チャージバックとは、賞品の購入者がクレジットカード会社に取引の取り消しを依頼し、購入代金を返還させることを指します。
購入者がチャージバックを要求するのは、購入した商品が届かなかった、二重請求された、不正に請求された場合などです。購入者が取引に異議を唱えると、クレジットカード会社は請求を取り消して購入者に返金し、店舗の口座からその金額を引き落とします。
チャージバックは、小売業者にとって年間総収入の約0.47%のコストがかかるため、チャージバックのプロセス、原因、誤った取り消しに対する異議申し立ての方法を理解しておくことが重要です。
チャージバックとは?
チャージバックは、顧客がクレジットカードでの取引内容に疑問を持ち、カード発行会社に取り消しを依頼することです。
チャージバックは、通常の返品リクエストとは異なります。チャージバックの場合は、決済カードの発行者がどう処理するかを決定するまで、資金が保留されます。小売業者に不利な判断が下された場合、資金はカード保有者に返還されます。
小売業者は、チャージバックを調査し解決するためにマーチャントサービスプロバイダーから手数料を請求されます。これらの手数料は1件あたり約15ドルかかり、すぐに高額になる可能性があります。
チャージバックのプロセス
チャージバックには、顧客、小売業者、クレジットカード会社がとる特定のプロセスがあります。
顧客がチャージバックを申請
小売業者が顧客から賞品代金を受け取った後、取引の詳細は顧客のクレジットカード明細書に表示されます。
顧客がその取引に覚えがない場合や購入品を受け取らなかった場合、カード発行会社に請求に異議を申し立てることができます(通常は銀行アプリまたは電話で)。
クレジットカード会社は、チャージバックを承認するために、購入の領収書や小売業者との通信などの証拠を確認する必要があります。
チャージバックが小売業者から引き落とされる
顧客のカード発行会社は、チャージバックを小売業者に通知し、問題のある金額と処理手数料を引き落とします。
クレジットカード会社が応答を確認
必要に応じて、小売業者は顧客のカード発行会社に証拠(配達証明など)を送ってチャージバックに異議を唱え、請求の妥当性を確認できます。
クレジットカード会社は、小売業者のチャージバック応答を確認するのに最大75日かかる場合があります。一部のカード会社では、小売業者の銀行がチャージバックの発生から30日以内に証拠を提出する必要があります。
チャージバックの解決
チャージバックの異議申し立ては、小売業者がチャージバックを受け入れるか、顧客がチャージバックをキャンセルするか、またはクレジットカード会社によるさらなる仲裁で終了します。
仲裁
どちらの当事者も結果を受け入れる意思がない場合、クレジットカード会社がチャージバックの異議申し立てに対する最終決定を下すことになります。
異議申し立てが小売業者に有利と判断された場合、顧客の銀行は小売業者に金額を返還します(地域によっては手数料も含まれる場合があります)。
ただし、チャージバックが有効と見なされた場合は、小売業者が追加の手数料を求められる場合もあります。
チャージバックが発生する理由
不正
チャージバックは、顧客が安全に買い物できるようにするためのものです。不正な購入や、購入者の知らないうちに行われたカードのクローン作成から保護することが目的です。不正はチャージバックの最も一般的な理由です。
以下の理由コードでチャージバックが要求された場合、それは不正行為によるものです。
チャージバックの理由 |
アメリカン・エキスプレス理由コード |
ディスカバー理由コード |
ビザ理由コード |
マスターカード理由コード |
取引時にカードが存在しなかった |
F29 |
UA01 |
10.4 |
|
偽造のEuropay、マスターカード、またはビザ(EMV)カード |
F30 |
UA05またはUA06 |
10.5 |
4870 |
取引時にカードが存在しなかった |
F29 |
UA06 |
10.4 |
4863 |
EMVカードが取引時に紛失、盗難、または受け取られなかった |
F31 |
4871 |
💡注意:安全な決済技術(EMVチップカードなど)を受け入れるPOSシステムを使用することで、ビジネスと顧客を不正から守ることができます。
品質
チャージバックは小売業者に責任を負わせる役割も果たします。購入者が欠陥のある商品を受け取った場合や、購入した商品を受け取れなかった場合、チャージバックを要求できます。
多くの場合、配達の証明がない場合や不正な返品ポリシーがある場合、顧客はチャージバックを要求する権利があります。
商品やサービスのサブスクリプションを提供する小売業者が増えています。無料トライアルは顧客のサインアップ増に役立ちますが、サブスクリプションが要求通りにキャンセルされない場合、チャージバックが発生する可能性があります。
チャージバックの理由 |
アメリカン・エキスプレス理由コード |
ディスカバー理由コード |
マスターカード理由コード |
ビザ理由コード |
キャンセルされたサブスクリプション |
C28 |
NF |
4841 |
13.7 |
欠陥のある商品やサービス |
C32 |
RM |
13.3 |
|
商品やサービスが説明と異なる |
C31 |
RM |
13.3 |
|
商品やサービスが受け取られなかった |
C08 |
RG |
4855 |
13.1 |
事務的
購入者が商品に対して二重請求された、あるいは返品したにもかかわらず返金がない場合、事務的なチャージバックを提起できます。
チャージバックの理由 |
アメリカン・エキスプレス理由コード |
ディスカバー理由コード |
マスターカード理由コード |
ビザ理由コード |
無効なカード番号 |
P01 |
IN |
4834 |
12.1 |
不正確な取引金額 |
P05 |
AW |
4846 |
12.4 |
重複請求 |
P08 |
DP |
4999 |
12.6 |
技術的
購入者の銀行やクレジットカードに問題がある場合や、口座に資金がない場合、技術的なチャージバックが行われることがあります。
ウェブサイトのエラーや混乱を招くチェックアウトプロセスも技術的なチャージバックの原因となることがあります。この問題を防ぐためには、信頼性の高いeコマースソリューションを使用し、ストレスのないチェックアウトプロセスを提供してください。
Shop Payは、支払い手続き時の気を散らす要素を制限し、顧客が購入しようとしているものを正確に理解できるようにします。
チャージバックの理由 |
アメリカン・エキスプレス理由コード |
ディスカバー理由コード |
マスターカード理由コード |
ビザ理由コード |
無効なカード番号 |
F10 |
UA01 |
4837 |
10.1 |
署名が欠落している |
F14 |
UA02 |
4840 |
10.2 |
不正なチャージバック
時には、顧客が購入品を受け取ったにもかかわらずチャージバックを申請することがあります。
これを「フレンドリー・フラウド(本人不正使用)」と呼び、消費者が商品に不満を持っている、支払いについて混乱している、または単に無料の商品を得ようとしている場合に発生します。実際、チャージバックの61%がフレンドリー・フラウドによるものと推定されています。
ジュエリーストアVivalatinaの創設者ニコラス・トランシャントは、「当店のチャージバックの最大の理由は顧客の不誠実さです。60%は、発送したジュエリーに問題があることを説明するメールもなく請求されています。問題を解決する機会を与えようともしていません。」と述べています。
このような場合、小売業者は顧客のチャージバックに異議を申し立てて資金を取り戻すことができます。
「当店のチャージバックの最大の理由は顧客の不誠実さです。」
Vivalatina創設者、ニコラス・トランシャント
チャージバックに異議申し立てする方法
チャージバックに異議を唱える際は、できるだけ早く対応してください。遅延があるとチャージバックの損失につながる可能性があります。
1. 情報を集める
チャージバックの通知を受けたら、該当する顧客および取引を特定します。倉庫データや配達状況を含め、取引に関する情報をできるだけ多く集めます。
顧客に直接連絡して、問題が解決できるかどうかを確認することもできます。
2. チャージバック応答を提出する
チャージバックが不当だと感じた場合、異議申し立ての証拠を提出できます。
この文書は、チャージバックの通知を送信した銀行またはカード発行会社に返送されます(または、独自にチャージバックの異議申し立てを開始する必要がある場合もあります)。指定された形式や締切を遵守し、チャージバックの理由コードに直接応答するようにしてください。
不正または「無許可」のチャージバックに異議を申し立てる場合、カード保有者が取引を認識し、承認したことを証明する証拠を提供してください。住所確認サービス (AVS)の確認、CVVの確認、署名入りの領収書、契約書が役立つ場合があります。
3. 決定を待つ
反論を提出した後は、処理業者の承継銀行が情報を確認している間、連絡を待ちます。カード保有者の銀行がチャージバックを処理するかどうかの最終決定を下し、その決定を顧客に通知します。
💡ヒント: Shopify ペイメントには自動異議申し立て解決機能があり、不当なチャージバックに対する勝率をほぼ倍増させることができます。
チャージバックから店舗を守る方法
チャージバックが発生する可能性を減らすために、以下の手順を実行してください。
手動処理を避ける
請求エラーが起きる可能性を減らすために、情報の手動入力は避けてください。
顧客のクレジットカード取引の日付、金額、承認情報の自動記録を保持しましょう。チャージバックに対抗するために、出荷および配達の証明を保持することを忘れないでください。
不正防止ソフトウェアを使用する
不正防止戦略を実施することで、チャージバックにつながる取引を避けることができます。
チャージバックの請求を防ぐために、Calistaのカスタマーケア担当者アシュリー・シュックは、不正検出アプリ「NoFraud(英語版のみ)」を使用しています。「顧客の注文を受けた後すぐにスクリーニングと分析を行います。不正の疑いが検出されると、その注文はアプリチームのアナリストに引き継がれます。」とアシュリーは言います。
連絡を取りやすくする
不正な取引は発生しますが、時には購入者があなたから購入したことを忘れたり、ストア名を認識できなかったりすることがあります。クレジットカード取引の名前が顧客の知っている名前と一致するようにしてください。
それが不可能な場合は、クレジットカード取引に電話番号を追加してみてください。顧客が「ラグジュアリー・ライティング 0120-123-4567」という請求明細を見たとき、確認するためにあなたのストアに電話する可能性が高くなります。
店舗ポリシーを明確に説明する
商品やサービスのポリシーを明確に説明することで、顧客が不満を持った場合でも責任を持つ可能性が高くなります。
正確な返品ポリシーを作成してください。そうすれば、消費者が購入に不満を持った場合、チャージバックではなく返品として処理できます。
クレジットカードの領収書やオンラインに連絡先情報を表示し、顧客に自動的にチャージバックを申し立てる前に質問をするよう促してください。これにより、すべての人の手数料を節約し、返金を行うかどうかを評価する時間を大幅に短縮できます。
チャージバックは、悪意のある顧客が簡単に製品を盗むことができる方法のように見えるかもしれませんが、本人不正使用にはいくつかの結果があります。
顧客のカード発行会社が本人不正使用に関与していることを発見した場合、顧客のクレジットアカウントを閉鎖する可能性があります。これにより、顧客のクレジットスコアに影響を及ぼし、高額の購入を行うことが難しくなります。
顧客は、支払いの異議申し立てに負けた場合、チャージバック手数料を負担するよう求められます。
さらに、チャージバックプロセスは平均的な返金よりもはるかに時間がかかります。したがって、顧客は小売業者に直接連絡して問題を解決する方が早く済みます。
チャージバックに異議を唱える
消費者は、チャージバックが提供する不正や不十分な顧客サービスからの保護の恩恵を受けています。
チャージバックのルールは、公正な返品ポリシーを促進し、小売業者が劣悪な製品を販売することを抑制します。しかし、消費者がチャージバックシステムを悪用すると、小売業者は予期しない損失や手数料に直面することがあります。
小売業者は、消費者のクレジットカード会社に証拠を提出することで、異議申し立てされた資金を回収できます。これにより、顧客が取引を承認し、購入を受け取ったことを示すことができます。
チャージバックに関するFAQ
チャージバックはどのように行われますか?
チャージバックは、顧客がクレジットカード会社に連絡して、自分の口座の請求に異議を申し立てるプロセスです。クレジットカード会社は、その後、小売業者の口座から請求金額を引き落とします。小売業者がチャージバックの取り消しを受けるためには、請求が正当であることを証明する必要があります。このプロセスは通常、30日〜90日かかります。
チャージバックは返金と同じですか?
チャージバックは返金とは異なります。チャージバックは、カード保有者がカード発行会社に取引に異議を申し立てるプロセスです。返金は、小売業者が自発的に顧客の購入金額を返すことを意味します。
顧客がチャージバックを行った場合、何が起こりますか?
顧客がチャージバックを行うと、小売業者はチャージバックが開始されたという通知を受け取り、異議のある請求については証拠を提供するよう求められます。小売業者が証拠を提供できない場合、チャージバックはそのまま行われます。小売業者が請求は正当であると示すことができれば、チャージバックは取り消されます。
チャージバックとは、簡単に説明すると何ですか?
チャージバックは、顧客がクレジットカード取引に異議を申し立て、購入代金を返してもらうことを可能にするプロセスです。
チャージバックの例は?
顧客は、クレジットカード明細書に書かれた取引に覚えがないためチャージバックを開始することがあります。他の例としては、顧客がオンラインで購入した商品を受け取っていないため、小売業者に直接返金を求めることができない場合があります。銀行は請求を調査し、必要に応じて請求を取り消し、資金をカード保有者に返還します。