製品画像は、ジュエリービジネスの成功を左右します。ジュエリーの質感や細部がはっきり写った写真があれば顧客は安心して購入しやすくなるため、製品を正確かつ美しく表現することが重要です。
しかし、ジュエリーの撮影は簡単ではありません。光の反射や汚れが写らないように注意し、照明を調整し、カメラのシャッタースピードや絞りを設定して、ジュエリーを魅力的に撮る必要があります。
このガイドでは、プロを雇ったかのような素晴らしいジュエリー写真を撮るためのノウハウを紹介します。しかも、必要なコストはごくわずかです。照明、配置、画像編集など、DIYのジュエリー撮影に必要なヒントをお教えします。
ジュエリー写真に必要な機材
撮影に使う機材は予算によって異なります。以下のようなアイテムを購入してコストを抑えることができますが、照明やディスプレイなどの高価な機材を購入しても良いでしょう。
以下は、基本的なジュエリー写真に必要な機材の一部です。
カメラ
ジュエリーの写真を撮るために高価なカメラは必要ありません。ジュエリーストアを始めたばかりなら、iPhoneやAndroidスマートフォンで撮ることもできます。スマートフォンを持っているならそれを使い、すでにデジタル一眼レフカメラを持っているならそれを活用しましょう。
三脚
手持ちで撮影する場合は、照明の強さに関係なく、カメラが揺れて写真がぶれてしまうことが多いです。
必ず三脚を使用してください。三脚は安価で効果的で、品質と画像の一貫性を向上させます。三脚でカメラを安定させれば、最適な絞り値やISO設定を使用できます。床に三脚の位置をマークしておけば、別の日に撮影しても簡単に同じ設定を再現できます。
照明
ジュエリーの写真を撮るには光が必要です。窓の近くの壁のある部屋で撮影すると良いでしょう。窓が大きいほど多くの光を得ることができます。自然光がない場合は、ソフトボックスのような人工光源を購入する方法もあります。
オンラインストアで撮影用の照明キットを購入できます。最初はシンプルな設定にしましょう。カメラに慣れてきたら、反射板やLEDライトなど、さまざまな照明技術を試してみてください。
テーブル
標準的な折りたたみテーブルが最適です。幅60〜70cmのものを探してください。
白い背景
白い背景を作成する方法はいくつかあります。さまざまな製品の写真を何枚も撮る予定がある場合は、白い背景紙ロールを購入すると便利です。
背景紙ロールは、背景用に使われる白や色付きの大きな紙のロールです。背景紙ロールが汚れた場合は、汚れた部分を切り取り、新しい部分を引き出すだけで済みます。背景紙ロールの代わりにポスターボードを使用することもできます。どちらのタイプの背景でも、しっかりと固定するためにマスキングテープやクリップ、クランプを用意しておくと良いでしょう。
フォームボード
製品を撮影する際、光が直接当たる側とは反対側に影ができます。通常、その部分は暗すぎて画質が低くなります。この場合は白いフォームボードを置いて光を影の側に反射させ、ほんのり明るくするのがコツです。
ジュエリーの撮影方法
機材が揃ったら、ジュエリーを撮影してeコマースストアにアップする準備をしましょう。
1. テーブルを設置する
写真スタジオとして使用するスペースを見つけましょう。窓の近くで撮影する場合は、テーブルを窓に対して90度の角度で配置します。窓に近いほど、光が柔らかくなります。
テーブルを置く場所を決めたら、背景紙ロールを設置します。これにはいくつかの方法がありますが、大切なのは背景紙ロールを垂直に垂らすことです。壁の近くにテーブルを置く場合は、テープで背景紙を壁に貼り付けます。それ以外の場合は、背景紙を固定するためのスタンドや壁を用意する必要があります。
撮影エリアの前に三脚を置きます。低い三脚を使うスマートフォンの場合は、背景紙の上に直接置くことができます。十分な広さがあれば、ジュエリーを置くためのスペースが確保できます。
2. 照明を配置する
自然光で撮影する場合は、すでに窓からの光があるので問題ありません。
しかし、照明器具を使用する場合は、セットアップが少し異なります。
1つの光源とソフトボックスまたは撮影用アンブレラを、製品に対して45度の角度で配置します。これにより、光が柔らかく均等になります。カメラはジュエリーの正面に置きます。製品が背景紙の後方に置かれていると影ができる場合があります。製品をカメラの方に近づけて、背景を真っ白にしましょう。
3. ジュエリーをスタイリングする
ジュエリー写真に慣れていない場合は、まず白い背景だけを使って撮影して基準を作りましょう。経験を積むにつれて、スタイリングにさまざまな要素を加えることができます。
写真をより魅力的にするために、ジュエリーを小道具の上に置いたり、白以外の背景を使ったりすることができます。例えば次のようなものがあります。
- 大理石板の背景
- シンプルなテクスチャの背景
- リングホルダーやリングスタンド
- 他のジュエリーとコーディネート
モデルを使って、ジュエリーを実際に着用したときの様子を見せることもできます。例えば、Aetherは、シンプルな白い背景とモデルを使ってダイヤモンドのジュエリーを宣伝しています。
スタイリングは、製品をどのように見せたいかによって決まります。正解はありません。まずはシンプルなスタイルから始めて、徐々にさまざまな要素を加えて試してみましょう。
4. ジュエリーを準備する
言うまでもありませんが、ジュエリーはよく磨かれた清潔な状態にしてください。デジタル一眼レフカメラと適切な照明を使えば、細部までくっきり映し出されます。最終的な画像は、ジュエリーの実際のサイズの数倍に拡大されることがよくあります。肉眼では見えない詳細が、撮影されると明らかになります。
磨いたら、背景紙の中央の平らな部分にジュエリーを置きます。あとで白いリフレクターを置くためのスペースを残しておきましょう。
撮影中は、触れるたびにジュエリーを拭きます。コットンの手袋を着用すると、撮り直しの手間や時間を節約できます。
5. カメラを設定する
小絞りでジュエリーの一部だけに焦点を当てたアート風の写真を撮らないでください。絞りを開いて全体に焦点をあてた、顧客が信頼できる鮮明な写真を撮りましょう。
顧客は全体の詳細を見たいと考えます。f/11以上の絞り設定を使用し、ISOはできるだけ低く設定してください。理想的にはISO 100です。
ホワイトバランスを正確に設定して、ねらい通りの色でジュエリーを撮影しましょう。手動で設定するか、カメラの自動モードを使用して写り具合を確認してください。
6. 写真を撮る
カメラを三脚に設置し、レンズが製品を少し見下ろすようにします。照明(撮影用アンブレラ付き)を製品の両脇に置いて上から斜めに照らすように配置し、同じ出力に設定します。このように設置することで、画面全体が均等な光で満たされ、製品に不自然な明るい部分ができません。
7. レタッチして仕上げる
写真を撮った後、オンラインストア用に画像を処理します。ポストプロダクション処理には、写真をプロフェッショナルに美しく仕上げることが含まれます。
最も簡単な方法は、プロの編集者に画像をレタッチしてもらうことです。ゼロから写真編集を学ぶ必要がある場合は、プロに頼んだ方が時間とお金を節約できます。
自分で行いたい場合は、無料のオンラインフォトエディターを選び、画像編集の基本を学びましょう。基本的な画像編集技術を覚えるだけでも、写真の見栄えを良くしてマーケティングや販売チャネルで使えるようにするために十分役立ちます。
スマートフォンで撮るジュエリー写真
ジュエリーの製品写真を撮るためにデジタル一眼レフカメラは必要ありません。最新のカメラ機能を搭載したスマートフォンを使って製品写真を撮ることができます。
スマートフォンでジュエリー写真を撮る際に留意すべき点は以下の通りです。
ミニ三脚を使用する
デジタル一眼レフカメラと同じように、スマートフォン用の三脚を使用してカメラを安定させ、一貫性のある写真を撮りましょう。
ポートレートモードを使ってみる
ポートレートモードを使用すると、ジュエリーの細部に焦点を合わせ、背景などを自動的にぼかすことができます。
背面レンズを使用する
ほとんどのスマートフォンの前面レンズ(自撮りレンズ)は、背面レンズよりも画素数が少なくなっています。
正しいホワイトバランスと露出を設定する
一部のスマートフォンでは、写真を撮る前にホワイトバランスと露出を設定できます。その機能がないスマートフォンの場合は、写真の編集段階で調整します。
カメラ設定をロックする
設定が決まったら、それをロックします。これにより、追加の写真を撮る際にカメラの設定が変わることを防ぎ、一貫性のあるジュエリー写真を撮影できます。
ジュエリー写真のコツ3選
新しいジュエリービジネスを始めたばかりの方も、すでに複数のストアを運営している方も、以下のジュエリー写真のヒントを心に留めておいてください。
1. 一貫性のある写真を撮る
ウェブサイトの製品写真は一貫性が重要です。一貫性のあるオンラインショッピング体験を生むために、同じ設定で撮影する必要があります。
ジュエリー写真のための写真スタイルガイドを作成し、撮影の際はそれに従ってください。一貫性はeコマースの写真にとって重要であり、製品ごとや写真ごとの雰囲気が変わると顧客が離れていきます。カメラの設定、照明、背景、機材の位置など、すべてを文書にしてマニュアルを作ってください。別の日に写真を撮っても目に見える変化がないようにしてください。
2. 異なる角度から写真を撮る
カテゴリーページで製品をクリックしたときに、製品ページに多くの画像があると満足度が上がります。さまざまな画像があれば、購入を考えている顧客が細部を見たり製品の特徴を知ったりすることができます。
製品、照明、カメラを準備したら、1枚や2枚の撮影だけで終わらないでください。ジュエリーのすべての側面を見せることで信頼を築きましょう。画像が多いほど販売につながるので、製品のさまざまな角度をできるだけ多く撮影してください。
3. 写真をレタッチする
下手なフォトショップ処理ほど、販売の邪魔になるものはありません。適切にレタッチされていない写真は不自然に見え、顧客の信頼を損ないます。製品写真を撮る際は、写真編集ソフトウェアを修得するするための時間を投資するか、プロを雇うことを検討してください。
一般的に必要な写真編集には、以下が含まれます。
- 色相と彩度を修正する
- 画像をシャープ化して細部をくっきり見せる
- ドロップシャドウを追加して白い背景に立体感を出す
- 意図しない照明やグレア、傷や埃などをレタッチする
- より現実的に見えるよう露出とホワイトバランスを調整する
レタッチに加えて、画像のトリミング、一貫性のある余白の設定、製品位置の調整のためのテンプレートを作成することも重要です。一貫性が鍵です。
画像を修正する時間やスキルがない場合は、ポストプロダクション会社に依頼することを検討してください。
避けるべき一般的な撮影ミス3選
多くのショップは、一般的なジュエリー写真のミスに陥ります。それらを知ることで、同じミスを避けることができます。
1. 反射が多すぎる
顧客には、反射に気を取られずにジュエリーを見てもらいたいものです。反射しているのがフォトグラファーの影なのか製品の欠陥なのか、顧客が疑問に思うかもしれません。
ジュエリーには宝石や金属が使われているため、製品写真において技術的な課題が生まれます。反射の多い物体を写すのは難しく、気を散らす反射が発生しやすいのです。金属のジュエリーには上からの照明を2つ使用する方法を試してみてください。
2. 背景に過度にクリエイティブになりすぎる
経験の浅い経営者は、白い背景は「退屈」や「ブランディングされていない」と考えることがあります。そしてカラフルでダイナミックな背景で差別化を図ろうとしますが、それは間違いです。
AmazonやeBayなど、多くのマーケットプレイスが白やニュートラルな背景を要求・推奨するのには理由があります。シンプルな白や薄いグレーの背景は、製品に焦点を当てるために役立ちます。
白い背景は安価で簡単に作成でき、写真の背景を編集するのも容易です。白い背景紙ロールを使用したり、ライトボックスを作成したり、さらには白い製品を白い背景で撮影したりもできます。背景にキズなどがあった場合は、無料の写真編集ソフトウェアを使用して、編集段階で微調整できます。
黒もジュエリー写真では人気ですが、一部のマーケットプレイスは黒い背景の画像を提出するのが難しい場合があります。自社のShopifyストアには適しているかもしれません。
3. 小道具が多すぎて気が散る
小道具が多すぎることは、前述の「焦点を絞る」原則において間違いです。小道具は必ずしも必要ではなく、気を散らす要素になります。
ほとんどの小道具は製品から注意をそらします。スタイリッシュな小道具、モデル、面白いロケーションを使用することが適切な場合もありますが、それらはブランディング用のエディトリアル写真にしましょう。雑誌の表紙やウェブサイトのメイン画像、メールのバナーには適していますが、製品ページには適していません。
ウェブサイトに関して言えば、ジュエリー写真は、一貫性があり、製品に焦点を当てたものにする必要があります。ほとんどの小道具は気を散らす要素を生み出します。
今すぐ美しいジュエリー写真を撮影
最高のオンラインジュエリーストアには共通点があります。それは、素晴らしい製品写真です。このチュートリアルに従うことで、販売を促進し、ブランドを構築する魅力的な画像を作成できます。ジュエリー写真撮影の経験を積むにつれて、撮影に要素を追加し、画像をクリエイティブにすることができるようになります。
高品質の写真に投資し、ジュエリーを正しく展示することで、すぐに販売と収益の向上を実感できるでしょう。
ジュエリー写真に関するFAQ
ジュエリーを撮影する最良の方法は何ですか?
ジュエリーを撮影する最良の方法は、ミラーレスカメラまたはデジタル一眼レフカメラを使用することです。カメラの揺れを避けるために三脚を使い、ジュエリーが一貫して均等に照らされていることを確認してください。カメラの絞りを正しく設定し、製品に焦点があっていることを確認してから撮影します。
自宅でジュエリーを撮影するにはどうすればよいですか?
- テーブルと背景紙ロールを設置する。
- 照明を配置する。
- ジュエリーをスタイリングする。
- ジュエリーを準備する。
- カメラを設定する。
- 写真を撮る。
- レタッチして仕上げる。
ジュエリー写真に最適な照明は何ですか?
ジュエリー写真には柔らかい照明が最適です。窓の近くで撮影するか、人工光を拡散させることで、最高品質の写真を撮ることができます。カメラのフラッシュは明るすぎてジュエリーに合わないので避けてください。
自然光でジュエリーを撮影するにはどうすればよいですか?
窓の近くにジュエリーを撮影するスペースを見つけてください。テーブルを窓に対して90度の角度で配置します。直射日光は厳しい影を生む可能性があります。ディフューザーを使って光を和らげることができます。ディフューザーがない場合は、半透明のシャワーカーテン、クッキングペーパー、薄いシートなどの一般的な家庭用品を使用できます。