Shopifyは、Shopify Sustainability Fundを通して、毎年最低500万ドルを環境保護のために投じます。
A letter from Shopify CEO Tobi Lütke
Shopifyが株式公開の準備をしていた2015年、わたしはF1ファイリングで次のような文言を含む書簡を書きました。
わたしはShopifyを、次世紀を視野に入れた会社にしたいと考えています。
よく考えると、重要なことが抜け落ちていたことに気づきます。これが望ましい目標となるためには、次世紀が到達価値のあるものでなければいけません。100年のビジョンを実現するために、わたしたちはeコマースに貢献するだけでなく、地球のより良い管理法を考えなければならないのです。
Shopifyは持続可能な会社を築くために、カーボンニュートラルなどの色々な措置を講じてきました。業界最高クラスの基準を設定して、当社が過去未来にわたって使用する二酸化炭素のオフセットを購入し、自社オペレーションの熱源や電源として再生可能なエネルギーを選択しています。
しかし、これだけでは十分ではありません。
十分ではない理由がこれです
化石燃料を発見したことで、人類の歴史は決定的に変わりました。過去200年の間、産業革命と近代化のあらゆる面において、我々はこの燃料を使用してきました。こうしたイノベーションの結果、わたしたちの地球は前例のないレベルの富と健康を謳歌してきたのです。人生を楽しむのに今ほどいい時代はなく、明日も同じことが言えるでしょう。
残念ながら、エネルギーの利用には結果がともないます。エネルギーを使用するすべての過程において、わたしたちは二酸化炭素を大気に放出し、少しずつ気候を変えてきました。
産業革命以前、空気中の二酸化炭素は平均で280ppmでした。しかし産業革命によって誕生したマーケットは大量のエネルギーを使用し、大気中の二酸化炭素量を劇的に増やしました。記録されるようになってから史上初めて、二酸化炭素レベルは400ppmを超えました。これはとても悪いことです。
わたしたちは知らず知らずのうちに、大気中のバランスを大きく損なうフィードバックループを強化していたのです。それは、海面水位の上昇、干ばつと洪水の増加、海洋酸性化など、わたしたちの生存を危険にさらす外的要因を引き起こしています。
わたしたちの多くは、こうした状況に対して何かしたいと思い、カーボンオフセットを購入します。これは、太陽光発電や植林といったイメージを惹起すると思われますが、実際はまったく違うこともあります。カーボンオフセットはわかりにくく、誤解を招きやすいものです。とくに汚い工場の煙突にフィルターをかける場合もありますが、こうした工場は始めから稼働させるべきではありません。カーボンオフセットの最大の買い手は、罪悪感を払拭したい最大の汚染事業者だったりもするのです。中世の免罪符の現代版といったところでしょうか。
また、カーボンオフセットが、大気中の二酸化炭素を減らすことはほとんどありません。良くても、排出を遅らせるくらいです。最悪の場合、非効率なプロジェクトに投資していることになります。仮に将来的な排出量を相殺できたとしても、現在の大気中の二酸化炭素はすでに多すぎる状態なのです。オフセットはやらないよりいいですが、十分とはいえません。
わたしたちは集団的にこの問題への対応を先延ばしにしてきたため、現在、問題への唯一の解決策は二酸化炭素を大気中から削減することであり、今後の排出を抑制するだけでは足りません。つまり、わたしたちは直接大気中の二酸化炭素を隔離することに尽力するべきなのです。これは、二酸化炭素の分子を大気から取り出し、炭素を分解して二度と大気に二酸化炭素を放出しないブロックに(または価値のある商品に!)変換させることを指します。
この方法は、気候変動に対する最良の長期的アプローチです。排出から独立して機能し、遡及的に問題を緩和することができます。しかし、隔離は現状ではとても高くつきます。1トンのカーボンオフセットは5ドルで実現可能ですが、同量の「直接空気隔離」は1,000ドル以上のコストになります。そのため、多くの人はそれを実行できず、またはそれについて知ってもいないので、隔離の需要はほかの相殺方法よりもはるかに低くなっているのです。
Shopifyが役に立てる場所はここにあると思います
抽象的な方法で、Shopifyはエンジニアリングのスキルを使ってマーケットの力を生み出してきました。そのスキルによって、起業家になる方法がより安く簡単になり、その結果、多くの起業家がオンラインストアを始めるようになりました。起業家のためのシンプルなツールの供給を改善したことで、今までにあった摩擦を減少し、需要を大幅に増やすこととなったのです。
気候変動の問題を解決したいと思ったら、わたしたちは集団的に同じことを炭素隔離に対しておこなう必要があります。摩擦を減少させ(この場合は価格です)、需要を拡大します。産業史を総体的に見ると、需要がより効率的な供給を生むというケースが繰り返されていることをわたしたちは確認できます。ここ数十年における、コンピューター/携帯電話/インターネットの驚異的な価格低下を考えてみてください。リチウムイオン充電池は10年前と比べて85%安くなっていますが、これは電気自動車、グリッドストレージ、その他の電子機器からの需要によるものです。
真剣で長期的視野にもとづく持続的な炭素隔離への需要があると、わたしたちが好きなテクノロジーの価格を下げてきたのと同じように、効率的な製造技術にエンジニアは投資することができます。Carbon EngineeringやClimeworksのような素晴らしい会社はすでに科学技術に取り組み、解決策の試作をおこなっていて、さらなるイノベーターが参与する余地も残っています。わたしたちのパートナーであるGoogleやStripeのように、この領域に投資する会社も、まだ増やすことができるはずです。
そこで、価格を下げるために需要を拡大する必要があり、しかし需要拡大にはもっと価格が下がる必要があります。このパズルをどう解いたらいいのでしょうか? その答えは、意図的に炭素隔離に過剰支出をおこない、需要のスピードアップを図ることです。
この業界には、化石燃料のときのように、イノベーションを促進させる可能性があります。しかし今回は外的に汚染をもたらすわけではありません。まったく逆です。地球を救うためのイノベーションです。
わたしたちは、Shopify Sustainability Fundをスタートします
Shopifyは、毎年最低500万ドル(USD)を環境保護のために役立てます。
Shopify Sustainability Fundは、炭素隔離を含むすべての環境保護投資の拠点となります。わたしたちの意図は、収益の成長をベースとした毎年の財政的な取り組みを増加させることです。
このファンドは賢明にすべての1ドルに至るまで、有望で影響力のあるテクノロジーや、グローバルな気候変動と戦っているプロジェクトに投資します。たとえそれが、払い過ぎになるとしても。
ファンドは次のことから始まります。
- 毎年100万ドル分の隔離炭素を任意価格で購入: Shopifyは毎年少なくとも100万ドルを炭素隔離に対して投資します。わたしたちの目標は、このマーケットの需要と予測可能性を大きく引き上げることです。それにより産業技術が拡大し、価格が下落することを意図しています。
- カーボンニュートラルなオペレーション: わたしたちは、カナダにおける自分たちのカーボンフットプリントを相殺するのに十分な再生可能エネルギーを購入しています。また2020年には、グローバルなオペレーションの100%に再生可能エネルギーを供給する計画となっています。旅行関連の排出も相殺するつもりです。
- カーボンニュートラルなプラットフォーム: すべてのShopifyは、再生可能エネルギーで稼働するデータセンターの上で運営されています。
- サステイナブル(持続可能な)オフィス: わたしたちはLEED認証のオフィスを求めていて、オフィス面積の大半はLEEDゴールドまたはプラチナに該当します。通行性と歩行性のスコアが高いエリアで、できるだけ地元の素材を使っている建物を選んでいます。またマイナーでありながらローカルでは影響力のあること、たとえばすべてのオフィスに自転車ラックとストレージを用意することなどにも取り組んでいます。
わたしたちは、Shopifyを使用している事業者とその消費者も、これらの取り組みに参加できるようにします。
- 環境に配慮した輸送: 持続可能性は、今後もShopify フルフィルメントネットワークの中心的な原則であり、サステイナブルなパッケージングに注力します。
- 事業者が参加できる: わたしたちは、事業者がストアにアプリをインストールすることで、配送を通じてカーボンニュートラルや二酸化炭素の排出をマイナスにできるような機能を提供することを計画しています。
- 消費者が参加できる: 自宅に届くパッケージがもたらす影響が気になる人は、ShopifyのArriveアプリをダウンロードできます。わたしたちは、アプリで追跡することで配送における二酸化炭素を自動的にオフセットできるようにファンドを活用する計画です。
ぜひみなさんも参加してください
ビジネスは、変化を促すための強力な手段となります。価値ある大義を押し進めるために需要と供給というマーケットの力を使うことは、進歩に向け強い効果をもたらす秘訣の1つといえます。わたしたちはこの考え方を、気候変動のような世界最大の問題にも適用できるのです。もし興味があるようでしたら、Shopifyの環境へのスタンスをご覧ください。
意識的な選択をおこなう個人と企業が世界を変えます。あなたのお金を炭素隔離のような新しいマーケットに投じ、わたしたちと一緒に地球を守りましょう。
- tobi
CEO Shopify