EC事業を立ち上げるときに必要になるのがドメインです。実店舗の立地と同様に、オンラインでの住所の役割を果たすドメインはネットショップの信頼性や集客を左右します。しかし、ドメインの意味、URLとの違いやメールアドレスとの関係など、はっきりとわからない人も多いのではないでしょうか。
この記事では、ドメインとは何か、ドメインのしくみや種類など、ドメインを決めるときに知っておくべきことを初心者にもわかりやすく解説します。
ドメインとは?
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ドメインとは、ユーザーが覚えやすい形でウェブサイトがどこにあるかを示すインターネット上の住所のことです。
ドメインは、実際のアドレス(IPアドレス)が「000.00.00.00」のような数字列であるのに対し、文字列などで構成されているため、より人に覚えやすい形でウェブサイトの位置を表示するという役割を果たしています。
ドメインは、ウェブサイトの場合はURL内にある「http://」や「www.」以降、Eメールアドレスの場合は@マーク以降に表示されています。
ドメイン名には、ブランド名がそのまま使用される場合もあります。例えばShopifyマーチャントのCOHINA(コヒナ)は、「cohina.net」をドメイン名として使っています。
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なお、希望していたドメイン名がすでに使用されていたり、取得に費用がかかりすぎたりする場合には、ブランド名を使ったドメイン名に単語を追加することもあります。例えば水着ブランドのViera(ビエラ)は、ドメイン名に「swim」という単語を追加した「vieraswim.com」というURLを使用しています。
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ドメインのしくみ
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インターネットに接続されたサーバーやコンピューターには、IPアドレスと呼ばれる識別番号が割り振られています。しかし、数字の羅列であるIPアドレスはわかりにくく、目的のサーバーにアクセスするのに使いにくいという問題があります。
そこで、IPアドレスと紐づけて、簡単にIPアドレスを調べられるようにしたのがドメインです。このドメインをもとにIPアドレスを調べる役割をもつサーバーをDNSサーバー(ドメインネームサーバー)と呼びます。
例えば、「http://www.example.com」のウェブサイトへアクセスしたいユーザーがデバイスにURLを入力すると、数種類のDNSサーバーを経由して「www.example.com」のIPアドレスが調べられます。「example.com」と紐づいたIPアドレスが見つかったら、DNSサーバーからデバイスに返信され、これによってユーザーはウェブサイト「http://www.example.com」へアクセスできるようになります。
なお、ドメインはひとつひとつ異なるため、似たようなドメインでもふたつのウェブサイトやメールアドレスがドメインを共有することはありません。例えば、「http://website.com」と「http://website.org」では、末尾が違うため、まったく別の住所として認識されます。
DNSサーバーとホスティングプロバイダー
ドメインを機能させるためには、DNSサーバーとホスティングプロバイダーが必要不可欠です。
DNSサーバーはドメイン名をIPアドレスに変換する役割があり、ホスティングプロバイダーは、ホームぺージやメールアドレスなどの運用に必要となるサーバーを構築したり貸し出したりする役割があります。ホスティングプロバイダーは数多く存在しますが、提供するサービスは同じではありません。レンタルサーバーも兼ねているものや、独自ドメインを登録できるものもあります。
ドメインの構造
「http://www.website.co.jp」を例にURLを分解すると、ドメインの構造は次のようになります。
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http:// → プロトコル・スキーム(ドメインの一部ではない)
www → ホスト名
website.co.jp → ドメインまたはルートドメイン
website → サードレベルドメイン(独自ドメインで任意の文字列を入れられる場所)
.co → セカンドレベルドメイン
.jp → トップレベルドメイン
ドメインのなかには「shop.website.com」や「blog.website.com」のようにドメイン名の前にピリオドで区切られた任意の文字が入っているものもあります。この「blog」や「shop」などの文字列は、サブドメインとして機能します。
サブドメインは、メインのドメイン名をもとに別のアドレスを作るために使われます。同じドメイン名でも、サブドメインを変えることで複数の独立したウェブサイトを作ることが可能になります。
ドメインの種類
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最新のデータによれば、世界で登録されているドメインネームは3億5000万近くにのぼり、その数は企業や個人がドメインを登録する度に増え続けています。
ドメインには階層があります。階層ごとに、主なドメインの種類を紹介していきます。
トップレベルドメイン(TLD)
トップレベルドメインとは、ドメインのなかでも「.」で区切られた一番右の部分です。「www.example.com」というドメインを例にみると、「.com」がトップレベルドメインです。
gLTD(generic TLD)
ジェネリックトップレベルドメインと呼ばれるこのドメインは、用途・分野別に分けられた最もよく見られるドメインです。
- .comー商用サービスを表すドメイン
- .netーネットワークを意味するドメイン
- .orgー非営利組織であることを表すドメイン
- .infoー情報提供サービスであることを表すドメイン
- .bizービジネス・商用利用であることを表すドメイン
新gLTD
gTLDドメインのなかでも、2012年以降に登場した種類です。
- .shopーECサイトなど商売に関連することを表すドメイン
- .tokyoー東京都に関連することを示すドメイン
- .siteーウェブサイトであることを示すドメイン
- .blogーブログであることを示すドメイン
- .cloudークラウドサービスであることを表すドメイン
sTLD(sponsored TLD)
スポンサードトップレベルドメインと呼ばれるこのドメインは、特定の目的や組織のために使用されるドメインです。
- .eduー教育機関として認定された機関や組織が使用するドメイン
- .govー政府機関や団体が使用するドメイン
ccTLD(country code TLD)
国別コードトップレベルドメインと呼ばれるこのドメインは、2文字の国コードで表されるドメインで、その国に住んでいるユーザーでなければ取得できないものがほとんどです。
- .jpー日本で使われるドメイン
- .usーアメリカ合衆国で使われるドメイン
- .ukーイギリスで使われるドメイン
- .frーフランスで使われるドメイン
- .krー大韓民国で使われるドメイン
複数のccTLDを使用している企業も多く存在します。例えば、EC大手のAmazonは「amazon.com」以外に、「amazon.co.jp」や「amazon.au(オーストラリア)」などccTLDを使用してそれぞれの国に特化したサイトを開設し運営しています。
セカンドレベルドメイン(2LD)
セカンドレベルドメインとは、ドメインのなかでも「.」で区切られた右から二番目の部分です。「www.example.com」というドメインを例にみると、「.example」がセカンドレベルドメインです。
「website.co.jp」の場合は「.co」がセカンドレベルドメインとなります。
属性型JPドメイン
属性型JPドメインは、特定の条件を満たす組織のみが取得できるもので、トップレベルドメインの「.jp」に各組織の特性を表すセカンドレベルドメインを合わせたものです。「website.co.jp」というドメインを例にみると、「.co」の部分が属性型JPドメインであるセカンドレベルドメインです。
属性型JPドメインには以下のようなものがあります。
- .co.jpー日本国内の会社・企業であることを示すドメイン
- .ac.jpー日本国内の高等教育機関および学校法人などであることを示すドメイン
- .ed.jpー日本国内の初等中等教育機関および18歳未満を対象とした教育機関であることを示すドメイン
- .ne.jpー日本国内のネットワークサービスであることを示すドメイン
- .or.jpー日本国内の社団法人・財団法人・医療法人などであることを示すドメイン
- .go.jpー日本の政府機関・各省庁であることを示すドメイン
サードレベルドメイン(3LD)
サードレベルドメインとは、ドメインのなかでも「.」で区切られた右から三番目の部分です。「website.co.jp」というドメインを例にみると、「website」がサードレベルドメインです。
セカンドレベルドメンやサードレベルドメインはアルファベットに限定されません。数字や日本語ドメインも使うことができます。例えば、サーティワンアイスクリーム(日本法人)は「www.31ice.co.jp」というドメインを使用しています。
サーティワンアイスクリームのように企業やブランドのアイデンティティに欠かせない場合は、ドメインでの数字の使用が効果的な場合もありますが、可能な限り数字やハイフンは避けましょう。一般的に、数字のないドメインの方が覚えやすく、より信頼性が高い印象を与えます。さらに、スマートフォンでドメインにアクセスするユーザーは、数字やハイフンを入力するためにキーボードを切り替える必要がないので、よりアクセスしやすくなります。
ドメイン名の選び方
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ECサイトを作る場合は独自のドメイン名を使うことが推奨されますが、ブランド戦略を反映し、他と区別される覚えやすいドメイン名であると同時に、予算内に収まる利用可能なドメイン名である必要もあります。
ドメイン名を選ぶ際には次の内容を考慮しましょう。
- 利用可能である:WHOISでドメイン名検索を行い、検討している名前が利用可能かどうかを調べましょう。すでにその名前が使われているようであれば、他の案を探します。未使用の名前であれば、ドメイン名の所有者を探して価格交渉をすることが可能です。
- ブランドイメージが伝わる:ドメイン名はブランドイメージを反映するものです。オンラインのみで販売活動を行うのであればその傾向は特に強くなります。そのため、可能であればブランド名をドメインに取り入れましょう。例えばファッションデザイナーのテリー・ディチャント(Tery D’Cianto)氏は、自身の名を冠したブランドのウェブサイトに「terydc.com」というドメインを使っています。
ドメイン名に会社やお店の名前など、ひと目でそれとわかる文字列を含めることで、認知度や信頼感を高めることが可能です。
例えば、ヘッドフォンを販売するアンドリュー・リシモア氏は、ウェブサイトのドメイン名に「headphones.com」というわかりやすい名前を使用しました。元々は別の人が使用していたドメインでしたが、所有者との価格交渉を経て獲得し、わかりやすいドメインで自身のオンライン事業を成功に導くことに成功しました。
まとめ
ドメインとは、URLの「http://」や「www.」より後ろ、メールアドレスの@より後ろの部分の文字列です。ドメインはオンラインにおける店舗の住所のような意味を持ち、印象に残るドメイン名は、競合他社に差をつけ、商品やサービスを求めるユーザーの注目を集めるのに役立ちます。
この記事を参考にしてドメインのしくみや種類を理解し、独自ドメインを決めてビジネスに活用しましょう。Shopifyでもドメインを検索して登録することができます。魅力的な独自ドメインを使ってネットショップを始めましょう。
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ドメイン名に関するよくある質問
ドメインとは?
ドメインとは、ユーザーが覚えやすい形でウェブサイトがどこにあるかを示すインターネット上の住所のことです。任意で文字列を決められるため、自社のブランドとしてユーザーに覚えてもらいやすいドメイン名を選ぶことが重要です。
ドメインは何のために使われるの?
ドメインは、オンライン上にある特定の目的地やウェブサイトにアクセスするための、わかりやすくて使い勝手の良いアドレスとして使用されます。また、ブランドの信頼性向上やSEO目的としても活用されます。
ドメインとはメールアドレスのどこの部分?
メールアドレスのドメインは、@から後ろの部分です。例えば「mail@example.com」の場合、example.comがドメインです。
文:Kyoko Kitamura