成功するブランドは、直接的な競争に直面しても差別化を図っています。「マクドナルド」と「バーガーキング」、「ダンキンドーナツ」と「クリスピー・クリーム・ドーナツ」、「アップル」と「マイクロソフト」を思い浮かべてみてください。例え本質的に同じ商品を販売しているとしても、一方を他方と間違えることはほとんどありません。各ブランドに明確なアイデンティティがあり、それが消費者と繋がって永続的な印象を与えているからです。今回は、強力なブランドアイデンティティを構成する要素を詳しく見ていきます。
ブランドアイデンティティとは?
ブランドアイデンティティは、企業が使用する特定のデザインとメッセージを指し、ロゴや配色、タイポグラフィ、声や伝え方が含まれます。物理的な商品を販売している場合には、ブランドアイデンティティにはパッケージのデザインや使用する素材などの具体的な要素も含まれます。
自分自身のアイデンティティを考えてみましょう。それは自分自身を構成するものです。これと同様に、ブランドアイデンティティは特定の企業を特徴づけて、他の企業と区別する一連の特性です。
ブランドアイデンティティは、ブランディングプロセスを通じて決定されます。ブランディングプロセスとは、ブランドアイデンティティを定義し、継続的に洗練させるための作業です。これには色や種類、声など、ブランドアイデンティティに含まれるあらゆる要素を慎重に選択することが求められます。
ブランドアイデンティティは、ブランドと同義なのでしょうか?正確にはそうではありません。ブランドは、会社、商品、サービスが世界にどのように認識されるのかを指します。これはアイデンティティや会社の紹介方法に影響を受けますが、最終的には顧客の認識がブランドを定義します。
ブランドアイデンティティの6つの要素
ブランドのアイデンティティは多くの要素で構成されています。視覚的要素はブランドアイデンティティを考える際に最も重要なものですが、伝え方や価値観などの側面も同様に重要です。
1. ロゴ
しっかりと作り込まれたロゴは数十年にわたり存在し、言語や文化の壁を超えることができます。「NIKE」という言葉を見なくても、「スウッシュ」マークのある靴を作るブランドのことを思い出すことができます。ロゴは基本的にブランドの短縮形であり、そのためロゴデザインには多くの労力が掛かります。
ロゴは「ピクトリアルマーク(ロゴシンボル)」または「ワードマーク(ワードロゴ)」であることが多く、どちらにもそれぞれメリットとデメリットがあります。また、シンボルと会社名のタイポグラフィ(文字のデザイン)の両方を組み合わせたロゴを開発することもできます。
2. 配色
色はブランドの重要な要素であり、競合他社と瞬時に視覚的に区別させることができます。また、色彩心理学によって顧客の認識や意思決定にも影響を与えることがあります。例えば、赤やピンクは「愛」、黄色やオレンジは「喜び」と関連付けられることがあります。
ブランドの色使いで何を伝えたいのかを考えてみましょう。選択肢した色によって競争するのではなく、調和を目指しましょう。
3. タイポグラフィ
ブランドのタイポグラフィは、書体やフォントの選択、およびそれらの使用方法を規定するガイドラインです。ほとんどのブランドは2つの書体を選びます。2つ以上の書体を使用すると、デザインが乱雑になったり混乱したりする可能性があります。無料で使用できる書体もあれば、ライセンスが必要な書体もあります。デザイナーにカスタムフォントを作成してもらうことも可能です。
4. 声、伝え方
声や伝え方(口調)とは、ブランドの個性や態度を文章で表現する方法です。ビジュアルがブランドを”見せるもの”であるとすると、声や口調はブランドを”感じさせるもの”です。例えば、お尻のことを「尻」と言うことは多くの企業や人々が避ける言い回しですが、「お尻」というとかわいらしさがあり、「赤ちゃんの紙オムツ」など率先して使われるテーマもあるでしょう。
5. パッケージ(包装)
物理的な商品を製造している場合、特にそれを顧客に発送する場合、商品のパッケージもブランドアイデンティティの一部です。パッケージはブランドのロゴでデザインされ、可能な限りブランドの色と書体を使用し、視覚的にアイデンティティと一致させる必要があります。パッケージに記載されている内容はブランドの声を反映させなくてはなりません。梱包材さえもブランディングの機会として活用することができます。
例えば、「Zero Waste Cartel」は持続可能な清掃用品や、バス、美容、キッチン製品を販売していますが、同社はパッケージにプラスチックを使用せず、生分解性または再利用可能な素材を使用し、また、歯ブラシなどの特定の商品は顧客にまとめ買いさせるようにしています。これらの選択は、持続可能性へのコミットメントを反映しており、ターゲット顧客の価値観と一致しています。
6. イメージ図
ブランドのイメージ図には写真や図、イラストが含まれます。ウェブサイトの背景画像や商品画像がブランドにどのように影響を与えるのかを考えてみましょう。例えば、リボンや麻、紙のオンラインブティックである「Silk & Willow」は、植物をテーマにした多くの画像を使用してこれを実現しています。画像は同社の商品を美しく表現しており、「自然からインスピレーションを得た」というキャッチフレーズを反映しています。
強力なブランドアイデンティティを構築する6ステップ
1. 何を代表するのかを定義する
ゼロから始める場合、まずは会社のミッション、ビジョン、価値観、ターゲット市場に焦点を当てましょう。これらはブランドアイデンティティを構築する際の指針として活用できます。
2. 名前を選択する
まだビジネス名が決まっていない場合は、アイデアを出すためにShopifyの「AIビジネス名ジェネレーター」を利用することができます。
3. ブランディングプロセスに着手する
ブランド戦略を策定するには時間と深い思考が必要です。ブランドアイデンティティのあらゆる要素について意識的な決定を下すこととなります。
4. オーディエンスと状況分析をする
成功するためには、ブランドがターゲットオーディエンスと繋がる必要があります。開発中のブランドを信頼できる協力者やターゲット市場の人々で構成されるフォーカスグループに見せて、ブランドが彼らの共感を呼ぶものであるかを確認しましょう。
5. ブランドアセットを作成する
ブランドアイデンティティを構築してブランドアセットを作成する際は、Shopifyの無料のロゴ、スローガン、名刺作成などのツールが役に立ちます。また、配色を検討するための「Coolors」や、フォントの組み合わせを見つけるための「Fontpair」など、他の無料ツールもあります。
6. ブランドのガイドラインを文書化する
ブランドアイデンティティの要素を構築したら、スタイルガイドや会社を一般の人々にどのように紹介するかについてのブランドガイドラインを作成することができるようになります。これらは通常、単一の文書または基準セットにまとめられ、従業員が意思決定を行う際に参照することができます。
ブランドアイデンティティに関するよくある質問
ブランドアイデンティティは、競合他社からビジネスを差別化するのにどのように役立ちますか?
ブランドアイデンティティは、ブランドのユニークな見た目や雰囲気を決定します。例えば、まずAppleのブランドイメージを思い浮かべてください。次に、スマートフォンやPCの他のブランドを思い浮かべてみましょう。Appleに対する印象は、同様の製品を作っている競合他社とは大きく異なるのではないでしょうか。
ブランドアイデンティティは時が経つにつれてアップデートや変更はできますか?
ブランドアイデンティティは静的なものではなく、時間の経過とともに進化するものです。多くの組織は成長してターゲット市場が変化したり拡大したりするにつれてリブランディング(ブランドの調整や変更)を行います。ビジネスに合わせてスケールできるブランドアイデンティティから始めると、頻繁にリブランディングする必要を回避することができます。
ブランドアイデンティティは、顧客ロイヤルティや信頼にどのような影響を与えますか?
ブランドアイデンティティは、顧客にとって一貫した記憶に残る体験を提供するのに役立ちます。優れた商品と顧客サービスがあれば、購入者はブランドを信頼し始め、リピート購入を行い、会社を勧めてくれたりインターネットで好意的なレビューを投稿してくれたりする可能性があります。
ブランドアイデンティティを構築する際によくある避けるべきことはありますか?
プロセスを急いで進めないようにすることです。一貫性のない画像やメッセージを避けましょう。また、ブランドが何を表現したいのかを徹底的に考え、それを反映したブランドアイデンティティを作成しましょう。消費者を混乱させたり、ブランドの声を曖昧にしたりしないように、ブランドガイドラインを使用して実行するようにしましょう。