「国産野菜の美味しい食べ方提案」をコンセプトに、レンジであたため簡単に食べられるレンジカップスープなど様々な商品を開発・販売している「野菜をMOTTO」。2023年9月にShopify Plusでサイトリニューアルを実施した経緯や、リニューアル後の成果、リニューアルしたからこそ分かるサイト移行のポイントを、株式会社モンマルシェの河野様と竹中様にインタビューしました。
<目次>
- 今強化すべきは「サービス力」と「改善スピード」 モンマルシェがShopify Plus移行を決めた理由
- Shopify Plus移行後はサブスク強化・eギフトなどの新施策に挑戦し、注文増へ
- サイト移行時、どこまで・どうやってデータを引き継ぐか?
- 今後の展望
1. 今強化すべきは「サービス力」と「改善スピード」 モンマルシェがShopify Plus移行を決めた理由
–––Shopify Plusへの移行を考え始めたきっかけは?
Shopify Plusに移行する前は、国内のASPカートを使って「野菜をMOTTO」のECサイトを運営していました。
そもそもの話にはなりますが、ECサイトが目指す究極系は「1to1」、つまりはお客様ひとりひとりが求めているものに応えられるようなサイトだと考えています。「野菜をMOTTO」のECサイトにおいても、 そうしたサービス力を強くしていかないと、今後もお客様に使い続けていただくことは叶わないだろうという課題感がありました。しかし、ASPカートだと新しい施策を実施したい際に追加でシステム開発が必要になるシーンが多く、なかなかスピード感も出せなかったのです。
さらに直近数年では、サブスク(定期購入)を強化していく社内の方針や、eギフト(ソーシャルギフト)の潮流もあり、これらを行うにも逐一開発工数がかかるというのがどんどん重みを増してきました。
Shopifyは施策実施のスピード感に強みのあるシステムですよね。Shopifyには基幹だけがあって、追加機能はShopifyアプリでアドオンしていくという仕組みになっており、これまで使っていたASPカートとはそもそもの思想が違うと感じました。
「サービス力を、スピード感をもって強化していく」という目的で考えた時に、アプリベースで新しい施策を試せるShopifyは今の「野菜をMOTTO」にフィットしていますし、「これから世の中的にSE(システムエンジニア)が減っていく中で、Shopifyのような界隈に優秀な人が集まってくるのでは?」という予想もあり、Shopifyへの移行を決めました。
–––移行にあたり、他カートとの比較検討などはどのように行いましたか?
厳密なカート比較はやってないですね。カート移行の目的は「スピード感を担保できる、拡張性の高いカートに変えたい」というものだったので、その他のポイントも含めて網羅的にカート比較をやっていくとなったら、それはもう時間がいくらあっても足りないと思うんです。
Shopifyに移行することは決定事項として、「Shopifyだと弱い・できないこと」をリストアップして、そのリストをもとにサイト移行の具体的な進め方を検討していきました。代引き決済を設定できないとか、複数配送先を指定できないとか……これまでASPカートでは当たり前だったものがなかったり、別途Shopifyアプリを導入する必要があったりという部分はありつつ、前向きに移行プロジェクトを完遂できたと評価しています。
2. Shopify Plus移行後はサブスク強化・eギフトなどの新施策に挑戦し、注文増へ
–––Shopify Plus移行後の成果について教えてください。
移行後のサイトが本格稼働してからはまだ2ヶ月弱というところですが、移行にあたって強化したかった「サブスク」と「eギフト」を中心に早速成果が出ています。アプリベースなのでノーコードで追加施策ができるのがやはり良いですね。
◆Shopify Plus移行後の成果
- アプリでの新規施策(eギフト・定期購入・LINE連携)
- サイトスピードの向上
サイト移行の期間は諸事情で広告費を削減していたのですが、それでも大きな売上の凹みもなく移行できたので、今後売上拡大に向けてスピーディーに打ち手を試していけるのを楽しみにしています。
–––まずは1点目の「アプリでの新規施策(eギフト・定期購入・LINE連携)」について、詳しく教えてください。
eギフトは移行前のサイトでは実施できておらず、Shopify Plus移行後に初めて実施した施策です。スタートして2ヶ月目(2024年1月)の実績で100件ご購入いただき、早速ニーズの高さを実感できています。
また、サブスク(定期購入)についても、これまでの注文数が月間20件ほどだったのに対し、Shopify Plus移行後には月間200件まで増加しました。もちろんインスタライブなどサブスクと絡めた施策も行った上での結果ではありますが、サブスク強化はShopify移行の大きな目的のひとつだったので、月間注文数を約10倍に伸ばせて良かったです。
LINE連携については、移行前のサイトでもLINEログインでの購入導線簡略化などは行っていたのですが、Shopify Plus移行後には「カゴ落ちリマインドをLINEで配信」など、行動データを元にしたタイムリーなメッセージ配信も手軽にスタートできました。カゴ落ちLINE経由のコンバージョン率は毎月20%〜30%くらい出ており、こういった施策をShopifyアプリで手軽に実施していけるのもShopifyならではの強みだと思います。
定期購入ユーザーには、LINEで決済確定前通知も配信している
数年前はまだ国産のShopifyアプリがあまりなかった印象ですが、今は国産アプリも増えて試しやすくなりましたね。アプリ自体の完成度が高いと、「こんなにすぐできるの!」と驚くくらいスピーディーに新しい施策を試せています。
–––2点目の「サイトスピードの向上」についてはいかがですか?
文字通りではありますが、Shopify Plusに移行して画像読み込み速度などのサイトスピードが格段に向上しました。ECサイトで買い物する上で、ページ送りでストレスが無いって重要だと思うんです。ポン・ポン・ポンとサイトを見て回れるかどうか。意外と疎かにされがちなポイントだと思うのですが、そのようなUI・UX面でもShopifyは強いですね。
「サイトの読み込みが遅いな」というのはサイト移行を考え始めたきっかけのひとつだったので、Shopify Plusへのサイト移行で課題が解決したことを喜ばしく思っています。
3. サイト移行時、どこまで・どうやってデータを引き継ぐか?
–––サイト移行に際して、どの事業者様も悩まれるポイントに「どこまで・どうやってデータを引き継ぐか」というものがあるかと思います。「野菜をMOTTO」では、どのように意思決定をされましたか?
やはりサイト移行となるとどうしても一度離脱は出てしまうので、移行前のサイトで既に購入いただいているお客様、特に定期購入いただいているお客様のデータをどう引き継ぐかというところが一番の問題でしたね。移行前のサイトでもソーシャルログイン機能は導入していたのですが、ソーシャルログインを利用されているお客様には「再登録の手間なく、そのまま新サイトにログインいただけるように」と考え、ソーシャルログインに関連するデータをそのまま引き継ぎました。ソーシャルログイン情報の引き継ぎにもアプリ( CRM PLUS on LINE )を活用しました。
実際、移行前のサイトでソーシャルログイン(LINEログイン)を利用されたお客様はかなりスムーズに移行できたと思います。移行後のサイトでの新規会員登録においても、2〜3割の方はソーシャルログイン(LINEログイン)を利用されている状況です。
野菜をMOTTO:会員登録ページ(下部)・ログインページでのソーシャルログイン活用
旧サイトから移行しなかったところでいうと、移行前サイトで利用していたCRMツール、購入履歴、一部の決済手段(代引き)です。
CRMツールは一応Shopifyにも繋ぎこみができるものだったのですが、顧客番号の突合ができなそう(旧サイトと新サイトで同一ユーザーの判定ができなそう)だったので、それであればまた一からCRM体制を作り直そうという判断をしました。メールまわりは「Shopifyメール」で十分でしたし、LINEまわりは「CRM PLUS on LINE」でやれていますし。
「代引き」については新サイトにも引継ごうとしていたのですが、決済手数料が取れないので諦めた形です。このように「ASPだと当然あったものがない!」ということはありましたが、やりながら地道に問題をクリアしていきました。
–––他にも「ASPカートからShopifyに移行してみてわかったこと」は何かありますか?
不具合が起きた時の相談窓口も、ASP型とはかなり文化が違うかなと感じます。ASP型だと何か不具合があったらそのカートの窓口に問い合わせればよいですが、Shopifyの場合はアプリ同士の兼ね合いで不具合が起きるケースもあり、どのアプリに問い合わせたらいいのかわからなかったり。モンマルシェには信頼できる相談窓口(パートナー)がいるので助かっています。
Shopifyまわりは変化が早く、一昨年はできなかったことが今はできるようになっているということも多いので、今はできないことでもShopify自体の機能拡充やShopifyアプリの拡充によってできるようになるのではないかと期待しています。
4. 今後の展望
–––最後に、「野菜をMOTTO」が次に注力していこうと考えているポイントについて教えてください。
サブスク(定期購入)まわりの施策をより強化していきたいと考えています。「野菜をMOTTO」のアプリとサブスクの連携をもっと良くして、メールからLINE、アプリと流れていくような形で、コアなファンユーザーがアプリにたどり着くようにしていきたいです。
また、今後は自社の商売におけるKPIの最適化と、それに即した現状把握(データ取得・分析)をどれだけスピーディーかつ柔軟にやっていけるかというのが大事になると考えています。こうした分析領域においては、グロースプラットフォームのStoreHeroを活用して、UIやLTVに関するモニタリングや分析を行いながら改善を進めているところです。LTV改善の施策の一貫で、ロイヤルティプログラムの導入も進めています。
今後もShopifyアプリやパートナーの力も借りながら、知恵を絞って動き続けていきます!
【関連リンク】
野菜をMOTTO 公式オンラインストア:https://yasaiwomotto.jp/
Shopify構築・コンサルティング「ストアヒーロー」:https://storehero.io/ja/
Shopifyアプリ「CRM PLUS on LINE」:https://crmplus.socialplus.jp/
Shopifyアプリ「All in gift」:https://huckleberry-inc.com/all-in-gift
Shopifyアプリ「定期購買」:https://huckleberry-inc.com/subscription-apps
Shopifyアプリ「Appify」:https://apps.shopify.com/appify?locale=ja