顧客を理解することは成功する上で非常に重要です。好みやニーズを推測するのではなく、顧客の心に響くメッセージやオファーを展開できるようになるからです。
さらに一歩進めて、顧客を共通の特性に基づいてグループに分けることで、各グループをより深く理解することができるようになり、セグメント固有のニーズに応じたターゲットキャンペーンを構築することが可能となります。
では、顧客セグメンテーションとは具体的に何を指し、どうやって行うのでしょうか?さっそくご紹介します。
顧客セグメンテーションとは?
顧客セグメンテーションとは、企業が顧客を共通の特性に基づいてグループに分けるプロセスのことです。これにより、各グループに対して効果的かつ最適なマーケティングを行うことができます。
B2Bマーケティングでは、企業は顧客(会社)を次のような多様な要因に基づいてセグメント化することがあります。
- 業界
- 従業員数
- 過去に購入した商品
- 所在地
B2Cマーケティングでは、企業は通常、次のようなデモグラフィックに基づいて顧客(個人)をセグメント化します。
- 年齢
- 性別
- 配偶者の有無
- 居住地域(都市部、郊外、地方)
- ライフステージ(就職、独身、結婚、子育て、退職など)
顧客をセグメント化する理由
顧客セグメンテーションは、マーケターがさまざまなオーディエンスのサブセットに合わせてマーケティング活動を最適化することを可能にします。例えば、コミュニケーションや商品開発に関連した活動などがあり、顧客セグメンテーションによって企業は次のようなメリットが得られます。
- 特定の顧客グループに響くターゲットマーケティングのメッセージを作成し、グループごとにメッセージを送る
- セグメントに合ったコミュニケーションチャネルを選択する(メール、ソーシャルメディアの投稿、ラジオ広告など)
- 商品の改善、新製品や新サービスの機会を特定する
- 顧客関係を強化する
- 価格設定のオプションをテストする
- 最も利益をもたらす顧客に注力する
- 顧客サービスを向上させる
- アップセル(アップグレードの提案)やクロスセル(抱き合わせ販売)を行う
顧客をセグメント化する方法
顧客セグメンテーションには、企業が顧客に関する特定のデータを収集して分析し、グループを作成する必要があります。
顧客データは、購入情報(役職、地域、購入した商品など)から収集することができます。また、顧客がどのようにシステムに入ってきたのか、という流入元となるソースからも情報が得られることがあります。
例えば、オプトイン(同意)したユーザーのメーリングリストを使用しているオンラインマーケターなら、顧客を引きつけたオプトインオファーに基づいてマーケティングメッセージをセグメント化することができるでしょう。しかし、年齢や配偶者の有無といった消費者デモグラフィックに関する情報は、他の方法で取得する必要があります。
一般的な情報収集方法には次のことが挙げられます。
- 対面または電話インタビュー
- 調査
- 市場カテゴリーに関する公開情報を使用した一般的なリサーチ
- フォーカスグループ
- ロイヤルティプログラムのデータ
- オンラインストアの登録フォーム
- 対面での会話
- 顧客レビュー
- POSデータ
- カスタマーサポートとのやり取り
- 購入履歴
- オンライン分析
Shopifyのセグメンテーションツールを使用すれば、オンラインストアのトラフィックから直接データを収集することができます。個々のセグメントを作成して、パーソナライズされたキャンペーンを通じて顧客にアプローチすることで、強力なインサイトを得ることができます。
Shopifyには、デフォルトで顧客セグメントやテンプレートも含まれており、顧客セグメンテーションを始めるのをサポートします。ビジネスの進化に合わせ、顧客セグメンテーションを洗練させたり調整したり、削除したりすることも可能です。「顧客管理」ページのエディタで絞り込み名や、演算子、値を追加して顧客セグメントを構築しましょう。
顧客セグメントの活用
顧客セグメントでの共通する特徴は、企業が各セグメントに対してどのようにマーケティングを行うか、またどの商品やサービスをプロモーションするか、といったことを導くことができます。
例えば、手作りのギターを販売する小規模ビジネスなら、セグメントから得た知識に基づいて、若いギタリストには低価格帯の商品を、年配のミュージシャンには高価格帯のプレミアムギターをプロモーションすることを決定するかもしれません。同様に、フードデリバリーサービスなら、ミレニアル世代向けには便利さを強調して、団塊の世代向けには「家庭の味」の良さをアピールすることができます。
セグメントを特定したら、共通の特徴をリストアップし、ペインポイント(お金を払ってでも解決したい悩みや課題)や欲求に目を向けます。セグメント化したマーケティング戦略やプロモーションを展開する際は、このような共通点を重視しましょう。すべてのプロモーションをあらゆる顧客に提供する必要はなく、興味を持つ顧客にのみプロモーションを送信します。例えば、犬を飼っていない顧客にドッグフードの割引を送っても売上には繋がりません。そのため、犬を飼っている顧客のセグメントを作成し、ドッグフードに関するプロモーションはそのセグメントにのみ送信すればよい、ということです。
顧客セグメンテーション戦略の主な狙いは、すべてのプロモーションをすべての人に送信する必要がないということです。代わりに、関連するオーディエンスにターゲットを絞ってプロモーションを送信します。
さらに、顧客を複数のセグメントに分けることもできます。すべての顧客を単一のグループに押し込む必要はありません。例えば、犬を飼っている顧客セグメントに属する人々が、犬の両親に関するセグメントにも属することもあり得ます。
顧客セグメンテーションのモデルは、規模や業界を問わず、すべてのビジネスに適用できます。オンライン販売、対面販売、または販売するかどうかに関らず、データを収集して分析し、収集した情報に基づいて適切かつ効果的にアクションを起こすことが重要です。
詳細はShopifyのセグメンテーションを活用した「オーディエンスを把握して売上につなげる」をご覧ください。
顧客セグメンテーションの例
顧客セグメンテーションを構築するには、次のような例があります。
1. デモグラフィックセグメンテーション
デモグラフィック(社会的属性)による顧客セグメンテーションは、顧客の生活に関する事実に基づいて顧客をグループ化することなどを言います。これには次のような要素があります。
- 性別
- 年齢
- 職業
- 世帯収入
- 配偶者の有無
例えば、書店を運営している場合、「親」というセグメントを作成して「子供向けの本」を宣伝することができます。また、年齢に基づいたセグメントを作成すれば、各グループに適切な本を宣伝することもできるでしょう。
キャンドルブランドである「Otherland」なら、90年代に生まれたミレニアル世代のセグメントを作成し、そのセグメントに対して90年代をテーマにした商品のラインナップをプロモーションすることができます。
2. 地理的セグメンテーション
地理的な顧客セグメンテーションは、顧客を居住地や地域によって分けることなどを言います。これには次のような要素があります。
- 居住地域
- 使用する言語
- 文化的要素
例えば、フロリダにいる顧客には年間を通じて水着を販売する一方で、ニューヨークの顧客には寒い季節に冬用のコートを宣伝する方が適切かもしれません。顧客を居住地域でセグメント化すれば、グローバルに販売している場合なら各セグメントが使用する言語でメッセージを届けたり、居住地域に基づいたポップカルチャーの要素を含めたりすることもできるしょう。
「Allbirds」はオーディエンスごとに異なるメッセージを提供しています。例えば、イギリスの顧客には夏にぴったりの軽量素材の靴を強調させています。
他方で、オーストラリアの顧客には南半球の冬にぴったりのコージーなメリノウール・ラインを強調して紹介しています。
3. 行動セグメンテーション
行動に基づく顧客セグメンテーションは、オンラインでの行動に基づいてオーディエンスをグループ化することなどを指します。特に、過去の購入履歴、購入頻度、最も興味を示した商品に注目します。
顧客は次の基準でグループ化します。
- 購入行動
- 使用パターン
- 顧客ロイヤルティ
例えば、ヘアケアブランドなら、シャンプーのみを購入した顧客をセグメント化し、そのセグメント向けにコンディショナーのプロモーションを作成することが考えられるでしょう。また、毎月同じ商品を購入する顧客をグループ化すれば、その購入パターンが継続して見られる場合には限定オファーを提供することもできます。
アクセサリーブランドである「Caraa」は、ロイヤルティに対する感謝の気持ちを込めて、VIP顧客には限定割引やオファーを送信しています。
4. サイコグラフィックセグメンテーション
サイコグラフィックによる顧客セグメンテーションは、顧客の性格、価値観、ライフスタイル、興味などに基づいてグループ分けすることを指します。顧客をセグメント化する要素は次の通りです。
- 興味、趣味
- ライフスタイル、価値観
- 性格、特徴
- 社会的地位
過去の商品購入履歴、調査への回答、購買行動を活用して、顧客がどのような生活を送り、何を楽しみとし、何を最も重視しているのかを特定します。例えば、ウェルビーイングのためのサプリメントブランドを運営しているなら、「週末にハイキングを楽しむ顧客」と「仕事前にジムに行くことを好む顧客」といったセグメントを作成することができるでしょう。
観葉植物ブランドの「The Sill」は、顧客の興味やライフスタイルに基づいたサブスクリプションを作成しました。例えば、ペットがいる人のためのペットフレンドリーなサブスクリプション、忙しい生活を送る人のための簡単なお手入れに関するサブスクリプションなどのオプションを用意しました。
5. テクノグラフィックセグメンテーション
テクノグラフィックによる顧客セグメンテーションは、顧客が使用するテクノロジーやアプリ、インターネットでのブランド検索方法、どのチャネルやデバイスでブランドと関わるか、などに基づいて顧客をグループ化することを指します。
これには次のような要素があります。
- オンラインでの行動
- テクノロジーの使用
- 好まれるデバイス
例えば、SMS(ショートメッセージ)の受信を好む顧客に対しては、新商品が登場した際はSMSを送信することが検討できます。他にも、InstagramやTikTokを通じてブランドを見つけた顧客なら、カスタマイズしたメッセージを送信することもできるのです。
今すぐ顧客をセグメント化しましょう
顧客セグメンテーションは、パーソナライズ戦略を開始してターゲットオーディエンスに直接関連するプロモーションやキャンペーンを展開するための非常に優れた方法です。Shopifyのネイティブ機能である顧客セグメンテーションツールを使えば、これまで以上に簡単に行えます。
このようなツールを使用すると、データをより深く理解し、ビジネスを運営に使用しているのと同じ安全なプラットフォームから、データに基づいて、無料でアクションを起こすことができます。Shopifyの顧客セグメンテーションツールを使って無限の可能性を探求しましょう。
顧客セグメンテーションに関するQ&A
顧客セグメンテーションとは何ですか?
顧客セグメンテーションとは、顧客層を共通の特徴を持つ個別のグループに分けるプロセスのことを指します。これにより、特定の顧客グループをターゲットにして、カスタマイズされた商品やサービス、マーケティング戦略が展開しやすくなります。顧客を異なるグループに分けることで、企業は個々のグループのニーズ、好み、購買パターンをより深く理解することができるため、よりパーソナライズされた効果的なマーケティングキャンペーンを作成することができるようになります。
顧客セグメンテーションの4つのタイプとは何ですか?
顧客セグメンテーションの例はありますか?
顧客セグメンテーションは、共通の特徴を持つ顧客を異なるグループに分けるアプローチです。顧客セグメンテーションの例には、地理的セグメンテーション(地域によって顧客をグループ化)、デモグラフィックセグメンテーション(年齢、性別、配偶者の有無などで顧客をグループ化)、行動セグメンテーション(購買行動、使用パターン、ロイヤルティなどで顧客をグループ化)、サイコグラフィックセグメンテーション(性格、価値観、ライフスタイルなどで顧客をグループ化)が挙げられます。