2019年10月よりShopify Plus Partnersの認定を獲得した株式会社フラクタは、デザイン性の高いECサイト制作で日本のD2Cブランドを支えるブランディングエージェンシー。ブランディングを大切にする同社の戦略と、Shopifyの利点や将来のビジョンについてお聞きました。
Shopifyは安心感があるし、お客様にも紹介しやすい
前身企業で自社プロダクトとしてECサービスを提供している中、当時のお客様から「ブランドをもっとうまく表現したい」という要望が多かったため、ブランディング×ECを専門とする株式会社フラクタが2013年にスピンアウトする形で立ち上がりました。
ある日、開発コストの面も含め、自社プロダクトを展開し続けることに限界を感じます。
「当時、サポートチームに寄せられていた問い合わせの内容が、プロダクトの細かい使い方やバグの相談ばかりで。売上アップや表現の部分で支援したいと考えているのに、日々の運用でいっぱいいっぱいという話が多かった。このままでは本当に提供したいサービスができないんじゃないかと感じたんです」
「このままでは本当に提供したいサービスができないんじゃないかと感じたんです」
調査をしていく中で、米国の有名なブランドのほとんどがShopifyを利用していました。海外での実績が豊富なためお客様に安心して紹介できるのでは?と思い、フラクタ社でShopifyの本格導入が始まりました。
「サーバー管理をしてくれる点もお客様の安心感につながると思いました。以前は、セールや季節ものの取り扱いのため、シーズンごとにサーバーの容量を上げるという対応もしていましたが、そうしたコストも不要になりますから。」
ブランディング支援に注力できるようになった
ブランドサポートデスクの橋本 恭代乃さん
新たなプラットフォームへの期待が高まる一方で、橋本さん中心に動いていたサポートチームでは、それまで培った自社サービスに関するノウハウが不要になるのでは?という不安がありました。
しかし、経験を活かしてお客様と対話する点はこれまでと同じで、ツールが変わるだけでやっていくことは変わらなかったため、導入後はそうした不安も減少傾向に。
Shopify導入後、社内に変化があったと言います。
『以前は、仕様が想定と違った場合に、バグではないのに「どうにか変えられないか?」と言われることがありました。自社プロダクトだと対応できることもあるので、悪い意味でお客様の要望を聞きすぎていたんです』
Shopifyの機能はあらかじめ決まっているため、その機能をどう活用するかをお客様と一緒に考えていくスタイルへ変わり、社員もお客様とのコミュニケーションに前向きになったと言います。社員がよりポジティブな形で業務にあたれるようになりました。
お客様とのコミュニケーションスタイルが変わり、フラクタ社は本業であるブランディングに費やす時間が増えました。
「以前はまるっと私たちに全て任せていただくことがほとんどでしたが、Shopifyを使うことで、できるだけお客様が自分たちでやれる体制を作り、私たちがそれを後ろから支える仕組みができました。フラクタがもともとやりたかったブランディング支援に注力できるようになったと感じています」
またもう一つの大きな変化が「組織改革」です。
Shopify導入にあわせてサポートチームが解体され、全員がテクニカルディレクターにキャリア展開。必要に応じてコンサルティングとサポートの役割を使い分けながら対応できるようになったのも大きな変化と言います。
「全員がお客様と直接やり取りをする形になったので、元エンジニア部門のメンバーも、お客様が求めているものが以前よりわかるようになり、全体として不要な労力が減って、より適した形で業務にあたれるようになりました」
使いやすいプラットフォームだからこそ、事業者からEC業務を全て委託されるケースが減り、お客様側である程度作業してもらえるようになったと言います。
「Shopifyはお客様自身が使いやすく、理解しやすいサービスだからこそ、「次はこういうことがしたい」と新しい要望も出てきやすくなったと思います。構築段階から次のフェーズの話がいろいろと出てきますし、こちらにご依頼いただく予定だったものを、「やっぱり自社でやります」と判断されるケースもあります」
お客様側で運用できるならパートナーへの発注が減るのでは?そんな不安が出てくると思います。しかし、フラクタ社はどんどんお客様の方で動いてもらいたいと言います。
「Shopifyは管理画面がすごく使いやすいから、渡したあとで自由に調整してくれるんです。それは私たちのビジネスの上でもいいことだと思っていて。Shopifyの魅力を最大限に活かすためにも、できる限りお客様のほうで動いてもらいたい。そのためにnoteなどで情報共有したり、アプリも一緒に探したり検証したりしながら、自分で手を動かしてもらえるようなコミュニケーションを心がけています」
griroseのオンラインストア
フラクタ社が最近担当した土屋鞄の新ブランド「grirose(グリローズ)」について聞きました。
「目標としていたアクセス数と購入数を達成することができました」
griroseはランドセルのブランドで、購入する親御さんはスマホ世代。フラクタ社はスマホでの使いやすさを意識したサイトを構築し、目標としていたアクセス数と購入数を達成。Shopifyのテーマだけで、デザインの再現性を高められるという事例になったと言います。
「私たちは基本的にWordpressなどの他のサービスは入れず、Shopifyのテーマをカスタマイズして使っています。それで十分なので」
フラクタ社ではなるべくShopifyだけで完結するようにしています。ほかのサービスと連携すると、管理の煩雑さやセキュリティ面の不安が出てくるためです。
ブランディング事業のビジネスモデルにマッチした
サイト構築で終わるのではなく、並走しながら長くブランドを支え続けたいと考えるフラクタ社。ShopifyはEC機能をのせなくてもサイト構築ができるため、お客様からShopifyを使いたいという要望も多いと言います。
「Shopifyの仕組みを使うようになってから、そうした自分たちのビジネスモデルをようやく体現できるようになり、成長も実現できました。今D2C(Direct to Consumer)が注目されていますが、こうした流れとブランディングという弊社の強みがマッチしたのも大きいと感じています。」
Shopifyエコシステムでパートナーのコミュニティーも年々大きくなっています。
フラクタ社はパートナーコミュニティーの中で、積極的に他パートナーとの関係を構築しています。他プラットフォームを利用していた経験から、Shopifyパートナーコミュニティーは特別だと言います。
「パートナー企業と手をつなぎやすいところはShopifyの最大の強みですよね」
Shopify Meetup in Shibuyaの様子
「パートナー企業と手をつなぎやすいところはShopifyの最大の強みですよね。たとえばトランスコスモス技術研究所さんはすごく技術力が高いですが、ブランディングはやられていないので一緒にやりましょうとお話したり、コマースメディアさんは運用に強いのでお客様を紹介したり、StoreHeroさんとはアプリを一緒に作ったり。各社の得意なところが明確なので提携や送客がしやすく、ビジネスチャンスが大きく広がりました。他のプラットフォームでは、一斉に見積もりの問い合わせが来て周りがライバルになってしまうのが残念だったので、その点はすごくいいですね」
Shopifyは日本に進出して2年少し。日本へのローカライズをさらに加速しようと、フラクタ社を中心に、他のパートナーがアイデアを出し合い、開発に動き始めています。
「最近、パートナー同士で日本仕様のアプリセットを作りたいねと話しているんです。海外のアプリは良いものが多いですが、文化の違いもあってそのままでは使いづらい面もある。日本向けに作ればビジネスにつながるだろうと考えています。 弊社はナレッジもわりとオープンにしていますし、お互いに情報を共有しながら、横のつながりを広げていければと思っています」
ブランドがたくさん世に出るようにサポートしていきたい
代表取締役の河野貴伸さん
最後に、代表の河野さんに今後のビジョンを聞きました。
「日本にたくさんブランドを増やすというのが僕らのミッションです。昔はマスブランドがあってみんながそれを買っていたと思うんですが、今は趣味趣向が多様化して、それぞれが好きなブランドを手にできるようになりました。自分の好きなブランドがあると毎日が楽しくなりますよね。日本人は良いものを作れるのに、コミュニケーションが得意じゃないからブランドをたくさん作れていない。だからこそ、小さなブランドでも世に出られるようにサポートしていきたいんです。社名の由来でもあるフラクタル図形のように、小さなブランドがたくさん集まって大きな経済圏ができれば、日本にとってもプラスになるし、そういうブランドが世界にたくさん出ていけたら、世界も楽しくできると思っています」
フラクタ社のオフィスの入り口には支援しているブランドの製品が展示されています。オフィスに入った瞬間から感じるお客様のブランドに対する熱い思いと社員の前向きなエネルギーには誰もが圧倒されるのではないでしょうか。
「Shopifyは費用負担が少ない上にブランド表現もできるのでお店を始めやすい。目標は今後3~5年をめどに、Shopifyで1000店舗のブランドを作るお手伝いをすることです」
活発にShopifyパートナーとして活動されていますが、去年Shopify Plusパートナーとして認定をされ、ますますShopifyパートナーコミュニティーの中で存在感を強めています。今後のフラクタ社の取り組みには目が離せません。
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