2020年は小売業界が10年分の進化を遂げた年となりました。この1年で、起業家がビジネスを始め、運営し、成長させる方法が恒久的に変わり、消費者の買い物の仕方や支払い方法も変化しました。今まさに、コマースの新時代が始まろうとしています。
2021年に突入するにあたり、私たちはShopifyのデータとマーチャントと買い物客のインサイトを分析し、コマース分野において未来に向けて急速に進化している主要な予測をご紹介します。
トレンドは個人事業者における急速な進化と成長を示しており、消費者は2020年に世界中のコミュニティにおける様々なストレスと挑戦の中で価値に基づいた購入の選択をしていることを見ることができます。
今回の記事では、日本の消費者に焦点を当てたいくつかの数字を紹介し、以下のリンク先のレポートからは「Future of Commerce」の完全版をご確認いただけます。こちらもあわせてご確認ください。
*なお本記事で紹介されている日本のいくつかのデータは、以下のレポートではご確認いただけませんのでご了承ください。
コマースの未来へようこそ。
1. パンデミックに起因するEコマースの成長トレンド:オムニチャネルは今後も続くとみられる
新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、消費行動はEコマースにシフトしました。若い消費者層が今後もこの動きを加速させるでしょう。ブランドは自社のオムニチャネル戦略を強化し、SNSの活用に投資し、ブランドの信頼性や持続性を証明しなければなりません。
若年層がEコマースの伸びを支え、ブランドによるビジネスの方法を変化させる。
新型コロナウイルスのパンデミックが宣言されて以来、日本の消費者の42%が年初と比較してオンラインでより頻繁に買い物するようになりました。
- 若年層(18〜34歳)がこの傾向を牽引し、この層の59%が年初と比較してオンラインでより頻繁に買い物するようになったと回答しました。この割合は他の層を引き離しています。(中年層の35~54歳では40%、高年層の55歳以上では34%)
74%の消費者が新型コロナウイルスのパンデミックが宣言されて以降オンラインで1回は買い物をしたと答えています。
- 2%の消費者が新型コロナウイルスのパンデミックが宣言されて以降にEコマースを使い始めたと回答しています。
他国との比較:日本のオンラインでより頻繁買い物するようになった割合(42%)は他国と比較するとそこまで高い数字ではありません。最も高い割合の国がイギリスとイタリアで63%となっています。
スピーディーな無料配送はオンライン購買体験の向上において重要である。
日本ではオンライン買い物体験における最も重要な要素として「無料配送」が60%で支持されています。続いて「配達日に関する明確な情報」が38%、「迅速な返品対応が33%」となっています。
- 高年層の消費者(66%)は若年層(49%)に比べて、「無料配送」がより良い購買体験を作ると答えています。
また、60%の消費者は「今の自分に最も大切なのはスピーディーな配送」という記述に同意しています。
- 若年層(78%)の消費者は、この選択肢に対して他の年齢層よりも多くの割合で同意しています。(中年層では59%、高年層では51%)
他国との比較:無料配送をオンライン買い物体験における最も重要な要素としてとらえる消費者はどの国でも多い傾向にありますが、日本の60%という数字はカナダ・アメリカ・スペインに次いで4番目に高い数字となっています。
2. マーケットプレイスの人気は根強いが、消費者は地域に根ざしたビジネスや個人経営のビジネスから購入したいと考えている
消費者は独立系のストアで買い物したいと考えていながら、結局利便性の高いマーケットプレイスで購入していると答えています。個人ブランドにとって、見つけられやすくすることと上記で紹介したように配送の充実が成功の鍵となります。
人々は地域のビジネスを支援したいと考えているが、実際に購入した割合は少ない。
54%の消費者が「地域のビジネスから購入することは経済を助けるためにできること」という記述に同意しており、39%の消費者が「支援するために地域に根差したビシネスを探している」という記述に同意しています。
- 若年層は中高年層に比べてより地域のビジネスから購入することが経済を助けるということに同意しており(61% vs. 50%)、また支援するために地域に根差したビシネスを探しているということにも同意しています(51% vs. 37%(中年層)、35%(高年層)) 。
しかし、28%の日本の消費者が新型コロナウイルスのパンデミックが宣言されて以降の6ヶ月間で地域の事業者から商品を購入したと回答しています。
- 若年層では26%が新型コロナウイルスのパンデミックが宣言されて以降の6ヶ月間で地元の事業者から商品を購入したと回答しています。
他国との比較:他国でも日本と同じような調査結果が出ており、例えばスペインでは77%の消費者が「地域のビジネスから購入することは経済を助けるためにできること」という記述に同意していますが、実際にパンデミック以降に購入した人の割合は35%でした
3. 実店舗の在り方が徐々に変化している
新型コロナウイルス感染症によってより高いリスクにあるのにも関わらず、76%の高年層の消費者は、パンデミック中でも実店舗での買い物をしました。
68%の消費者が新型コロナウイルスのパンデミックが宣言されて以降、実店舗で買い物をし、62%の消費者がこの先6ヶ月で実店舗の買い物を続けるだろうと回答しています。
- 高年層の消費者は新型コロナウイルス感染症のパンデミックが宣言されて以降、実店舗で買い物をした割合が若年層より高く(76% vs. 49%)、この先6ヶ月で実店舗の買い物を続けるだろうと答えた割合も若年層より高くなっています (70% vs. 45%) 。
49%の消費者が新型コロナウイルスのパンデミックが宣言されて以降の6ヶ月で、買い物が混雑する時間を避けたと答え、46%がこの先6ヶ月も同様に行動するだろうと回答しています。
他国との比較:パンデミック中に実店舗で買い物をした割合は、国によって異なる結果が出ました。ドイツでは日本と同様に多くの高齢者(80%)が実店舗で買い物をしましたが、インドでは52%に止まりました。
4. 社会への還元
約半数の日本の若年層の消費者はサステナブルやグリーン商品に対して買い物するときに好意的にとらえています。
26%の消費者が「サステナブルやグリーン商品に対して買い物するときに好意的にとらえる」という記述に同意しています。
- 特に若年層(18〜34歳)の消費者が同意する割合が高く(42%)、中年層(35〜54歳)は24%、高年層(55歳以上)は19%となっています。
26%の消費者が購入のたびに寄付を行う小売業に対し好反応を示しています。
- 特に若年層において好意的にとらえる傾向があり(42%)、中年層(22%)と高年層(21%)では同じような結果が出ています。
他国との比較:「サステナブルやグリーン商品に対して買い物するときに好意的にとらえる」という記述に同意した日本人は全体で26%でしたが、この数字は他国と比較すると大幅に少ない数字となっています。最も同意した国の消費者はイタリアで67%、続いてスペインで60%となっており、日本以外で最も低い割合であったニュージーランドでも40%は同意しています。
未来に向けて
2020年が何をもたらすかを私たちの誰も予測できなかったでしょう。予想外でしたが、パンデミックはすでに起こっていた購買習慣の変化を加速させ、これらの消費者動向が引き続き力を発揮しているという私たちの予測を強化しました。世界的大流行を乗り切ることができるビジネスは、時代の変化に順応し、購入者がいる場所でしっかりと対応することができるビジネスです。
なお今回のレポートの完全版をご覧になりたい方は以下のリンクからダウンロードしてください。
調査手法
- アンケートの回答者: 以下の11の市場に在住の計10,055人の消費者*(18歳以上)
- アジア太平洋(日本、インド、ニュージーランド、オーストラリア)
- ヨーロッパ(フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、イギリス)
- 北米(アメリカ、カナダ)
- 1つの市場につきn=1,000の最小値。ただし、オーストラリアは n=803、ニュージーランドは n=216。
- 各市場のデータは、調査国の消費者の動向が正しく反映されるように、国勢調査結果に基づき性別および年齢の構成が調整されている。
- 回答者は2020年9月9日から9月28日の間に回答。
- アンケートの質問は6カ国語に翻訳され実施された。
- 本レポート全編を通じて、「消費者」と「買い物客」は同じ意味で使われている。
- 「過去6カ月」と「新型コロナウイルスのパンデミックが宣言されて以来」は同じ意味で使われており、2020年3月中旬から9月中旬を指す。