用ということで家の中に置いた際の見た目はもちろんのこと、猫たちにストレスのないデザインを実現し、多くのファンを獲得している。ファウンダーでCEOのジャクソン・カニンガムに話を伺いました。
1.どのような経緯でtuft pawブランドをスタートさせましたか?
私は2016年に地元のレスキュー団体から猫を迎え入れました。私たちのつながりはすぐにできました。
猫の家具を買うとき、すぐに選択肢がいかに限られているかに気づいたんです。どの会社もできるだけ低コストで製品を作ることに注力しているようで、最小限のデザインで最も安価な素材を使用しているということです。私たちは猫に愛情を注いでいるのに、猫用家具はそうした低い水準で作られていることが不思議でなりませんでした。
tuft pawは、リサーチを重ね、考え抜かれたデザインと製品を通じて、猫との暮らしとケアの水準を高めようとする猫たちの目線に立ったブランドです。当社の製品は、エンジニア、デザイナー、猫の行動学者によって、猫と人間の両方のニーズを考慮して作られています。私たちは猫を尊重し、お客様が愛する仲間のケアを私たちに託してくださることを嬉しく思っています。
2.商品を開発する際にどんなことを重視していますか?
「猫も人間も喜ぶ、機能的で美しい商品を作ろう」ということです。そのためにはまず、お客さま、つまり人間ではなく、猫を理解することから始めなくてはいけないと考えました。猫たちはストレートに意見を言ってくれないので、猫の行動学者に協力を仰ぎました。
行動学者は、猫の生態から猫が成長するために本当に必要なものを見出すことができます。猫にとって最適な環境でなければ、何かしらの行動を起こしてしまうのです。私たちの使命は、単に見栄えのする商品を作ることではなく、猫と人間が一緒に幸せに暮らせる環境を作ることです。
tuft pawはスカンジナビアンモダンスタイルからインスピレーションを得て商品を作っています。洗練されたミニマルなスタイルでありながら、温かく親しみやすい、そんな家具にしたいんです。そして、もうひとつ重要なのが品質。バルティックバーチ合板やフェルトなど、最も耐久性が高く、肌触りのよい素材を常に選んでデザインしていることもこだわりのひとつです。
3.他のブランドにないtuft pawの強みは何ですか?
原則として、 私たちのブランドは猫のために作られ、モダンなデザインに焦点を当て、卓越したケアを提供しています。tuft pawの商品開発に携わる猫の行動学者は、製品開発とデザインプロセスの重要な部分を担っており、猫への愛情がすべての製品のインスピレーションになっています。猫に対する思いやりのある洗練されたディテールをすべてのアイテムに組み込み、使う喜びとお手入れのしやすさを実現しています。
また、私たちの強みは製品に関するどんな質問にも答えることができる熱心なカスタマーケアチームを持っていることです。また、猫の行動学者は製品とは関係がない猫に関する質問が来た際、すべてのお客様に対応することができることですね。
4.オシャレなペット用品を扱うブランドが増えていますが、市場の変化をどう捉えていますか?
ペット用の商品が増えていることは間違いないですね。時代とともに、ペットも人間と同じように大切な家族の一員となり、それに伴って購入する商品も変化をしてきましたが、他の業界の大きなトレンドと同様に言えることで、ネット上では素敵に見えても、家に届くとがっかりするような商品を提供するブランドが市場に溢れています。実際に使ってみると見た目がまったく違う、あるいは性能が発揮されていない。ペットのケアには、品質がとても重要だからこそ、複数の商品をリリースしなければならないというプレッシャーがある中でも、厳格なテストと製品開発のプロセスを守り続けています。発売する製品がすべてです。お客様が心から喜び、ペットが生涯に渡って使用できるものであることを保証しています。
5.どのようなマインドセットのカスタマーにtuft pawを使ってほしいですか?
tuft pawで提供するサービスに、「わぁ!いつもの家具の横に置いておける猫用家具がやっと見つかった!」というようなワクワク感を感じてほしいです。今回発売した「Really Great Cat Litter」のように、新しいカテゴリーの商品を発売する際にも、同じような安心感や満足感を感じてもらえたらと思っています。例えば、「Really Great Litter」は、猫砂を入れる箱の横に、スコップを入れる袋を別に用意することで解決したいと思いました。砂が水に流せるだけでなく、大豆を主成分とすることで水に完全に溶けるという、他にはない処方を実現しました。そうした驚きのある商品に対してワクワク感を持ってくれるお客様に使っていただきたいです。
6.ブランドとして行っている社会貢献や環境対策はありますか?
すべての商品に耐久性があり、長持ちすることで埋立地へ送られる量が少なくなるように設計しているほか、プラスティック製の商品については、可能な限りリサイクルできるような設計を心がけています。例えば、ネコのトイレである「Cove Litter Box」では、プラスティックの壁をネジで取り付けるかどうかを選択することがでるデザインにしました。プラスティックを選んだお客さまは製品を完全に分解することができ、リサイクルができるようなデザインにしています。
また、猫砂の「Really Great Cat Litter」は大豆の副産物から作られているので、従来はゴミとして処理されていたものを再利用するよう配慮されているほか、もちろんリサイクル可能な袋に梱包されています。
キャットシェルターと協力して、定期的に商品を寄付しています。特に、お客様から返品された製品については、その都度寄付を行っています。
7.なぜ、shopifyプラットフォームを選びましたか?
最も使いやすく、総合的に優れたプラットフォームだと思います。ユーザーインターフェースと、物流、販売、マーケティングなど、複数のアプリケーションを統合できる機能が気に入っています。今後はチェックアウトページをshopify plusユーザー以外でも編集できるようにしてほしいですね。
8.特別なマーケティング戦略を行っていますか?
InstagramやTikTokを通じたオーガニックソーシャルメディアを積極的に取り組んでいます。これらのチャンネルでは、教育やエンターテインメントを通じて、猫に関連する質の高いコンテンツを提供することができます。多くの才能あるコンテンツクリエイターやパートナーと一緒に仕事ができることを非常に幸運に思っています。
9.ブランドのゴールを教えてください。
猫好きの人々が自分と猫の生活を構築する際に訪れる場所になりたいですね。猫用家具はそれらの一部に過ぎませんが、これからも猫と人間の生活をより豊かにする商品を発表していきたいと思います。
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