10年以上も越境ECプラットフォームを提供し、世界190カ国に約1億3200万人のアクティブバイヤーをかかえるオンラインマーケットプレイスeBay(イーベイ)では、在庫を持たずにストアを運営するドロップシッピングでの商品販売が認められています。
ドロップシッピングは、ネットで稼ぐことができ、初期費用も抑えられる低リスクなビジネスモデルです。eBayの日本法人イーベイジャパンは、売り手に対して無料の販売サポートを行っています。
この記事では、今後も市場規模の拡大が見込まれるeBayでのドロップシッピングについて、日本で始める際の注意点や始め方などをまとめました。
eBayのドロップシッピングとは?
eBayのドロップシッピングとは、提携するサプライヤーの商品をeBayに出品し、注文が入ったら、商品を直接購入者に届けてもらう仕組みです。販売者は在庫を抱える必要がないため、初期投資を抑えてeBayでネットショップを開設することができます。
eBay.comでセラーアカウントを作成すると、海外にも商品を販売することができます。通常、国際市場への進出には、在庫の保管や物流の管理などの初期障壁がありますが、海外取引に対応しているサプライヤーを選定して、eBayでドロップシッピングを行うことができれば、それらの障壁を乗り越えることができます。
日本のeBayでドロップシッピングを始める際の注意点5つ
日本のeBayでドロップシッピングを始める際の注意点は、主に以下の5つです。
1. 英語でのコミュニケーション
eBay公式サイトや公式アプリの日本語対応は進められていますが、そもそもが英語のサイトであるため、現在も一部は翻訳されておらず、英語のまま残っています。
また、海外の購入者とのやりとりには、英語が必要です。eBayの取引では、正しい言葉づかいや文法よりも、商品に対する情報を正確にもれなく伝えることが非常に重要となります。英文法や単語の難易度は中学生レベルで大丈夫といわれていますが、取引でよく使うフレーズ集を事前に用意するなどの対応は必要です。
日本の出品者向けのサポートサイトである「セラーポータル」にログインし、イーベイジャパンの販売サポートサービスに申し込むと、トラブル時の日本語サポートや、eBay用出品フォーマットを自動作成してくれる英語の一括翻訳ツールなど、各種サービスを活用できます。
2. Payoneerアカウントの開設
日本からeBayでドロップシッピングビジネスを行うには、Payoneer(ペイオニア)というオンライン送金、デジタル決済サービスのアカウントの開設が必須となります。個人の場合は、銀行口座情報と、顔写真付きの公的身分証明書、法人の場合は追加で履歴事項全部証明書の提示が求められますので、準備しておきましょう。審査には最大7営業日かかります。
3. 発送元住所の確認
ドロップシッピングでは、サプライヤーから直接配送が行われますが、発送元住所は販売者の住所になります。海外取引の際、住所の順番は、番地、町/市、県の表記順に記載するのが一般的です。正しく登録しておきましょう。
4. 在庫の確認
ドロップシッピングでは、出品者が在庫を保有していないため、在庫を持つサプライヤーと連携して在庫を管理することが重要となります。在庫切れにより配送ができない場合、出品者都合のキャンセルとなってしまいます。出品者都合でキャンセルすると、アカウントに対してディフェクト(defect、取引の不備)という評価がくだされ、取引欠陥率が2.01%以上を超えると、出品者の活動状況を評価する指標であるセラーレベルが下がってしまいます。セラーレベルが下がると、手数料の価格があがる、出品数に制限がかかるなどの影響が生じてしまいますので、注意しましょう。
5. 商品状態の確認
商品に不備がある場合も、出品者都合のキャンセルとなります。販売する商品の状態については事前にサンプルを取り寄せるなどして確認し、登録にあたっては、自分で撮影した写真や説明文を使用しましょう。
また、商品を出品する際には、eBayの出品ポリシーを遵守しましょう。出品ポリシーに違反した場合は、出品が取り消される、出品が検索結果に表示されなくなる、表示順位が下がる、セラーレベルが引き下げられる、購入や販売が制限される、eBayからの保護が受けられなくなる、アカウントが停止されるなどの措置を受ける可能性があります。ポリシーを遵守していないケースが発見されると、その商品の出品者にeBayから通知が届きますので、通知に記載された内容に従って、改善を行ってください。
eBayでドロップシッピングビジネスを始める方法
1. eBayセラーアカウントを登録する
eBayストアでドロップシッピングビジネスを始めるには、まずeBayアカウントを作成してログインし、それからeBayセラー(出品者)アカウントを作成します。登録ページにアクセスし、ebay.comのトップページ右側にある言語設定を「English」に変更してから、必要事項を入力してください。SMSか自動音声を使用し、携帯電話番号の認証を行うことで、登録が完了します。支払いにはデジタル決済サービスであるPayoneer(ペイオニア)アカウントが必要なので、用意しておきましょう。登録情報は、My eBayから編集が可能です。
2. 商品を選定する
商品リサーチを行い、eBayでのドロップシッピングに最適な商品を選定します。
一般的に、ドロップシッピングでは競争が発生しやすいため、競合が少なく需要の高い商品が適しているといわれています。趣味やビジネスに関連するニッチな商品や、人々が繰り返し購入するアイテムを探してみましょう。
調達の価格によっては、競合の多い人気商品を売ることに挑戦するのもひとつの選択です。eBayのベストセラーページを見て人気の商品を調べ、類似の品がそれよりも安い価格で調達できるかどうか、他のオンライン販売サイトよりも安く売れそうか検討しましょう。
3. ドロップシッピングのサプライヤーを選定する
商品を選定したら、より安く商品を提供してくれるサプライヤーを探します。
サプライヤーと販売者を結びつけてくれるドロップシッピングアプリや、ドロップシッピング業者を利用するのもおすすめです。アプリではDSers、Spocket、Dobaなどが有名です。日本を拠点とするドロップシッピング業者には、TopSeller(トップセラー)、卸の達人などがあります。
4. 商品価格を設定する
eBayのドロップシッピングで利益を得るには、適切な価格設定が求められます。調達にかかるコスト、競合他社の価格、eBayの手数料や配送料などの経費、自分のビジネスプランを考慮して、ちょうどいい価格を探りましょう。
5. ビジネスポリシーを設定する
eBayでビジネスをするには、eBayのセラーハブという無料の管理システムを導入した上で、次の3つのビジネスポリシーを設定する必要があります。
- Payment Policy(支払いポリシー):支払い方法、決済日などの方針
- Return Policy(返品ポリシー):返品期間、返送料の負担先などの方針
- Shipping Policy(配送ポリシー):使用する配送サービス、送料、到着までの日数、発送できない国や地域などの方針
セラーハブを導入したら、My eBayからビジネスポリシーが設定できます。提携するサプライヤーの方針をふまえてポリシーを用意しておきましょう。
6. 商品を出品する
ドロップシッピングで販売する商品の出品ページ(リスティング)を作成しましょう。顧客が検索しそうなキーワードを予測して、出品ページに含めることで、検索の表示順位をあげることができます。
出品ページには、以下の項目が必要です。
- 商品タイトル:英数字80字以内で記入します。eBayではタイトルも検索対象になるので、検索キーワードになりづらいあおり文句などに文字数を費やす必要はありません。また、「!」「●」「★」など、視覚的に訴求する記号は禁止されています。
- 商品説明:商品説明、販売条件、状態など、購入者が必要とする情報を記載しましょう。
- 画像:メイン画像1点と、ほか23枚の合計24枚が登録できます。長辺が1,600ピクセル以上の画像を用意してください。枠線やウォーターマーク、テキストやアートワークは禁止されています。物撮り(商品撮影)を行い、撮れた写真を掲載しましょう。中古品、再生品または欠陥のある商品に対しては、状態がわかる写真を用意してください。ECにおいては掲載する商品画像のクオリティが売上を大きく左右します。商品の特性が伝わり、なおかつ顧客の目をひく画像を用意しましょう。
- 返品ポリシー:サプライヤーと確認しておきましょう。
7. 注文をサプライヤーに転送する
注文が入ったら、詳細をサプライヤーに転送します。ドロップシッピングのためのアプリを使用すると、コミュニケーションを自動化することも可能です。
梱包と配送は、サプライヤーが代行します。
まとめ
eBayでもドロップシッピングビジネスを行うことができます。 経済産業省によると、世界の越境ECの市場は、2030年には7兆9,380億USドルにまで拡大すると予測されています。広がり続けるEC市場に、低リスクで始められるドロップシッピングから参入してみてはいかがでしょうか。
eBayのドロップシッピングについてよくある質問
日本でもeBayドロップシッピングビジネスはできる?
日本でもeBayでドロップシッピングビジネスをすることができます。
eBayのドロップシッピングに英語は必要?
eBayのドロップシッピングでは、中学生レベル程度の英語が必要になります。eBay公式サイトは日本語対応が進められていますが、もともとが英語のサイトであるため、現在も一部表記は英語のまま残っています。
また、海外との取引は英語でのコミュニケーションが求められます。馴染みがない場合は、イーベイジャパンの提供する公式販売サポート、翻訳ソフトや定型文、サードパーティーの日本語出品ツールなどを活用しましょう。
eBayのセラーアカウント作成に必要なものは?
eBayのセラーアカウント作成には、特定の書類の提出が求められます。
個人としてパーソナルアカウントを作成する場合は、パスポートや運転免許証といった身分証明書と、公共料金の請求書といった居住証明書の写しが必要です。
法人としてビジネスアカウントを作成する場合は、代表者の個人情報と身分証明書に加え、法人確認書類の写し、法人所在地の確認書類が必要になります。実質支配者(UBO)がいる場合はその個人情報と身分証明書の写しも提出が求められます。
文:Taeko Adachi